植栽がマンションの暮らしを豊かにする!コミュニティや価値を育む、植栽の可能性を考える

みなさん、こんにちは。マンション・ラボ編集部です。編集部では、毎回取材でさまざまなマンションに訪問していますが、「住んでみたいな~」と思うマンションには、必ずといっていいほどきちんと整備された、きれいな植栽があることに気づきました。緑のあるマンションは、なんだか暮らしにゆとりがあるというか、ホッとするというか、惹かれるものがあるんですね。

考えてみると、植栽は都会の暮らしにとって不足しがちな緑の豊かさや心の潤いを感じさせるものとして、街のいたるところで整備され大切にされています。マンションにとっても、きっと普段から住民の方の日々の癒しや潤いになっているのではないでしょうか。とはいえ、美しい植栽を維持するためにはきちんとした管理が必要で、それなりに費用もかかりますし、「植栽に興味を感じない」「必要としない」という住民の方もいるでしょうから、きれいな植栽を維持・管理していくことに、ご苦労されているマンションも多いのではないかと思います。

そんな疑問が次々と湧いてきたため、先日リサーチ会員の方々に、「マンションの植栽に関するアンケート」を行い、みなさんの植栽に対する意見などをおうかがいしてみたところ、植栽に対して満足や不満な点がみえてきたり、価値観の違いがわかったりと、大変興味深いものになりました。ただ、はっきりといえることはマンションの植栽はいわば住民みなさんの庭であり、「大切にしていきたい」という気持ちをたくさんの方がお持ちだということです。

そこで今回は、植栽のアンケートを通じて感じた疑問や可能性について詳しく教えていただくため、マンション・ラボのコラムでもお馴染みの、植栽管理の専門家であり、植栽の新たな可能性や活用法を提案されている東邦レオさんにお邪魔してきました!植栽管理の難しさや魅力をあらためて感じる貴重なインタビューとなりましたので、ぜひご覧ください!

今回お話をうかがった方は、東邦レオ株式会社 吉田啓助さん(Green×Town事業 統括責任者)、栗原優香さん(Green×Town事業 担当コミュニティプランナー)のお二人です。

東邦レオ株式会社は、Living(生活)、Environment(環境)、Organizer(貢献者)の頭文字を社名にしている通り、“人間が人間らしく生きることができる環境を創る”ために、省エネ・健康・安全に関する建築関連事業、環境改善・景観向上に貢献緑化関連事業を手がけています。同社のマンション・団地の植栽管理サービス「クリエイティブグリーン」は、植栽管理を通じて長期的改善計画からコミュニティ形成支援までを行う画期的なビジネスとしていま注目されています。

マンション植栽管理専門サイト「クリエイティブグリーン」
http://www.mansion-green.jp

東邦レオ株式会社コーポレートサイト
http://www.toho-leo.co.jp

マンション住民は、美しい植栽を求めている!

まず、お二人に、アンケート結果について見ていただきましょう。
回答者の90%近くのマンションには植栽があり、70%近くの方が満足しているようです。マンションの植栽があることで、「緑があることで豊かさを感じる」「環境美化」、「季節を感じる」と満足している人がいる一方で、不満足に感じている方の原因は「枯れている箇所がある」「景観上美しくない」という、手入れの悪さや美観的な問題でした。

Q.現在のマンションに植栽はありますか?
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Q.植栽には満足していますか?
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Q.植栽に満足している理由を教えてください。
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Q.植栽に不満を感じている理由を教えてください。
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Q.植栽が必要ないと思う理由を教えてください。

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吉田さん「植栽の満足度は、いかに手入れができていて美しい景観が維持できているかに比例しますね」

マンション・ラボ「植栽が枯れて景観が悪くなってきたために、東邦レオさんへ相談されてくるマンションは多いですか? 」

栗原さん「はい。たとえば新築間もないマンションでも、水ハケ・陽当たり・土壌などのさまざまな要因で環境に合わなくて、植栽の生育が悪くなってしまうことや枯れてしまうことがあります。ご相談をいただいた場合、まずその原因を調査し、試験的に一部植え替えなどを行って、その効果を見てからどのようにするか、理事会様と相談しながら進めていきます。

植栽の場合は、植物という生き物を扱いますから、段階を踏んで進めていくことが大切です。目隠しの生垣の生育が悪かった例では、土壌を調査してみると、既存の土が15センチほどしかなく、その下が砕石層だったために根を張ることができず育たなかったということもありました」

