第九回:古い団地は子育てしやすい!築30年の団地に引っ越した女性の声

少子高齢化とコミュニティの難しさを実感

吉田:敷地にある程度ゆとりがある団地タイプの良い点がよくわかります。一方で難しいと思う点についてはいかがですか?

Dさん:はい、それはそれで結構あります(笑)一つ目が少子高齢化が思った以上に進んでいた点ですね。年配の方にはとても歓迎されていて、皆さん親切でとてもありがたいと思っているのですが、子育て世代の方が少なく不安という点があります。

また、子育て世代の人数が少ないおかげで、気さくに声をかけてもらい、すぐに顔なじみになれたのはいいのですが、既に出来上がってしまっている強固なコミュニティや独特の雰囲気の中でこれから深い関係を構築していけるかどうかがこれからの課題かなと思っています。

良いところでもあるのですが、やはり30年経っていると多くの人が顔見知りという状況なので、そこに私達が個性を保ちながら良い関係が作れるのか。。。

おそらくムラ社会に飛び込むのと似た感覚があるんだと思います。私は新築マンションに住んだ事が無いので分からないですが、入居時期が一緒であれば、みんなで作り上げようといった雰囲気もできると思うし、コミュニティを創るといった感覚があるのかなと思います。

もちろんそれはそれで大変なのかもしれないですが、改めて出来上がったコミュニティに入るというのも大変だなと実感していますね。

吉田:それはとても興味深いお話ですね。私も仕事でコミュニティ形成の取り組みをしていますが、難しいと思うのはゼロからコミュニティを創るというところよりも、発展させるところにあります。

如何にして新しく入る人にとっても優しい、オープンなコミュニティにできるか?ですよね。

Dさん:それは実感としてありますね。実は子供も幼稚園であるきっかけから馴染めない時期が続いたりしたんですよ。もう今は解決して楽しくやっているのですが。やっぱり何も無い普段は良いのですが、何かあったときや判断に迷うとき、その人の考えが出たりするときにどうなるんだろうという思いはありますね。

吉田:どうなるというのは孤立してしまうと言う事ですか?

Dさん:端的に言うとそうですね。私はこの場所では日が浅いですし、それよりも何年、何十年と積み重ねられた人間関係が周りでは続いているのですから、何かあった時に孤立してしまうのでは、生活しづらくなってしまうのではと言った不安はありますね。もちろん、日頃はそんな不安が無いくらい皆さんから親切に、良くしてもらっているのですが。

団地の良さを『情報発信』して、地域や人との新たなつながりをつくる

吉田:そのあたりの微妙なところが今まさに新しく入られた人ならではの感覚かも知れませんね。コミュニティのある意味難しさを物語っているとも思います。ありがとうございます。他にはいかがですか?

Dさん:そうですね。他にはなんとなくですが、今の団地が周囲の町とギャップがあるような気がしています。築30年と言う事で成熟していて、敷地内にスーパーやコンビニ、町の病院、銀行のATMなど生活に困らない施設があるのですが、逆にその事によって雰囲気が地域と繋がっていないと言うか、閉じてしまっているのではないかという感覚もあります。

ただそれは悪いというわけではなく、団地内の雰囲気が良いので、もっと活気がでてくればその雰囲気が周辺にも波及できるのにな、広がっていけばもっと暮らしやすくなるのになという話ですよ。

吉田:マンションと地域の繋がり、これも以前から言われているテーマではありますが、これと言った解決策が見出されていないテーマでもありますね。

Dさん:やっぱり何かあった時に地域との交流があると安心というのがなんとなくあるので、そこについては私も協力できればと思っています。これといった明確なものがあるわけではないのですけれど。

少し話は変わるかも知れませんが、この前近くにある市場に行って魚を買ってきたのですが、そこの店長がとても気さくな人で、子供たちを見てお勧めの魚を提案してくれたり、調理方法を教えてくれたりして。行きつけになってしまったのですが、改めて昔の八百屋や魚屋みたいな雰囲気は良いな~と。団地内だけでなく地域や商店街の人とも顔見知りになれることでもっと暮らしやすくなるのかな~という実感はあります。

吉田:貴重なお話ありがとうございます。最後になるのですが、マンションに住む人や子育て世代の人に対してメッセージありますか?

Dさん:私が引っ越してきた団地は、今現在子育て世代、またその前段階の世代が非常に少ない状況です。しかし、これまでお話させて頂いたように、子育てをするにはとても良い環境があります。

家そのものも新築と比べてかなり安く済んだので、子供のために使えるお金も多少ですが増えましたしね。そういった意味で、もっとこのような暮らしがあるという事を知ってもらい、結果的に団地内に増えてくれたら、活気がでるのだと思っています。

子供の遊び場が多く、子供の遊びにも寛容な雰囲気が団地内にあるので是非知ってもらいたいと思っています!

吉田:ありがとうございます。とても興味深いメッセージですね。住まいに対する選択肢が増えてきたのを感じますし、昔の良い物件に目を向ける事でこれからの暮らしに必要なものが手に入るのではとも思いました。

今回はまだ引っ越して間もないタイミングでのインタビューでしたが、また引き続きお話を聞かせて下さい。このたびは本当にありがとうございました。

Dさん:こちらこそありがとうございました!


皆さん、いかがでしたでしょうか?キーワードとして見えてきたのは「扉の外も住まいである」、「住まいに新しい選択肢が出てきた」、「コミュニティには二面性がある」といったものです。

まだまだDさんのように選択する人は少ないと思いますが、これからの日本の暮らしを考えると、古い良いものを活用する、世代を超えた協力で少子高齢化に対峙するといったところが必要不可欠であり、これから増えていくのではないかと感じました。

今後もこのような判断をされた人の背景などに迫りながら、改めて団地の魅力について発信していきたいと思いますし、何よりもこれから住まいを考える人にプラスの情報になればうれしいです。

今回は以上です。
最後までお読み頂きありがとうございました!!

2013/07/30