住宅ストックの約4割を占める賃貸住宅! 賃貸オーナー・入居者・管理会社をサポートする日本賃貸住宅管理協会の役割とは?


公益財団法人日本賃貸住宅管理協会は、住宅ストックの約4割を占める賃貸住宅に関わるさまざまな活動を行っています。2020年6月12日には「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が成立し、その役割は益々重要なものとなっています。賃貸住宅業界の現状と今後の課題についてお話を伺いました。

入居者VS賃貸オーナーの情報格差を解決するために

日管協の研究所員・主任相談員の鈴木一男さん(写真左)、青栁人志さん(右)にお話を伺いました。


公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(以下、「日管協」)は、賃貸住宅の健全で専門的な運営・管理業務の確立と普及を行い、賃貸住宅市場の整備と発展を図り、居住者・所有者・管理者(賃貸住宅管理業者)のために活動する協会です。

鈴木さん
日本賃貸住宅管理協会は、賃貸住宅管理業者や関連業者の会員数1,666社、会員の総管理受託戸数約650万戸(2020年2月時点)の団体です。全国の管理業者に占める日管協会員の割合は約4%ながら、その会員で市場全体の約75〜80%を超える管理戸数を占めています
会員には、賃貸住宅管理業者のほか、保険会社や設備会社、IT・シェアリング会社などのさまざまな関連業者が登録しており、活発な委員会・研究会活動で情報共有を行っています。

青栁さん
最近の賃貸入居者の方々はネットで情報収集しスマートに成長されている一方で、いわゆる大家さんと呼ばれる賃貸オーナーの方々は、最新情報をキャッチアップできていないという情報格差の問題があります。積極的に賃貸住宅経営に関わろうという2代目オーナーも台頭しつつあり、これからは大家さんも勉強して営業努力をする時代です。日管協は、そんな賃貸オーナーの方々に向けた、最新情報の共有・賃貸経営のサポート・全国でのセミナー展開などのサポート業務を行っています。

さらに新型コロナウイルス感染症の拡大は、賃貸住宅業界にも大きな影響を及ぼしています。
日管協では、「新型コロナウイルス感染症対策・支援」に関する最新情報を公式ホームページから発信。入居者向け・オーナー向け・管理業事業者向けの必要な最新情報の提供や、会員向けに実務相談事例Q&Aを提供するなどのサポート活動を行っています。
コロナ禍の賃貸住宅業界において、日管協の役割はますます重要なものとなっているようです。

「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」の成立によってどう変わる?

2020年6月12日に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が国会で成立しました。

鈴木さん
また当協会は、20年以上の間、健全な賃貸住宅管理のために「賃貸住宅管理業の法制化」と「賃貸不動産経営管理士の国家資格化」を目指して訴え続けてきました。
ついに2020年6月12日に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が国会で成立し、賃貸住宅管理業に登録制度が創設され、管理受託契約やサブリースの借り上げ契約の際に重要事項説明を義務化するなど、適正化のための措置が可能となりました。
これにより、法律を根拠とした賃貸住宅管理業が実現し、賃借人・賃貸人双方における契約トラブルを未然に防止し、賃貸市場の整備・発展が期待できます。

「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」とは?
社会的背景 ・単身者の高齢化や外国人居住者の賃貸人の増加
・いわゆる大家さんと呼ばれている賃貸オーナーの高齢化
・管理業務の高度化によって、管理業者に管理を委託する賃貸オーナーの増加
・サブリース方式の増加による契約トラブルが社会問題化
法律の概要
(1)特定賃貸借契約(サブリース)適正化のための措置

誇大広告の禁止、不当な勧誘行為の禁止などを行い、違反者には業務停止命令や罰金などの措置を行う

(2)賃貸住宅管理業の登録制度の創設

・賃貸住宅管理業務者は、国土交通大臣の登録を義務付ける
①業務管理者の選任
②管理受託契約締結前の重要事項説明
③財産の分別管理
④委託者への定期報告などの義務化など

日管協「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」条文解説・Q&A ※外部リンク

国土交通省>報道発表資料「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律案」を閣議決定 ※外部リンク

コロナ禍、少子高齢化、空室問題、物件の老朽化、これからの賃貸住宅の課題

日管協が発行するさまざまな配布物。入居者・賃貸オーナー・管理会社向けに、書籍やガイドブックの販売も行っています。

コロナ禍はもちろん、少子高齢化や賃貸住宅の空室や老朽化など、賃貸住宅を取り巻く社会問題が数多くあります。これからの賃貸住宅市場はどのように変化していくのでしょうか?