事例:専有庭の目隠しの生垣の生育不良

築5年のマンション1階の生垣に植えたレッドロビンの生育が悪く、生垣として機能していませんでした。調査してみると、土壌環境が悪かったことが原因だったことがわかりました。100メートルほどある生垣のうち、試験的に一部の土壌を2パターンに改良して、樹木を植え替えて成功。効果の良かった土壌改良方法で、次年度に全面改修することになりました。

マンション・ラボ「そういえば生育の悪い生垣をたまに見かけますね。単に手入れを怠った訳ではなく、土壌環境に問題があってそうなっているケースもあるんですね。それはやはり専門家に診てもらわないとわかりませんね」

栗原さん「他にも築5年のマンションで、生育が悪かった芝生に目砂と肥料を散布し、青々と伸びた事例もあります。いままでこんなに芝が青かったことはないと、理事長様にも大変喜ばれました。その後も、雑草の発芽を抑えてきれいな芝生を保つようにメンテナンスしています」

芝生の改修。施工前と、施工後1ヶ月の芝生。

マンション・ラボ「植栽がきれいになると、目に見えてわかって、住民も嬉しいでしょうね」

栗原さん「はい。私達が管理作業をしているときに、“きれいね”や“ありがとう”と住民の方から声をかけていただくこともあり、とても嬉しく思います。皆さんもご自分のマンションがきれいになっていく様子を見ると自然と笑顔になられますね」

マンション・ラボ「たとえば、マンションによって植栽の傾向や、“これを植えたい!というリクエストはありますか?」

栗原さん「そうですね、マンションができた年代によって植栽の傾向が違います。10年以上前にできたマンションだとツツジやサツキ、ツバキやサザンカが主体の植栽が多いです。人によっては古い印象を抱く方もいらっしゃいますね。最近できたマンションですと、植栽設計に注力していて、おしゃれなハーブガーデンやローズガーデン付きのものもあります」

マンション・ラボ「古い印象の植栽も、イメージチェンジできますか?」

栗原さん「はい。その場合は優先順位を付けて、部分的にイメージチェンジのご提案をすることが多いです。たとえば、最初は目立つエントランスの部分だけやってみましょうか、その次はハーブを取り入れてこうしましょうか、といった段階的なご提案です」

エントランス改修

生育が悪く、雑草の多かった、エントランス部分の植栽。見栄えがよい、デザイン性の高い多年草や季節のお花で演出するご提案を行いました。このときは最初に合成写真で施工半年後の合成イメージ写真を作成してご提案。最終的には写真のような完成状態になりました。改修のご提案では完成イメージを具体的にお伝えすることも大切です。

栗原さん「人目につくエントランスを優先して改修すると、他の植栽もこうしたいというリクエストをいただくことが多々あります。きれいに変わって初めて、植栽への興味や理解が深まるようです。

私達はお客様のやりたいことを実現するべく、理事の皆さまとお話ししながら、時間をかけてじっくり調査・試験・施工をしていきます。また、水やりを行う管理員さんや住民ボランティアの方の協力を得て、普段の花壇管理などを行っていただくこともありますので、皆さんとのコミュニケーションや連携がとても大事です」

マンション・ラボ「住民や管理員さんと連携することできれいな植栽が維持できる訳ですね。ところで、植栽が必要ないと答えた方は、興味がない、害虫が出るから必要ないと言う方がほとんどでした。興味のない方にはどうしようもないのですが、害虫にはどう対処できますか?」

栗原さん「害虫については日々のメンテナンスでこまめにチェックして、虫の被害を発見したら、早期駆除を徹底するのがいちばん効果的です。また主な害虫の発生時期と発生しやすい樹木はわかっていますので、毎年発生する種類の樹木へは計画的な予防消毒を行うことをお勧めします。植栽は日々の管理で美しく維持できるものだとご理解いただければ嬉しいですね」

マンション住民が植栽に関わることのメリットとは?

マンション・ラボ「アンケートで植栽の管理についても質問してみましたが、植栽の管理は管理会社や専門家に任せている一方で、植栽のお手入れに参加したいかという質問には、半数が何らかの形で関わりたいと考えているようです」

Q.植栽の管理はどなたが行っていますか?
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Q.マンション内に植栽に関する委員会や組織はありますか?
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Q.機会があれば共用部の植栽のお手入れなどに参加したいと思いますか?

