コミュニティ再生の鍵は団地にあり!? 「ルネッサンスin洋光台」の挑戦

横浜市にある洋光台地区は、昭和40年代に開発された郊外住宅地です。

居住者の高齢化が進むなか、世界的な建築家隈研吾氏やクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏などの有識者アドバイザーによる会議をはじめとした、大規模なまちづくり再生活動「ルネッサンスin洋光台」プロジェクトが始動しています。

その一環として、3月9日にコミュニティ活性化のための地域拠点「CCラボ(コミュニティ・チャレンジ・ラボ)」が団地の一階の商店街の中にオープンしました。今回は、そのオープニングイベントの様子を紹介します。

いま“団地”が熱い!?

アニメ「団地ともお」や団地写真集・団地DVD、団地R不動産、団地リノベーションなど、いま“団地”が静かなブームです。そのブームの火付け役ともいえるのが、UR都市機構の公団住宅(現:UR賃貸住宅)でしょう。

無印良品とのコラボ「団地リノベーションプロジェクト」や、イケアとのコラボ「イケアとURに住もう。」など、若い人たちが団地を見直す新しい仕掛けが最近目立っています。

UR都市機構の前身の住宅公団は、高度成長期の日本の住宅不足を担うべく、全国に大量の住宅を効率よく供給するために標準規格化した住戸を共通採用しローコストを実現して、全国都市部や郊外に続々と団地を建設しました。そして、これら団地へ入居した居住者の高齢化が進み、団地を中心にしたまちづくりの根本的な再生と活性化を考えるべき時期にきています。

駅前に連なる団地商店街と階段広場が特長的な洋光台中央団地

ここJR根岸線「洋光台」駅にある洋光台中央団地でも、団地が出来た頃から入居した居住者が高齢化を迎えています。また、洋光台中央団地は、一階がサンモール洋光台という商店街になっています。

そこで、洋光台エリアの再生と活性化を図るために、UR都市機構、神奈川県、横浜市によるエリア活性化プロジェクト「ルネッサンスin洋光台」がスタートしました。今回の地域拠点「CCラボ(コミュニティ・チャレンジ・ラボ)」の開設とオープニングイベントは、そのプロジェクトの一環です。

洋光台中央団地の一階に並ぶ商店街「サンモール洋光台」と階段広場。

「CCラボ」は、まちづくりのアイデアを実現する場所を目指す

「CCラボ」は、駅近くの洋光台中央団地の1階、サンモール洋光台に面した2区画にオープンしました。2種類のタイプがあり、1日単位で連続7日間まで利用できる「Short Lab」と、1ヶ月単位で利用できる「Long Lab」があります。

どちらもエアコン、トイレ、IHコンロのついたミニキッチンがついており、ワークショップやイベントやセミナー、フィルム上映会など、さまざまな利用方法が考えられそうです。

マンションでも、多目的室やキッチンスタジオなどの共有施設をこうやってコミュニティのために開放すれば、新たなコミュニティの輪が芽生えるかもしれませんね。

「CCラボ」の利用条件は、洋光台の地域のための参加型活動であること。さらに嬉しいのは、平成27年3月まで無料で利用できること。人が集まるイベントをスポットで開催したい人、じっくり長期的に取り組みたい人、さまざまなまちの活性化アイデアとニーズがここで実現できそうです。

この日のCCラボでは、「イザ!カエルキャラバン」による防災イベントが開催されていました。

実際にどんな人たちが申し込んできているのでしょうか。UR都市機構の団地マネージャー尾神さんに、お話を伺いました。

「皆さんからは予想以上のご好評をいただき、次第に予約が埋まりつつあります。Short Labは、地域の合唱団の集まりや写真展など。Long Labは、ギャラリーや子ども達のワークショップなどに使いたいという声がでていますね」と、尾神さん。

「CCラボ」内部。フローリングの床の上に、組み合わせパーツになったマットを敷いて座って遊べるようにもできます。壁には自由調節タイプの展示棚も備え付けられていました。

商店や住民、みんながサポートする「CCラボ」

「CCラボ」のオープニング当日、会場にいらっしゃった近隣の方々に感想を伺ってみました。

「洋光台の自治会や住民の皆さんは、自分たちでまちおこしの風を起こそうとしている人たちばかりですよ。たとえば朝の散歩のときに、子どもたちの見守りや防犯活動を行ったり、使われていない歩道橋をなくして自転車道路をつくったり、常に積極的にまちをよくしようと考えています。

