50代からのリセット、地域に開かれたネットワーク型集合住宅の提案

一緒に何かをつくることがコミュニティの強度になるはず

また、この集合住宅には、シェアガーデン、雨水循環レインガーデン、廃油処理のコンポスト、カーシェアリング、放射暖房システム、マンション全体のエネルギーシステムの見える化など、さまざまな省エネルギーへのアイデアが取り入れられています。エコロジーへの取り組みは、次世代マンションには欠かせないテーマです。

マンション全体の館内天気予報。エネルギー情報を「見える」化したサイン。

住民が管理するテラスデッキのシェアガーデン。

住戸を取り巻くテラスデッキのあちらこちらにシェアガーデンが設置されているのも、このプランの特長です。

末光さん「緑溢れる集合住宅にしたかったというのもありますが、住民が一緒に何かをつくることで、親しくなるきっかけになればと考えました。一緒に花や野菜づくりをしたり、一緒にシェアキッチンで食べたりすることで、人と人のふれあう機会が増える。そのふれあいの積み重ねが、自然とコミュニティの強度となっていくはずです。だから、ものづくりの場はぜひ取り入れたかったもののひとつです」

マンションの植栽の植え替えやガーデニングをイベントにしたコミュニティづくりの手法も、いままでのマンション・ラボでお伝えしてきました。一緒に“緑を育てる”ことには、大きな可能性があるにちがいありません。

3棟分割型、地域にマンションを開くということ

模型の街路樹沿いにある緑の低層集合住宅3棟が、ひとつのマンションとなります。

集合住宅の部屋を地域に開くのみならず、この提案では集合住宅そのものを街に開こうという提案もなされています。それが「ネットワーク型集合住宅」のコンセプトです。

末光さん「通常ならタワーマンション1棟分の規模のマンションを、地域に調和した大きさの低層3棟に分割し、街路沿いに分割して建設します。各棟の1階にある共有施設は、たとえばシェア銭湯、シェアダイニング、シェアデイケアなどにして、地域の人も使えるコミュニティスペースとして住み開きを行います。

3分割によって、町並みを変えるような大きな用地買収が必要なくなります。いままでならば集合住宅の住民しか使えなかった豪華な共有施設が、地域に開いたコミュニティスペースとなることで、社会に還元されていくというモデルです」

この提案については、実際に建設費用のシミュレーションも行われており、従来のタワーマンション建設と比較しても、約1%コストアップ程度で収まるという結果でした。

街路樹に面したマンション模型。各階のオープンテラスを行き交う人々が見えます。

ところで集合住宅を地域に開くオープンなスタイルを取り入れることにより、外部の人が出入りしやすくなりますが、セキュリティ問題についてはどうお考えなのでしょうか?

末光さん「人の目が最大の防犯効果となります。うまく運用されてコミュニティが育っていけば、住民や地域の人による見守りが可能となるはずです。また、最近のマンション研究では、顔認証セキュリティなど物理的ロックではない仕様も開発されつつありますので、将来的には最新セキュリティ技術を取り入れて対応していけるのではないかと考えています」

末光さん「ネットワーク型マンションは、全体の10%の部分を地域に提供するという考え方となっています。各住戸も、住み開きに対応できる設計です。もちろん住民が自分の部屋を住み開きするかどうかは個人のチョイス。やりたくない人は、従来の住戸として使えます。
ただ、最初からそういう設えになっているマンションを提供することが大切なのだと考えています。これからの集合住宅には、さまざまなチョイスがあることが必要なのではないでしょうか?」

少子高齢化時代を迎える私達がいかに住みよい社会をつくることができるのか。そもそも、内に閉じた集合住宅に対する根本的な考え方を変えていかなければいけないのかもしれません。末光さんたちが提案する、地縁づくりができるネットワーク型集合住宅は、そのひとつの新しい答えです。

Good Over 50’s 都市型コンパクトライフのススメ展〜二人暮らしの50㎡

期間:2014年10月16日(木)~11月11日(火)※会期終了
場所:リビングデザインセンターOZONE(3F OZONEプラザ)
主催:リビングデザインセンターOZONE、公益社団法人インテリア産業協会
特別協力:一般社団法人ケアリングデザイン

2014/12/25