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栗原さん「楽しめる範囲で参加したい・住民同士の交流につながるなら参加したいという方が、45%もいらっしゃるのは凄いことだと思います」

吉田さん「そうですね、我々が想像している以上に、植栽に関わりたいと考えている住民の方が多いということを、日々実感しています。事業者としても、住民は植栽に興味はないと思い込んでいるようですが、実は潜在ニーズに気付いていない状態なのだと思います」

マンション・ラボ「アンケートでも、植栽に関する住民イベントを実施している例は非常に少なかったですね」

Q.お住まいのマンションで行われている植栽に関する住民向けイベントがあれば、教えてください。

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吉田「実は、私達の会社にこの事業ができたのも、あるマンションへの提案から始まりました。最初はツツジの植栽が枯れていることからいただいた相談だったのですが、築10数年経っているマンションで、昔は住民交流も活発だったのですがいまはそれもほとんどないような状態でした。そこで、植栽地を大きく変えて住民交流の場づくりに活用しませんかというご提案をさせていただきました」

マンション・ラボ「どのような提案をされたのですか?」

栗原「“コミュニティの復活”をコンセプトに掲げ、住民交流を促進する設計を施した庭づくりやベンチの設置などを提案しました。さらに工事中も工事箇所や情報をできるだけオープンにして住民公開で進めました。最後は住民参加の花植えイベントを開催。100名以上の方が参加していただき、植栽を使ったコミュニティイベントとして大成功しました」

吉田「この成功により、深く関われば関わるほど、お客様におもしろい提案ができるのだということを実感しました。いい緑には必ず人が関わっていますし、人と人との縁が存在するんですよね。植栽を入口にすると、いいコミュニティをつくることができる。人と緑のいい関係づくりに着目したのが我々の事業のテーマです」

マンション・ラボ「それはおもしろいですね。植栽を使ったコミュニティイベントでは、他にどんなものがありますか?」

栗原さん「あるマンションの中庭で催した“みんなで花壇をつくろう!”というイベントでは、30名ほどの住民が参加してくださいました。みんなで土を耕して、花壇をデザインして、花を植えていただくところまで実施しました。3つの花壇をそれぞれの住民チームが担当したのですが、幼稚園の男の子がすごく独創的に花壇をデザインしてくれておもしろかったですね」

“みんなで花壇をつくろう!”イベントの様子。子ども達だけでなく父兄の方もすごく楽しそうですね。土いじりには、みんなに癒し効果があります。

栗原さん「他にも、手入れして青々となった芝生を、その日だけはイベントのために開放。お父さんとお子さんで芝刈り体験や、裸足で芝生の上で遊んでいただきました」

マンション・ラボ「自分達でつくった花壇だと愛着もひとしおですね。その後のお手入れにも、子ども達が積極的に関わってくれそうです」

栗原さん「他にも、マンションのガーデニングコンテストとして、マンション内に設置する20個のプランターを個人で自由にデザインして、人気投票していただくイベントも行いました。優勝者には、ディズニーランドの招待券を管理組合からプレゼントされていました」

マンション・ラボ「イベントを通して住民が積極的に植栽に関わっていくことができますね。ただ住民だけに任せていくと、まわりの植栽とのバランスや生育の点で大丈夫でしょうか?」

栗原さん「その点は、我々専門家の視点で監修しつつ、アドバイスをしたりしてサポートします。また、外部にも目立つエントランス部分はデザイン検討から我々と理事様で丁寧に進め、中庭は比較的自由に住民の方が植え替えたりデザインしていただいたりということもあります。みんなでつくった花壇には、“みんなで植えた花壇だから大事にしてね”という立て札を立てたりすると、子どもも大切に見守ってくれます。やはり植栽は、住民の皆さんが自分たちの庭だという意識で関わるとどんどん良くなり、コミュニティを育むきっかけになりますね」

吉田さん「私達が携わるようになって目に見えてよくなったと、理事さんから感謝の言葉をいただくこともあり、有り難いですね。少しずつ植栽がきれいになっていくことで、たとえば会議でも住民の方から植栽への質問が増えたり、雑草を抜いてくださったり、皆さんが関わりを持つようになってくださいます。まさに正のスパイラルです。植栽で、マンションにいい交流が生まれて、コミュニティに力が備わっていくのが素晴らしいと思いますね」

きれいになった芝生を裸足で踏みしめるのっていいですね。芝生の上でスラックライン(スポーツ綱渡り)をみんなで遊んだ様子です。

資産価値を高める植栽の魅力と可能性について

東邦レオさんが手がけてきた植栽イベントの数々。大人や子どもの笑顔で溢れています。

マンション・ラボ「アンケートでは、約75%の方が、植栽がマンションの資産価値に影響を与えるとお答えでした。実際に現場に関わる立場としてどうお考えですか?」

Q.植栽はマンションの資産価値に影響を与えると思いますか?

