マンションに「本でつながる交流の場=ライブラリー」をつくろう! グループディスカッション編

小さく始めて、“やってみる”ことのおもしろさを感じる

小西さんの主催する“ブックチェンジ”イベントの様子は、マンション・ラボでも以前紹介しました。

小西さん「私は、さきほど紹介した本『坂の上の坂』で、その後の人生が激変したのですが(笑)。マンション内で不要本を交換する“ブックチェンジ”というイベントを何度か行っていて、その後“せっかくだからライブラリーもつくってよ”という声が出始めているところです」

礒井さん「できることから始めるのは大切ですね。マンションだからといって住民全員の合意のもとにやるとか、堅苦しくなっていくと、結局誰の思い入れもないものができあがってしまいがちですから。小さく集まって、創意工夫を凝らし、考えすぎないでやってみることで学ぶことは多いです」

小西さん「“ブックチェンジ”がまさにそうでしたね。何度かやりながらわかってきて、いまのかたちに集約していったという感じでした」

地藏さん「ベンチャーやスタートアップも、まさにそうですね。まずモノつくって出しちゃえ!的な(笑)。やってみてだめなら、またやり直せばいいよね。考えすぎて足を踏み出さないと、結局一歩も動けなくなっちゃいますから」

小西さん「“ブックチェンジ”をやっていて、この人はこんな本を読んでいるんだと知ることができました。それがきっかけとなって話題が弾むんですよね。すっと相手の心の部分にまで入り込んでいけるというか」

礒井さん「本ってね、大阪のおばちゃんの飴と一緒なんですよ(笑)。よく大阪のおばちゃんが“飴食べへん?”といって初対面の人に飴を差し出して話のきっかけをつくるでしょう? あれは高度なコミュニケーションツールなんですよ」

マンション・ラボ「いま参加者の塚本さんが、金平糖やお菓子を皆さんに配ってくださいましたが、これもそうですね?(笑)」

塚本さん「そうです。お菓子は、円滑なコミュニケーションを生むツールです(笑)」

地藏さん「さらに本は、自分の脳みその一部をちょっとだけ取り出して他人に見せることができますからね。それがコミュニケーションのいい導線になり得る。すごくおもしろいツールですよね」

一人でゲリラ的にやるには?ドアひとつ分のライブラリー

塚本さん(左)と小西さん(右)。

塚本さん「実は1700冊ほどあった本をすべて電子化して、自宅にはもう本棚がないんです。しかし著作権の関係でスキャンできずに残った蔵書がまだ残っています。その残った本をどうしようかなと考えているところです」

河村さん「マンションに共有スペースもない訳ですよね?」

塚本さん「そうです。それに一人暮らしでマンション・コミュニティにも属していない。最近になって、自分のマンション内でのつながりとか、地元に増えてきたブックカフェやバルとのつながりというものを考え始めています。

そこで、残った蔵書を“誰でもお持ちください”という感じに活用したらどうかなと。玄関のドアノブにブックポケットをぶらさげて“今週の本”みたいにしておくだけでもできないかと考えています。これなら一人でできますからね」

塚本さんのブックポケットアイデア。「ジャストアイデアですよ」とのことでしたが、これなら場所をとらないし、簡易さがいいですね。いろんなアイデアが柔軟な発想を生んでくれるのだなと気付きます。

礒井さん「ドアひとつ分の“まちライブラリー”ですね。自分一人でも、低コストで続けられることから始めるのがいちばんですよ。すごくいいと思いますね」

とにかくやってみる

貸し出しノートを用意して、数冊の本を貸し出す。
月に1回だけ、本を持ち寄って貸し借りする。
不要本を誰かにあげる。
どんなかたちでもいいし、少人数でも一人でもいい。
まずはとにかくやってみる。それから次のステップを考える。そんなところから始めてみてはどうでしょう?

たとえば、集会室に絵本を置くことからスタート

土志田さん「私は賃貸マンションのオーナーです。いままでオーナー色というのは、あえて出してきませんでした。けれど、入居者の皆さん同士のコミュニティをいかにつくるべきか?ということを考え始めていまして、とりあえず集会室に図書コーナーをつくって活用できないかと思っています」

礒井さん「空間的なあたたかみのある、居心地のいい場所をつくるといいと思いますよ。鶴橋にある『コミュニティカフェからをと』に併設されたまちライブラリーでは、押し入れを改造したブックスペースをつくっていて、それがオーナーとしての自己表現にもなっています。きっと参考になると思いますよ」

「コミュニティカフェからをと」に併設されたまちライブラリー。押し入れを改造したスペースがあたたかみのあるライブラリーになっています。

河村さん「そうですね、デザイナーに依頼してつくったような完成品ではなくて、手作り感のあるスペースが居心地良くしてくれるはずですね」

土志田さん「じゃあ、集会室に絵本を数冊置くところからスタートしてもいい訳ですね。ちょっと考えてみます」

礒井さん「絵本を置く場所も、人がにぎわう場づくりだと考えて、ぜひ居心地のいい、あたたかみのある雰囲気の場づくりを考えてみてください。そこがオーナーとしての自己表現ですからね。がんばってください」

居心地のいいライブラリスペースづくりを

ライブラリスペースは、いわば共通のリビング。個性のあるディスプレイで、関心を持って見て貰えるような工夫や雰囲気づくりを行いましょう。

ほかにもさまざまなアイデアや事例紹介がでましたが、今後も情報交換や交流を行っていこうということで、参加者の皆さんにはFacebookグループに場を移してお話いただくことになりました。
参加者の皆さんのライブラリーづくりへの想いは、どのように変わったでしょうか? 今後の展開が楽しみです。

マンション・ラボのライブラリーも開設しました!

そして、マンション・ラボ編集部も、リブライズを使ってWEB上にブックスポットを開設しました。リブライズの「各地の本棚」ページの「ブックスポット検索」から検索できます。

マンション・ラボ編集部が開設したブックスポットの画面。蔵書を一覧すると、何となくそのライブラリーの個性みたいなものが浮かび上がってきます。

▼リブライズ マンション・ラボのブックスポット
https://librize.com/places/1213

社内の蔵書共有としてスタートしましたが、将来的には会社のエントランスに本棚スペースを設けて、来訪されたお客様やオフィスビル内の人々と本の貸し借りで交流していければいいなと妄想中。オフィスでも、ライブラリーを活用した交流の場づくりが可能なはずです。

マンション・ラボが描く、本プロジェクトの未来

今回参加いただいた方々だけでなく、全国さまざまなマンションで、居住者同士の交流を育むライブラリーづくりが進んでいけば、いつかマンション同士の交流に発展していく可能性だってあります。

マンションとマンションとがつながる未来。

それはいままでになかったマンション・コミュニティの交流のかたちとなるにちがいありません。私達マンション・ラボが、少しでもそのお手伝いがしていければ嬉しいです。


お集まりいただいた皆さんのマンションや個人でのライブラリーづくりの活動が、どんな風に展開していくのかが楽しみです。今後もプロジェクトの進捗にご期待ください!

他にもマンション・コミュニティの交流にライブラリーを活用したいとお考えの管理組合や居住者の方々がいらっしゃったら、ぜひマンション・ラボ編集部へご連絡ください。お手伝いや取材を行えればと思います!

2015/08/04