人とペットが快適に暮らせるマンションとは

最近は、「ペット可」なマンションが増えてきています。しかし「飼ってもいい」と「快適に共生できる」は別物。また、さまざまな人が暮らすマンションでは、知らず知らずにペットが苦手な方に不快な思いをさせているかもしれません。どのような工夫をしたら人もペットも快適に暮らせるのでしょうか。アドホック(株)でペット共生型マンションの企画・コンサルティングを行っている辻村氏に伺いました。

最近のペット共生型マンションで人気の設備は?

近頃は「ペット可」の分譲マンションが増えてきています。しかしペットとの暮らしに適した設備の不足や飼い主のマナーが至らないことからトラブルが発生しているのが実情です。私どもはそのような問題を解決するため「ペット共生型」のマンションを提案しています。私どもの経験値では、住人なかで「ペット好き」「どちらでもない」「嫌い」の割合は、大体均等に3割ずつと見ています。この割合は最近「どちらでもない」が若干「ペット好き」寄りになっているものの、大きくは10数年間変化していません。この中でペット嫌いの方たちは、犬や猫に対して

○汚い
○くさい
○うるさい・こわい

といったイメージがあるようです。しかし、以下のような専用設備やサービスを組み合わせることで軽減することが可能です。

・フットシャワー

壁と床の間から水がせせらぎのように出てくるので、イヌの足をわざわざ蛇口近くに寄せることがなく便利

 

散歩から帰ってきたイヌが付属の水飲みボールで水を飲んでいる間に、床と壁の間から水(冬季は温水)がせせらぎのように出て足を洗います。泥はねで汚れたお腹などを簡単に洗うためのシャワーもついています。

 

・うんちダスト

一般的な女性の背丈からウンチを投入した場合に水はねがない位置に設置

飼い主の方の中には、散歩から戻った際、うんちを部屋に持ち込むことに抵抗がある人もいます。そこで「つい放置」ということになるわけです。このうんちダストはエントランス周辺に設置し、手軽に汚物を流せる設備。放置の軽減につながります。またステンレス製の本体は陶器製に比べ美観を損ないません。

 

・ドッグラン

「ドッグランはコミュニケーションの場としても有効なので、たとえ6畳の広さでもあった方がいい」(辻村氏)

私どもに相談に来たお客様には必ず「小さくてもいいからドッグランを作ってください」と提案しています。犬の吠え癖にはストレスも大きく関係しています。ノーリードで遊ばせストレスを解消すれば無駄に吠えることが減るはずです。また、飼い主のコミュニケーションの場にもなります。

 

このようなハード面が整備された物件は少しずつ増えています。今後はこのようなハードに加え、出張トリミングサービスといったソフト面のニーズが高まると考えています。また、ペットの飼い主同士が情報交換などをする組織「ペットクラブ」をうまく活用すれば、飼う方には満足、飼わない方には安心できる住環境が実現できると思います。

ペットが快適に暮らせるおすすめリフォームは?

上記のような共用部分の設備を既存の物件に設置することは、管理規約などの面から困難な場合が多いでしょう。そこで今回は専有部分のリフォームをご紹介します。

・コルクの床材

コルクの床は滑りにくい上にクッション性もあるので足腰に負担がかからない

お客様からのリフォーム相談で一番ニーズが高いのは床材の交換です。理由はフローリングだと滑るし、硬いので足腰に負担がかかるからです。おすすめの床材はコルクです。この素材なら滑りませんし、クッション性も確保できます。コルクは高価すぎる、オシッコの染みが心配といった方には、クッション性は望めませんが、フローリングを滑りにくくし、メンテナンスが楽になるフロアコーティングや床用タイルをおすすめしています。

 

・キャットリビング
ネコは上下運動を好みます。写真のようなキャットウォークがあれば運動不足を解消できるだけでなく、飾り棚としても利用できます。またリビングのドアに、ネコ専用のくぐり戸を付けるのも人気です。ドアが閉まっていてもネコまたは小型犬だけ出入りできます。

猫が上下運動できるキャットリビング。飾り棚としても使える

リビングのドアにくぐり戸を付ければ「ガリガリ(開けて~)」といったことがなくなる

 

・ペット対応壁紙

壁紙の貼り替え時に、床から90㌢程度の場所に板材などの見切り材を設け、上下に貼り分けます。このことで傷つきやすい下半分だけを容易に貼り替えること ができ、全部交換するより安く納まります。またコンセントを見切り材より上に付ければ噛んで感電することを防止できます。そのほか、消臭効果のある珪藻土 の塗り壁にするのもおすすめです。

見切り材を入れ上下に分ければ、貼り替えのコスト・手間はともに軽減できる

珪藻土の塗り壁。「自宅に塗りましたが、明らかに臭いが軽減しました」(辻村氏)

 

ペットを飼う人も飼わない人も快適に暮らせる秘訣は?

これはペット共生型マンションの最大のテーマです。特に分譲マンションの場合は簡単に引っ越しができないので一度トラブルになると、お互いにずっといやな思いで生活しなければなりません。
ペットを飼う人と飼わない人にはお互い歩み寄りが必要です。「ペット可なんだから仕方ないだろ!」といったスタンスでは決して分かり合えません。ペットを飼う人が歩み寄るためのキーワードは

○清潔・健康
○マナー
○安全
○コミュニケーション

です。イヌやネコを常に清潔・健康に保ち、「ペットは汚い」といった先入観をなくしてもらいましょう。また、フンを放置しないといった基本的なマナーは当然で、お客様の中には月に1回、周辺の清掃をするといった活動を続けているペットクラブもあります。このことでたとえ敷地内にフンが落ちていても「ここの住人の犬ではない」と思ってもらえるようになったそうです。
ペットクラブの活動は情報交換だけでなく、ペットを飼わない人とのコミュニケーション手段としても重要です。もし何かトラブルが起こった場合、1対1では感情的になりがちですが、ペットクラブが窓口になれば穏便に納まることが多いようです。

また、ペットクラブの成功例としてこんなことがありました。
あるマンションでは毎年クリスマス会を開催していました。そこでペットクラブでは「ペット交流会」を企画。敷地内に仮設のドッグランを作りました。そして犬と子ども達の安全に気を配りながら、ふれあいの場を提供したのです。子どもは喜び、その親御さんも飼い主の方たちとコミュニケーションが密になりました。それ以来ペットを飼っていない方の理解が深まったそうです。

このようにペットクラブの存在意義は飼い主としての意識を高めることにあります。もし活動が活発でない、またはクラブ自体が存在しないといったマンションにお住まいなら、無理に会合を開くことはありません。花見でもバーベキューでも構わないのでとにかく集まって、まずは飼い主同士のコミュニケーションを深めることから始めてください。そこから時間をかけて充実したペットクラブに成長していけばいいと思います。

2012/04/10