ちょっと待って!理事会を始める前に

それでは早速、理事会を始めていくことにしましょう。

「皆さん、本日はお忙しい中ありがとうございます。まずは資料をご覧ください、一つ目の議題『マンション修繕計画の見直しについて』…」

よくある理事会の開始風景ですが、参加者の表情はどうでしょうか。緊張などで強張っている方もいるかもしれません。
前回もお伝えしたとおり、今回のコラムでは参加者も司会者も、理事会を気持ちよく、かつ効率的に進めるための、ちょっとした工夫をご提案します。

場を和ますアイスブレイクの効果

理事会や自治会に限らず、研修や会議は「導入」が肝心です。
いかに効率よく全員の意見を引き出すか、白熱した議論に集中させるか、自分事として捉えてもらえるか、これらは全て開始10分で決まります。「アイスブレイク」という手法は、文字通り「氷のような雰囲気を壊す活動=参加者同士の抵抗感をなくすための短時間グループワーク」のこと。

これからご紹介するのは、私が司会として行なった、あるいは参加したもので特に盛り上がった事例です。さらに、アイスブレイクには場を和ますだけでなく、導入が楽しいことによる遅刻の防止、活発な議論を誘発することによる時間短縮などの効果もあります。冒頭の10~15分を使うだけで、想像以上に効果がありますから、ぜひ参考にしてください。

【ケース1】:理事会が大人数で初対面の場合 ~『誕生日で並んでみよう!』~

出席者が大人数の場合、理事会の議案の内容などを考えると、アイスブレイクに時間を掛けすぎてもいけません。そのためには、年代を問わず盛り上がる、たとえば誕生日順に整列しながら、コミュニケーションの取れる仕掛けを行なってみるのはいかがでしょう。まず、集会室などの会場をいっぱいに使い、1月1日から12月31日まで日付順に並んでもらいます。最後に司会が端から誕生日の答え合わせをし、順に並べていれば、その協調性を褒める、というものです。

ポイントとしては、それぞれが誕生日を明かすため、近い方に親近感が湧き、自ずと隣同士の会話が生まれやすいこと。偶然にも誕生日が同じ方、当日が誕生日の方へは全員からお祝いの言葉を掛けてみましょう。また、マンションの特長を活かす応用編として、部屋号順に並んでみるのもいいですね。

【ケース2】:理事会が大人数で顔見知りの場合 ~『後出しジャンケン大会!』~

出席者が顔見知りの場合は、少しゲーム性を持たせると盛り上がるでしょう。おススメは、「後出しジャンケン大会」です。ジャンケン・ポン・ポン!の掛け声のうち1回目の「ポン!」で司会者が、2回目の「ポン!」で参加者に出してもらいますが、その際、後出しで「負けてもらう」ように伝えます。全員起立して競技を開始、間違えて勝ってしまった方やあいこの方には座ってもらい、最後に負け残った方に、理事会への意気込みなどをインタビューします。

ポイントとしては、「ジャンケンは勝つもの」という先入観を崩すことの面白さ、慣れの素晴らしさを会議に生かしてもらうことです。ご年配の方が多い場合は、ゆっくり数回の練習を設けましょう。徐々にスピードを上げると、さらに大盛り上がりしますよ。

「後出しジャンケン大会!」の様子

【ケース3】:理事会が少人数で初対面の場合 ~『実は…自己紹介!』~

出席者が少人数の場合、1人当たりの自己紹介時間は多く取れますが、単純な質問の繰り返しでは少し疲れてしまいますよね。そこで、自己紹介にちょっとアクセントを加えて話しやすい雰囲気を作りましょう。名前・部屋番号・趣味・出身地など当たり障りない自己紹介の後「実は…」を使って自分だけの項目を作ります。「実は…学生時代は陸上部でした、ランニング仲間を募集しています。」「実は…パンを焼くのが趣味なので、美味しいパン屋さんを教えてください。」「実は…間もなく子どもが生まれるのでママ友達を作りたいです。」意外にもアッと驚く特技をお持ちの方がいるかもしれません。

ポイントとしては、「実は…」という秘密めいた共通のキーワードが、話しやすさと相手に対する興味を引き起こしてくれることです。自己紹介を始める前に例文を出すと分かりやすいでしょう。

【ケース4】:理事会が少人数で顔見知りの場合 ~『なりきり著者プロフィール!』~

出席者が少人数で顔見知りの場合は、すでにみなさん打ち解けている場合が多いので、少し難易度の高いアイスブレイクを実施してみましょう。
『なりきり著者プロフィール!』は、本の裏表紙によくある「著者プロフィール」をもとに、自分版のプロフィールを作って発表する、というアイスブレイクです。この中に、「○○マンションへ入居」など共通のキーワードを入れてもらいましょう。例えば、

例)1983年福島県生まれ。環境教育講師・ファシリテーターとして教育機関から一般企業まで幅広く活躍。宮城教育大学教育学部自然環境専攻卒業、プライベートではNPO法人GoodDayにてボランティア活動を行っている。2013年、環境に配慮したマンションを探していたところ、○○マンションと巡り合い入居。趣味は学生時代から続けているテニス。
という具合です。

ポイントとしては、本の著者プロフィールさながらに多少誇張して自分を紹介する新鮮さ、同時にこのマンションを選んだきっかけの共有ができることです。プロフィール作成の参考までに、いくつかの小説などを用意しておくといいでしょう。

「みんなで場をつくる」という考え方

理事会や自治会の中心は、理事長・副理事長だけではありません。
「発言をしやすい雰囲気はみんなでつくる」「人の意見は最後まで聞く」「声の大きい人に頼らない」これらの基本的なことを自然と身につけられるのが、アイスブレイクの特徴でもあります。

大切なことは、間延びしないよう時間を区切ることです。
アイスブレイクのまとめを持って議題に入り、「みなさんの意外な一面を知ることができました。今後はこのメンバーで理事会を行いますので、積極的な意見交換でマンションを盛り上げましょう。」「先入観は時として思考を妨げます、ぜひ今日の理事会では先入観を除いて議論しましょう。」といった具合に進められると、自然と活発になるのではないでしょうか。

大切なのは理事会で行なわれる議題を検討し、進めていくことです。しかし、理事会が進行している中で、発言も出なければ意見もまとまらない、堂々めぐりの長時間を過ごすことはありません。

短時間で、活発な議論が自然と生まれるためのちょっとした手法「アイスブレイク」。
理事会や自治会の前にひと工夫、ぜひお試しください。

参考:NPO法人 日本ファシリテーション協会 アイスブレイク集
https://www.faj.or.jp/facilitation/tools/

2013/02/25