第八回:仲間を集めて「少しずつ」マンション運営を始めてみよう!

楽しくなければ防災ではない!

東京湾岸集合住宅ぼうさいネットワークの様子。

吉田:色んな試行錯誤の末に今の運営があるのですね。ちなみに、私は千田さんというと千田さんが代表幹事をされていらっしゃる「東京湾岸集合住宅ぼうさいネットワーク」のフォーラムでお会いした事もあり、防災のイメージがあるのですが、防災をやり始めたのはいつごろなのですか?

千田さん:きっかけはそこで働いてくれていた管理人さん2人が辞める話になって、急遽業務を引継ぎしなければという事になったんだけど、そこに防災訓練が含まれていた。

初めは防災訓練って何する?位の話だったんだけど、やらないわけには行かないし、どうせやるならしっかりやろうという事で携わる事になったの。

吉田:防災訓練の引継ぎがきっかけだったのですね。

千田さん:そう。この防災の取組みも、自治会と理事会から人間を半分ずつ出し合って運営するという形になったんだけど、答申案を作っている間に阪神大震災が来たのよ。

あれクラスの地震が来ると、これまで考えていたものでは太刀打ちできないという話になって、根本から考え直そうという話になったのよね。そこで自主防災会という組織が出来た。

そこでリーダーを地域でもお祭り男として有名な人に声をかけてやってもらう事にして、メンバーも仲間に声をかけたら40~50人になったので、これはしっかりやろうという話になったのよ。

吉田:初めから40~50人ですか。それまたすごいですね。

千田さん:その会が面白かったのは「楽しくなければ防災ではない」というコンセプトで運営されていた事。リーダーも「同じ釜の飯を食う」って言っていたけど、変に学術的でなく実学や経験に基づいたものだから説得力もあったし、みんながそれで動いたのよね。

とにかくみんなでわいわいやりながら、集まってはお酒を飲んだりもして運営していた。

それが結果的には認められて、総務大臣賞や消防総監賞、江戸川区長賞の三賞をもらう事になり、防災で有名になったのよね。とにかく楽しくなければ続かないし、マニュアルだけでは役に立たない。

吉田:そうですね。わたしもマンションの防災にはマニュアルが必要だとは思いますが、それだけでは足りないと感じていました。

千田さん:言い過ぎかも知れないけど、マニュアルだけ用意してもダメだと思うの。せっかくつくったマニュアルをいざという時に実践できるように、しっかりとみんなの腹に落としたり、考えたりするようにする必要がある。

例えば、3日間は助けが来ないって言うから、3日間をしのごうって話があるけど、建物が丈夫なマンションに本当に3日間で助けが来てくれるのか?って考えてみる。

すると、来ないよねという結論になり、3日間だけでは足りないぞって初めてみんなが真剣に議論をし始める。そういった事を考えておく事が重要なのよね。

緑はみんなが働けるし、働くと罪悪感無くお酒が飲めるから良い

緑育会の作業風景。

吉田:千田さんのお話を伺っていると、本当に説得力がありますね。

千田さん:マンション管理に話を戻すと、今は私は直接的に携わってはいないの。私は自主管理に切り替わった、会社で言うといわゆる立ち上げ時期の運営を担当していたから。

事務局は60歳の定年で辞めて、防災は15年ほど続けていたけど、ずーっとそのままではいけないなって思って、交代したのよ。安定期にはそれにあう運営が必要だと思ってね。課題が無い運営は無いけど、それはそこに住む人たちで解決していくしかないのよね。

今私が住んでいるマンションも若い世代の人たちが徐々に管理に関わるようになって、また変わって行くのじゃないかしら。そして私はそれでよいと思っているのよ。

吉田:今は何をされているのですか?

千田さん:先ほどの防災の活動と、緑育会っていうボランティア組織の運営をしているわ。28年続いている組織なんだけど、私は2年前からリーダーを引き継いで運営している。

これまで少しばらばらしていたのを、まとめたりして、とにかく楽しもうって切り替えたの。そしてそこでも楽しくお酒を飲もうって事にして、毎回ではないけどお酒を飲む場を作ったわ。

緑が良いのは、みんなが働く事が出来るし、働くとお酒を飲んでも罪悪感が無いのがいいのよね。多くの人が仲良くなるには一番の取組みだと思うわ。

地域コミュニティにはキャリアではなくてキャラクターで勝負!

吉田:緑はお酒が飲めるから良い、これは名言ですね(笑)千田さんのお話を伺っていると、常に生活観と楽しさがありますよね。

私もそれが女性視点でマンションの暮らしを眺めてみたいと思ったきっかけでもあるのでとても参考になります。

千田さん:私もそう思うわ。私もコミュニティってとても大事だと思っている。そして根本はもっと楽しむべきだと思っているのよ。だって会社と同じでは面白くないじゃない。

もっとキャリアでなくてキャラクターで魅力的にならないとって思っているわ。キャリアは役に立たないとは言わないけど、上下がない環境にいたらやっぱりキャラクターよね。

吉田:キャリアでなくてキャラクターで魅力的になれ、これも素晴らしい言葉だと思います。

千田さん:結局何だかんだといっても人と人の繋がり、つまりアナログがとても大切。防災についても何かがあった時に「あの人大丈夫かな?」って瞬時にイメージできる関係があるから機能する。そこを忘れてはだめね。

地域でコミュニティを作るために大切な3つの事

吉田:コミュニティにも話が及んできましたが、このコミュニティが作れずに困っている人がいます。何かアドバイスはありますか?

千田さん:まずは仲間を作ることね。そして何かの役に立つこと。場を作って盛り上げる事が数名の仲間でできれば、何かが生まれるわ。

それと小さく始める事も大切な事だと思うわよ。理事など役がないと何にも出来ないと思っている人もいるかも知れないけど、話を聞いてくれる人を見つけて提案すればよいし、とにかく始めてみるというのが大事だと思うわ。

吉田:小さいところから始めた千田さんの実例はありますか?

千田さん:私の場合は、事務局を辞めるときにマンションにイルミネーションを寄付したの。そしたら今でも使ってくれているし、子供たちも喜んでくれている。

本当にやって良かったと思うし、こんな事をみんなもやっていけば良いのではって思いますよ。

吉田:長時間に渡り、また多岐にわたるお話をありがとうございました!貴重なお話の数々と沢山の名言を頂きました。
そしてやっぱり女性がもっとマンション運営に関わっていく機会ができれば、もっと暮らしは良くなると確信しました。

千田さん:さっきの話と似ているけど、もっとオリジナリティを皆出してよいと思うわ。若い人の力も借りなきゃいけないし、アイデアを生かすにはそういった事を認める雰囲気も大切よね。

吉田:最後の最後までありがとうございます。今回は貴重な時間本当にありがとうございました。
千田さん:こちらこそありがとうございました!


いかがでしたでしょうか?

女性には失礼かも知れませんが、パワフル、バイタリティに溢れるといった言葉がぴったりの素敵な千田さんのお話でした。
千田さんのお話を伺っていて、改めて感じたのは自らのキャラクターを大切にすること。そして前回の佐々さんとも通じる話ですが、始めの一歩を踏み出すこと、その重要性を改めて感じました。

地域で、マンションで何かやろうと考えると大きく構えてしまいがちですが、仲間で他の人にも必要だと思うことをやるというシンプルな事が今必要なんだと思います。

正直、ここには書ききれない面白いお話が沢山ありました(笑)

生活者として第一線で活躍されてきたからこそのエピソードには沢山の学びがありましたし、今後もこのような機会で発信していけたらと思います。

ありがとうございました!

2013/06/17