マンションにも取り入れたい!サンフォーレに学ぶ高齢者を元気にするコミュニティ術

21世紀型高齢者ケアの小規模シニアホームや薬膳カフェ「りせっとcafe」に取り組む株式会社サンフォーレ。代表 堀井利修氏に、マンションでも学ぶべき“高齢者が元気に過ごすためのコミュニティ術”を紹介する。

サンフォーレの未来型発想、高齢者社会への取り組み

21世紀の高齢化社会に、質重視・小規模特化の新しい福祉サービス

代表 堀井利修氏

65歳以上が3000万人を突破し、4人に一人が高齢者になるという、未曾有の高齢化社会に突入した日本。国家の社会保障費は国家歳出の1/3を越え、いかに心身共に健やかに暮らせる仕組みづくりができるかを、真剣に考える局面に入っている。

株式会社サンフォーレは、1988年の設立以来、シニアひとりひとり異なる暮らしを心身共に支える、新しいタイプの小規模シニアホームづくりを推進してきた。

食後のワイン、車いすで町歩き、自分のペースで暮らせるコミュニティ

サンフォーレが小規模ホームにこだわるのは、それが一人一人の入居者の顔が見え、好みを把握して、満足のいくサービスを提供できる限界だからだ。たとえば、夕食にワインを一杯飲むのが好きな入居者には、体調を見つつ好みの銘柄のワインを用意する。透析治療を受けている外出好きの入居者には車いすで街の空気を楽しみながらスタッフが病院まで送迎したり、個々の好みや状況に合わせたきめこまかなサービスを提供しているという。

堀井:今までの福祉は身体を支えるケアでしたが、これからの21世紀型の福祉は、心も支えなければいけません。さまざまなライフスタイルの人生を過ごしてこられた一人一人の方が、自立と自由を手放すことなく、自分のペースで安心して暮らせるコミュニティが、サンフォーレのシニアホームです。

マンションにも取り入れたい、サンフォーレに学ぶ高齢者を元気にする取り組み

では、ホームのひとつ、サンフォーレ鵠沼の内部の様子を見ながら、高齢者を元気にする取り組みのヒントを探ってみよう。

居室33 室のサンフォーレ鵠沼は、湘南のターミナル藤沢駅から徒歩6分の静かな住宅街に立地している。3階建ての1階はエントランスホールや食堂といった皆が集まる共有の場、2階以上が共同浴場と居室となっている。

好みのインテリア、バリアフリー配慮の居室

居室は、トイレ、洗面所、ベッド、クローゼットがコンパクトに設置されている。壁紙は入居者の好みで部屋毎に選べ、同じ間取りの部屋でもそれぞれに個性がある。

好みの絵や写真を飾って楽しそうな雰囲気。自分の趣味や個性を部屋のインテリアに反映することで、日々の暮らしが明るくなり、元気が沸いてくるのかもしれない。段差のない床、室内や廊下の手すりなど、バリアフリーへの配慮は、マンションでも取り入れておきたい点だ。

オープンな交流のためのアイデア

日中は、居室の扉を開けたままの方も多いという。誰もが常に声をかけやすく、開放的な雰囲気で、ホームというコミュニティへの親しみが感じられる。居室の 廊下には、自分の部屋がわかるように、それぞれの部屋毎に異なるテーマカラーが床に描かれている。こうしたカスタマイズが嬉しい。

セキュリティの問題はあるが、内廊下のマンションであれば、例えば「コミュニティの日」といったイベントを設け、期間限定でこうしたオープンドアの試みを行なってみても面白い。

シニア向けのさまざまなアクティビティメニュー

アクティビティの多さも、サンフォーレの魅力。アニマルセラピー、フラワーアレンジメント、朗読の会、お花見ドライブ、サンフォーレ合唱団など。シニア向けのイベントなどを数多く催して、普段から交流を育むことも、元気でいられるための秘訣だ。

これらアクティビティメニューは、マンションコミュニティにもどんどん取り入れられそうだ。

地域コミュニティとの絆作りに納涼祭

地域コミュニティとのつながりは深い。ホームの庭で開催される納涼祭には、地域のシニアやご家族、ボランティアも参加。子ども会や地元商店街との交流など もあるという。また、サンフォーレが経営する保育園からの子ども達のホーム訪問は20年以上続いており、高齢者と子どもをつなぐ絆にもなっている。

隔離するのではなく、どんどんオープンな場をつくって積極的に高齢者を外部と交わらせることも、元気な高齢者作りのための重要な取り組みのひとつだ。

地域コミュニティとの交流、施設内アクティビティといったひとつひとつの取り組みは、マンションコミュニティにもすぐ取り入れられるものばかりだ。コンシェルジェサービスのあるマンションも最近多いが、介護資格者が高齢の居住者に対してこうしたサービスを提供するというかたちもあり得るかもしれない。また、サンフォーレのようなケアサービスを提供するシニアホームと、マンションの中間的な位置付けの施設もあり得る。マンション居住者の高齢化が進む今、今後はさまざまなアイデアが考えられる。

堀井:我々が行っているホーム運営が、マンションの暮らしにどのように役立つのかまだ未知数ですが、たとえば高齢者が多いマンションで、我々が提供するような心を支えるケアサービスを取り入れることも考えられますね。

高齢者が元気に生き生きと暮らす。そのためには、個々を尊重し理解することはもちろん、普段の交流が大切だ。サンフォーレをみると、地域への施設の開放や部屋の開放、豊富なアクティビティといった、「交流」するきっかけをたくさん作っていることがわかる。マンションでも、ぜひ参考にしていただきたい。
次のページでは、サンフォーレが運営する「りせっとcafe」についてご紹介する。「りせっとcafe」は、高齢者の新タイプの栄養失調、高齢者雇用、日本の食、防災といった問題にアプローチする新たな地域コミュニティの試みである。

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2012/10/02