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吉田さん「マンションは、立地環境や規模を変えることはできませんが、植栽や共有施設、ゴミ置き場などの管理部分は、住民の皆さんで満足できるものに変えていくことができます。逆にこの部分を維持できてこそ、管理の行き届いたマンションという資産価値を生んでいくことができます。実際、私達にお声をかけてくださるマンションは、植栽をきれいに維持していきたいという意識が高いですし、いい植栽を維持されているマンションは、他の面でもしっかりしているなと気付かされます」

マンション・ラボ「回答者の皆さんから、植栽とマンションの資産価値についてこんな意見がありました」

植栽があるのとないのでは、イメージや高級感、付加価値が違う。実際にマンションの価値も違う。

自分自身も、現在住んでいるマンションを下見したときに、きれいな緑の多かったことが、購入を決めた理由のひとつ。

よく手入れされた植栽があると、マンションの管理がしっかりしていると感じる。

所有しているマンションには、巨大な植栽エリアがあり四季の花が美しい。それが資産価値を高めているために、賃貸にだしてもすぐ借り手が見つかる理由のひとつになっていると思う。

栗原さん「そうですね、植栽が、ある意味でマンションの顔にもなる訳ですから、植栽を守ることが資産価値につながっていると思います。さらに押し進めて、さきほどのコミュニティイベントの例のように、植栽をコミュニケーションのツールとして活用いただければ、さらにコミュニティを活性化させて、無形の資産価値向上につながるのではないでしょうか?」

吉田さん「よい緑(みどり)のまわりには、よい人の縁(えん)がありますからね。ある方が“扉の外も私達の住まい”とおっしゃっていますが、まさに本質を突いた言葉です。マンションも、自分の部屋だけでなく、扉の外の、庭も含めた敷地が自分たちの住まいなのです。マンションの植栽は、みんなの庭であり自分の庭。そういう意識で、もっと積極的に植栽に関わっていただければいいなと思います」

栗原さん「私達も、植栽のプロとしてお手伝いをしていければ嬉しいです。なんといっても、きれいな植栽は住民の皆さんの笑顔を生み出します。そのことが私達の仕事の励みです」

マンション・ラボ「本日はありがとうございました」


東邦レオさんでは、他にも「団地新聞Green×Town」というメディアやショールームなど多彩な展開をされています。興味のある方はこちらもご覧ください。

東邦レオが発行する「団地新聞Green×Town」。団地で生まれた知恵をみんなで共有する、管理組合向け新聞。いろいろなマンションの事例が紹介されています。HP上でバックナンバーが読めます。

【ピアンタ・スタンツァ】室内空間の緑を体感できるショールームが、2014年7月に中央区新川に誕生。緑で壁一面を覆う商品など、グリーンインテリアの参考にできそうです。

団地新聞Green×Town
http://www.mansion-green.jp/greentown/index.html

東邦レオさんの手がけている事例を拝見すると、マンションの植栽が、コミュニティづくりのきっかけとなりひいてはよく手入れされた植栽がマンションの資産価値向上につながっていくということがよくわかりました。

きれいな花を見たり土に触れたりすると、人間の五感が刺激されて豊かな気持ちになるものです。植物に触れあえる楽しいコミュニティイベントは、老若男女を問わず、さまざまな世代の住民にアピールできそうです。

さまざまな可能性を秘めたマンションの植栽、いかがでしたか?きれいな植栽を維持・管理していくためには費用が必要ですし大変なことも多いと思いますが、有志の住民を集めて一緒に植栽を管理してみたりイベントのひとつに植栽を活用してコミュニティづくりを育んだりと、工夫次第でさまざまなメリットを生み出していけるところに大きな可能性を感じました。また、マンションにお住まいの皆さんが日頃特別に意識はしなくても、心のどこかで植栽を大切にしている気持ちを知ることができて本当によかったです。この記事が植栽の可能性をさらに広げ、より豊かなマンションライフにつながっていくお役にたてればうれしいです。


取材協力:東邦レオ株式会社

マンション植栽管理専門サイト「クリエイティブグリーン」
http://www.mansion-green.jp
東邦レオ株式会社コーポレートサイト
http://www.toho-leo.co.jp

2014/10/10