鈴木さん
少子高齢化で人口が減少しても、未婚化の増加や核家族化の影響を受けて、単身者世帯は増えると予想されています。今後、ストック住戸の利活用はますます重要な課題となっていくはずです。物件の空室や老朽化に関しては、きめ細かな管理体制が欠かせません。
また、創意工夫で良好な管理を行っている賃貸物件も数多くあります。これら賃貸オーナーに対して適切な情報を正しくわかりやすくお伝えしていくことが、日管協の重要な役割だと考えています。
たとえば、4月1日から施行された改正民法第611条(賃借物の一部滅失等による賃料の減額等)に対応して、日管協版「貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン」をご提供していることも、そのひとつです。

日管協版「貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン」を一般公開 ※外部リンク
※民法改正によって、貸室・設備等の滅失によって、通常の居住ができなくなった場合、賃借人に責任がある場合を除き、賃料はその滅失部分の割合に応じて当然に減額されることになった。しかし改正民法でどの程度減額されるか明快な基準が定められていないため、日管協が約16年前に策定した減額割合の目安となるガイドラインを改訂し、公開した。

また日管協では、年2回実施する賃貸住宅景況調査「日管協短観」を公表し、賃貸市場の調査・分析に貢献しています。こうした活動によって、常に賃貸市場の動向を探り、課題を浮き彫りにしています。これら取り組みが、将来の課題解決につながっているようです。

日管協>市場データ(日管協短観) ※外部リンク

高齢者や外国人が借りやすい社会を目指して

賃貸入居者向け他言語版『部屋探しのガイドブック』は、日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語の6カ国語で、賃貸契約から生活騒音の注意点、日本の賃貸住宅の使い方にいたるまでの情報がコンパクトに説明されています。

日管協は、一般的に賃貸住宅を借りるのが難しいと言われている高齢者や外国人入居者の方々のために、入居を円滑化する支援活動も行っています。

最近は外国人入居者向けの専門不動産会社も増えつつあり、外国人入居者向け賃貸契約書の書式をホームページで提供する、賃貸入居者向け他言語版『部屋探しのガイドブック』を提供するなどのサポートを行っています。

日管協>外国人入居円滑化支援のご案内 ※外部リンク

青栁さん
2024年には、50歳以上の人口が日本の総人口の5割を超えると言われています。その一方で、大家さんの6割が高齢者や外国人に対して何らかの拒否感を抱き、家賃の支払いや住宅の使用方法に対する不安を感じて、入居制限を行うケースも一定数存在していることがわかっています(2014年調査による)。定年のないエイジフリー社会や人生100年時代の到来と共に、高齢者や外国人の居住支援は、これからの大きなテーマです。

超高齢社会では、高齢者がマジョリティになります。行政とも連携して、高齢者も外国人も賃貸住宅が借りやすい仕組みやシステムが醸成される社会になってほしいものです。

IT・シェアリングを活用した新しい賃貸住宅市場の創造

IT・シェアリング推進事業者協議会のリーフレットは、日管協ホームページからダウンロードできます。

日管協は、2018年に賃貸住宅市場の課題解決のためにIT・シェアリング推進事業者協議会を設立しました。これは協議会が、賃貸住宅管理業者とIT・シェアリング関連事業者の架け橋となって、新たな賃貸住宅の価値創造を協議・検討するものです。

協議会では、ITを活用した入居者サービスの拡充や業務の効率化、シェアリングという新しい概念を活用した空室やスペースの有効活用など、IT・シェアリング関連事業者の取り組み事例を共有・交流するなどして、今後の新サービスの可能性が期待できます。

たとえば空き駐車場を予約できる「軒先パーキング」や「akippa」のように、空き駐車場スペースを有効活用できるシェアリングサービスなどもあります。こうした先進的なサービスを展開するIT・シェアリング関連事業者の事例を共有することで、賃貸不動産業界と連携する可能性が期待できます。

日管協>IT・シェアリング推進事業者協議会 ※外部リンク


日管協は、賃貸住宅のオーナーだけでなく、入居者にとっても、賃貸住宅に関するさまざまな有益な情報やアドバイスを得ることができる場です。日管協のホームページでは、賃貸住宅に関する相談も受け付けています。ぜひ一度チェックしてみてください。

住宅ストックの約4割を占める賃貸住宅の社会的な重要性を鑑み、①居住者に安全・安心・快適な住環境を提供する ②所有者の資産価値の維持・向上を図る ③管理者(賃貸住宅管理業者)の社会的役割・地位を確立するという3つの価値を、居住者、所有者、管理者が一体となって実現するために活動する公益財団法人。

2020/07/31