合意形成~理事会にワークショップを取り入れよう~

せっかくのアイスブレイクが成功しても、肝心な議論が進まないようではいけませんよね。
今回は理事会でのお悩みナンバーワン、『合意形成』について考えてみましょう。

「会議があまりにも長く、最長6時間もかかったことがある」
「いろいろな意見があり、集約するのに大変だった」
「同じ住民なのにケンカごしになってしまう」

特に、資金面にかかわる修繕問題などは意見も二つに割れがちです。

そんな時こそ雰囲気を変え、手を動かし、小さな発言を拾うことで議論のゴールに近づけましょう。ポイントは、大きな声で発言しなくとも「自分も参加した」という認識を持たせることです。

もっとも簡単なブレインストーミングとKJ法

挙手制で意見を述べてもらうだけでは、賛成と反対の二極化が起こりやすくなります。

そこで、最も簡単で分かりやすいワークショップ、ブレインストーミングとKJ法をご紹介します。どこの家庭にもある、ポストイットとペンを使って参加者の本音を引き出しましょう。

例えば修繕についての話し合いをイメージしてみてください。「反対」という意見の中には、以下のような気持ちも隠れているケースがあります。

「必要なのは分かるが、管理費の値上げは来春まで待って欲しい」
「マンション全員にアンケートを取ってからが望ましいのでは」
「低予算で収めるための見積は取ったのか」

ブレインストーミングとは、集団で意見を出し合うことによって頭の整理と新たなアイディアを生み出す方法です。始める前に、以下の決まりごとを促すのがポイントです。

①批判・判断・結論を出さない(他人の意見は否定しない)
②ユニークな意見を歓迎する(どうせできないと考えない)
③意見の量より質を重視する(ポンポンと直感で出す)
④意見を結合し連想させる(他のアイディアから刺激を受ける)

次に、ポストイット1枚にブレインストーミングから出た1つの意見・アイディア・課題などを書いてもらいます。ポストイットは何枚使っても構いませんが、必ず1ポストイットに1意見です。

続いてKJ法です。KJ法とは、ブレインストーミングでポストイットに書かれた多くの意見・アイディアをグループ化し、論理的に整序して問題解決の道筋を明らかにしていくためのです方法です。
進め方は以下を参考にしてみてください。

①ポストイット1枚に1意見をどんどん書いてもらう
②書かれたポストイット全てを提出してもらい、模造紙などに張り付ける
③それぞれの種類分けを行い、タイトルを付ける
④タイトル同士がどのような関係にあるのか、根本的な問題点を見付ける

具体的なイメージとして、資金的問題、段取り不足、住民への影響、修繕時期の選定など、様々なタイトルが浮かび上がってくるでしょう。

ここで大切なのは、細かく種類分けを行い、分かりやすいタイトルを付けること。無理に種類分けしようとせず、一匹狼的な意見も丁寧に扱うことです。④は多少難しいので、KJ法に慣れてからでも構いません。

そうすると、反対意見から「どうしたら実施することができるのか」が見えてくるのです。

「ひとまずはアンケートを取って不安要素を出してもらおう」
「夏の養生は厳しいので冬に着工できるようスケジュールを立てよう」
「資金的問題と見積もり依頼は関係性が近いので担当者を決めよう」

KJ法を活用したワークショップの様子

もちろん、限られた時間内では話がまとまらないケースもあるでしょう。その場合、たくさんの意見が出たことを褒め、一度持ち帰ってもらうのも手です。

最も大切なことはメリハリをつけて時間を区切り、参加者に役割を与えること。ブレインストーミング○○分、ポストイット作成○○分、種類分け○○分、全体○○分、ポストイット配り○○さん、タイムキーパー○○さん、といった具合です。

種類分けとタイトル付けの例

応用としての田の字法

マンション全体の今後や地域の展望など、望ましい未来に向けたアイディアを出す手助けとなるのが「田の字法」という手法です。

こちらは比較的大きな問題やワークショップに慣れている場合に有効です。仕組みはいたって簡単、「田」という字を思い浮かべてください。「田」は四角が4つ合わさっていますね。

この形を利用して、「現在×肯定的な考え」「現在×否定的な考え」「将来×否定的な考え」「将来×肯定的な考え」の順に箇条書きしてもらいます。左上、左下、右下、右上の順番ですね。
例として、「マンション全体の今後」を議題にしてみましょう。

①現在×肯定:マンション共有部があり自然とあいさつが交わされている
②現在×否定:部屋ごとに温度差があり理事会参加者も限られる
③未来×否定:プライバシーを尊重しすぎて近隣との関わりがなくなる
④未来×肯定:平時だけでなく震災など有事のつながりも深めたい

あまり深く考えることなく5~10分で作成してもらい全員の意見を集約すると、目指すべき未来と現在の課題が見えてきます。「癒し」「コミュニケーション」「防災」「笑顔」など、共通するキーワードに着目するとビジョンも浮かびますね。

「小さな意見」をひろう工夫を

「気軽に集まる機会を増やして、発言しやすい環境を作ってはどうか」
こちらは以前、マンション・ラボさんで理事の方を対象に行ったアンケートに書かれていた理事会への要望です。

会議となれば、声が大きく発言の上手な方が目立ちがちですが、決議後に反対意見を持ち出され苦労したという方も少なくないのでは。合意形成とは意見の一致を図ること、つまり全員参加が原則なのです。

しかしながら、参加者全員が挙手をし意見を述べることは非常に難しく、ともすれば出席率の低下を招いてしまいますね。

そんな時は、小さな意見も拾えるワークショップ型理事会をお勧めします。ワークショップの仕掛け人をファシリテーターと呼びますが、難しい役割ではなく時間を区切って意見をまとめるだけです。書店では多くのワークショップやファシリテーターに関する書籍が出ていますので、ぜひ参考にされてください。次回理事会の開催を、ちょっとだけ楽しみにしていただければ幸いです。

参考:「田の字法」とは何か 岩崎 博

2013/04/10