マンションに「本でつながる交流の場=ライブラリー」をつくろう! グループディスカッション編

マンション図書委員の行き詰まりの解決方法は、無理しない

テーブルを囲んで、参加者の方からの質問やそれぞれのマンションの説明をお話いただきました。やはりマンションによって状況は千差万別。いろいろなケースがあります。

まずは、すでに入居したときから共用部分にライブラリーが開設されていたというマンションの図書委員のお二人の話から。

写真向かって左から2番目が上田さん、3番目が野村さん。マンション内ライブラリーの図書委員のお二人です。

野村さん「ライブラリーには当初から150冊くらいの蔵書があったんですが、あまり活発に使われておらず、半分眠ったような状態でした。そこでいろいろな方に相談して、図書委員をつくりたいということを理事会に上げていただきました」

上田さん「野村さんの声に応えるかたちで、理事から図書委員の専任担当になりました。現在、大人4名・子供4〜5名の図書委員が運営を行っています。
イベントを開催していつも悩むのは、関わっている理事や図書委員、一部のアクティブな住民だけが毎回参加していて、それ以上の人の交流の広がりがないことですね。その点にちょっと行き詰まりを感じています」

野村さん「子育て世代だけでなく、高齢の方も、一人暮らしの方も参加してほしいんですよね」

礒井さん「そういう“コミュニティの壁”みたいなものは、無理に突破しない方がいいんですよ。居住者みんなが参加できるイベントなんてあり得ないんだし、スポーツや料理など関心事のテーマをいっぱい用意して、好きな興味で集まる小さなソサエティをいっぱい集めれば、ソサエティ同士で少しずつ交わりが生まれて大きくなっていきます。関心事で集まれる仕組みだけをつくっておけばね」

地藏さん「問題は、マンションには外部の人が入れないということです」

礒井さん「まちライブラリーでも、自宅をパブリックに開放して、住み開きをしている人もいます。マンションの一室を開放するのもそうですね。たとえば巣箱ライブラリーをマンションの外に置いたら、マンションという閉じたコミュニティが、外の地域との関係性をつくるにも役立つんじゃないかな?」

小池さん「私は、横浜市の青葉国際交流ラウンジのライブラリー運営に携わっていますが、いまその地域で、郵便局やいろいろな場所にブックポストをつくり始めているところです。将来的に、マンションと外部のライブラリー団体との連携も考えられるといいですよね」

河村さん「住民だけだと壁ができてくるので、日時限定で時間制にして、少し外の人も参加できる仕組みもあるといいですね」

礒井さん「いつでも外部の人参加OKはセキュリティ上難しいでしょうが、テーマと日時を決めて、イベント化するのも一案ですね。そこは柔軟な発想で、地域のお友達を1〜2名呼ぶと新鮮な風が入ってきますよ」

全員参加じゃなくても、小さな輪づくりをたくさん

マンションのイベントでは「少しでも全員参加を!」と考えがちですが、そこをゴールにしないことが大切。さまざまな関心事で集まる小さな輪がいっぱいあれば、ゆるやかなソサエティがマンションに生まれていきそうです。将来的には、そこに外部の人も取り込む仕組みができるといいですね。まずは足元のマンションのソサエティづくりを考えてみましょう。

大人が集まりたくなる仕掛けづくりに“食×本” “手仕事×本”を

アイデアが次々と出てくる松井さん(左)と小池さん(右)。

野村さん「ほかに大人が集まりやすいワークショップの事例ってありますか?」

礒井さん「巣箱ライブラリーのために巣箱づくりからみんなでやろうとか、本棚づくりとか料理とか、手を使うイベントは参加満足度が高いですよ」

河村さん「同じ場所に長く一緒にいると自然と話しますからね。共同作業ならなおさら打ち解けやすいです」

小池さん「ブックランチというのもいいですね。『ぐりとぐら』とか『ランチのアッコちゃん』とか、本に出てくる食べものから食べたいものを募集して、それをつくるとか。さらに地産地消の食材で地元のレストランの人につくってもらうとか」

松井さん「うちは魚料理を出す店を営んでいますが、そこにリブライズを導入した小さな本棚を設けています。お店で落語会を開催したときは、友達がリュックサックで落語の関連本を50冊くらいかついでやってきてくれました。さらに落語会にあわせて江戸野菜を使った料理を出しましたよ」

小池さん「リュックサックライブラリーですね(笑)」

礒井さん“グラスまちライブラリー”は、本を置く場所がないけどやりたい!という相談を受けて、近所の公園で定期的に本を持ち寄って定期開催しています」

松井さん「そうね。うちのマンションには共有部分のスペースがないけど、リュックサックなら、マンションの隣の公園でもできるわね」

上田さん「うちのマンションでは以前、みんなでマンガを持ち寄って“マンション内マンガ喫茶”を開催しました。ライブラリーのスペースがないマンションでも、共用部分を使ってみんながマンガを持ち寄ることもできるのではないでしょうか?」

河村さん「大切なのは、楽しくやっている様子が外に見えることですね。私のやっているオープンソースカフェも、毎週日曜日はプログラマーがボランティアで子供にコーディングを教えてくれています。やってきた親子連れが、すごく楽しそうに学んでいます。本棚にある専門書を見て、子供がお父さんにこの本買ってほしいとおねだりしていたり。楽しくやっていると、必ず参加する人が増えてくるから。楽しくもないのに義務でやっているというのは本末転倒ですからね」

どんどんライブラリーのアイデアが広がっていきます。

礒井さん「ブックランチでもリュックサックライブラリーでも、企画力のあるアイデアマン&ウーマンを呼び込んでいけば、いろんなことができますよ。何も、そのすべてを自分でやろうとする必要はないんです」

野村さん「そうか、図書委員の私達がすべて企画してやる必要はないんですね。ついやらないといけないかと思って動いてしまうんですが、やりたい人を引っ張ってくればいいんですね」

河村さん「我々は“そそのかし上手”と言われています(笑)」

礒井さん「責任とか義務になると重すぎますよ。大切なのは、楽しいかどうか、そこで人と人の交流が生まれているかどうか、ですよ。図書館をやるからにはといって、何冊本が借りられたとか、貸し出し効率がどのくらいアップしたとか、我々はついつい会社の延長線上で数値化しがちですが、そんな数値で推し量ることができない、人間同士のつながりをつくろうとしているんですから」

楽しくできることからスタート

“食×本”“手仕事×本”など、自分がやってみたい!参加したい!という企画を考えてみることからスタートしてみましょう。自分ができなくても、この人ならきっとできると思う人をスカウトしてお願いすることも一案です。どちらにしても、基本は“楽しい”と感じることから始めてみることです。

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2015/08/04