団地ができた頃から住んでいる人たちの中には、孫ができて三世代でこのまちに住んでいる人も多く、“この団地を、子どもたちの故郷にしたい”という強い思いがあります」と、横浜市会議員の山本たかしさん。

「CCラボ」内の床も壁も天井も、国産木材が使用されています。木材に刻まれた印をそのまま見せているのもいいですね。

和服姿で目立っていたのは、洋光台近くの商店街にあるお茶やさん「いしだ園」の鈴木由美子さん。
「こうやって商店を地域の拠点に活用するっていいことですよ。商店街は違うけれども、こういった試みはどんどんやってほしいので、みなさんの活動を応援しています。お手伝いしますから、私たち商店主をどんどん活用してほしいですね。地元の商店って、地域の子どもに声かけたり、見守ったり、しつけたり、地域でいろんな役割を担っているんですよ」

鈴木さんによると、オープニングパーティのテーブルに並べられた軽食も、ここサンモール洋光台の商店からのものだそうです。
「カレーとナンは、インド料理のサフロンさん。あんかけ焼きそばは、日中料理の富貴さんからケータリングしてるのよ」。

こんな風に地元の商店と住民とが、「CCラボ」を中心にしてお互い助け合っていけば、まちづくりはもっともっとおもしろくなりそうな気がします。洋光台の活性化は、「商店×人」のパワーで相乗効果を生み出してくれるかもしれませんね。

サンモール洋光台
http://sunmall-yokodai.com

隈氏による「街の縁側」、地域拠点「CCラボ」づくり、続々と計画中

「ルネッサンスin洋光台」プロジェクトでは、平成23年から持続可能なまちづくりを検討してきましたが、平成24年から洋光台エリア会議がスタート。エリア会議での検討課題を、具体的なアイデアに落としていく住民参加型のまちづくりワークショップで、「駅前活性化」「多世代交流・コミュニティの活性化」などさまざまなテーマについてのアイデアが話し合われます。

エリア会議などの情報は、CCラボや並びのUR賃貸ショップ洋光台で配布されているリーフレットに掲載されています。

「ルネッサンスin洋光台」では、去年12月には、建築家隈研吾氏監修による団地内広場の改修検討着手が発表されました。隈氏は、「この広場は通路でありながら、たまり場もあり、コーナーや緩い勾配もあり、ポテンシャルが高い。そうしたものを生かして、“街の縁側”として、団地再生のモデルケースになれるはず」と語っています。完成が楽しみですね。

この場所がどんな広場に変身するのでしょうか。

洋光台住民のまちへの思いをアンケートで集計

「洋光台地区は、まちづくりの意識の高い人々が非常に多いです。昨年、1万800世帯の全戸対象アンケートを実施しましたが、回答率も高いものでした。自由記入欄への書き込みが全体の半分も。中には別紙3枚まで付けて思いを書いてくださった方もいらっしゃいました」と、尾神さん。

アンケートから性別・年代別の「まちの声」を集めて、リーフレットでも紹介していますが、こんなにもさまざまな年代の方々の声が集まっているのも、洋光台というまちの特色なのでしょうか。

アンケート結果がまとめられたリーフレット。回答者の3/4が「洋光台に住み続けたい」と思っていることがわかりました。(このリーフレットは6月以降に配布予定です)。

ワークショップでは、「Cyoiアクション」という、参加者が独自にちょいちょいやっていく取り組みがあります。ネーミングは「コミュニティ・洋光台・アイデア」から取られたもの。「CCラボ」でも「Cyoiアクション」イベントがいろいろ開催されるみたいですよ。

「我々UR都市機構も、いままで団地やマンションの建物をつくって提供してきましたが、これからは、新しい住まいのかたち、集まって住む“集住”の新たな価値観を提示していかなければいけません。“ルネッサンスin洋光台”の試みもそのひとつですが、これからも地域の皆さんと一緒にまちづくりに積極的に関わっていきたいと考えています。そして将来的には、ここで得た知見やノウハウを、我々の持つ他の団地や地域にも展開していくことが目標です」と尾神さん。

まちや商店とつながる団地のコミュニティスペースの活用という発想は、マンションコミュニティにも応用していけそうです。今後の「ルネッサンスin洋光台」の取り組みに期待したいですね。

駅前に広がる階段広場では、「イザ!カエルキャラバン」の防災訓練イベントが実施されていて子ども達が楽しんでいました。

ルネッサンスin洋光台の今後の展開

ルネッサンスin洋光台」隈研吾氏による洋光台中央団地広場の改修など、今後もさまざまな展開が予定されています。

また、スタッフBLOGではイベント情報がキャッチできます。

2014/04/24