老朽化マンションの長寿命化に向けて!「マンションストック長寿命化等モデル事業」募集中


国土交通省が現在募集中の「マンションストック長寿命化等モデル事業」をご存じでしょうか?
今後増加していく高経年マンションの長寿命化や建替え促進のため、先進性の高いプロジェクトを支援する試みです。国土交通省にお話を伺いました。

国交省「マンションストック長寿命化等モデル事業」には2つの支援タイプがある

国土交通省住宅局市街地建築課 課長補佐の橋口真依さん(写真右)と、企画調整係長の溝口雅俊さん(写真左)にお話を伺いました。※2020年3月取材時の所属・役職


—今回のモデル事業創設の背景と目的を教えていただけますか?

溝口さん
「マンションストック長寿命化等モデル事業」は、高経年マンションの長寿命化に向けて、先進性が高く、創意工夫に富んだ改修や建替えなどの取り組みに対して、国が直接支援する制度です。
 今後、高経年マンションのストックの増加や、住民の高齢化による管理組合の担い手不足が見込まれる中で、本事業によって将来のモデルとなる取り組みを支援することで、マンションの長寿命化や再生への意識を高めていければと考えています。

「マンションストック長寿命化等モデル事業」の概要。「計画支援型」は、先進性の高い長寿命化に向けた事業を実現するための支援。「工事支援型」は、老朽化マンションの長寿命化に向けて、先進性が高く創意工夫を含む改修などへの支援を行います。「工事支援型」は、長寿命化改修工事対象とします(長寿命化工事を行うことが不合理なケースとして有識者委員会で認められた場合は、建替工事も対象)。詳細資料は、マンションストック長寿命化等モデル事業評価室事務局のサイトからダウンロード可能。


「マンションストック長寿命化等モデル事業評価室事務局ホームページ」 ※外部サイト

橋口さん
「マンションストック長寿命化等モデル事業」では、マンションの再生検討から長寿命化に資する改修等まで、トータルでモデル的な取り組みを募集し、有識者委員会で審査した上でプロジェクトを採択します。先導的なアイデアを実現するプロジェクトの技術やノウハウを集めて横展開し、長寿命化や再生に取り組むマンションを増やしていくことを狙いとしています。管理組合や民間の皆さんの知恵やアイデアを活かして、現状ではまだまだ取り組みが少ない長寿命化や再生の多様な選択肢を増やしていきたいと思っています。

国立研究開発法人建築研究所の「マンションストック長寿命化等モデル事業評価室事務局ホームページ」で、募集要領や提案申請書様式を提供している他、応募に関する相談や募集要項に関する問い合わせを受け付けています。


「マンションストック長寿命化等モデル事業評価室事務局ホームページ」 ※外部サイト

対象となる事業要件と補助率

「マンションストック長寿命化等モデル事業」の公募事業の中で知りたい要件や補助率だけを簡単にまとめてみました。詳細は、必ず国土交通省または「マンションストック長寿命化等モデル事業評価室事務局ホームページ」を参照してください(今後内容が変更になる場合があります)。

「マンションストック長寿命化等モデル事業」
計画支援型 事業要件 ・区分所有者が10人以上であり、耐用年数の2分の1を経過していること
・原則として、当該事業完了後、速やかに長寿命化等の事業実施の提案を行うこと
補助対象 長寿命化等に向けた事業を実現するための必要な調査・検討経費
対象事業者 マンション再生コンサルタント、設計事務所、管理会社
補助率 定額(500万円/件 ※事業実施期間は、最大3年間)
工事支援型(改修工事/建替工事) 事業要件 ①対象マンションの要件
・25年以上の長期修繕計画に基づく修繕積立金額を設定
・修繕積立金が長期修繕計画と概ね一致または計画より余裕がある
・区分所有者が10人以上、耐用年数の2分の1を経過
②提案内容の要件
・ ライフサイクルコストの低減につながる長寿命化改修であること
・ 新たな技術の導入や工期短縮に資する工法の工夫があること
③地方公共団体が関与する要件として、マンション管理に関する計画や条例等を策定している(策定見込みを含む)自治体で行われる事業であること。

該当する地方公共団体(令和2年4月30日時点) ※外部サイト

補助対象 調査設計計画費、長寿命化に資する工事のうち先進性を有するものに要する工事
対象事業者 施工業者、買取再販業者
補助率 1/3以内
応募方法・期間 受付期間:令和2年4月30日(木)~9月30日(水)(消印有効)
・第1回応募締切 令和2年6月30日(火)
・第2回応募締切 令和2年9月30日(水)

(公募概要資料よりマンション・ラボが抜粋)

マンションストック長寿命化等モデル事業評価室事務局ホームページ>公募概要 ※外部サイト

補助対象となる事業要件は、「計画支援型」と「工事支援型」とでは異なりますので注意が必要です。

「計画支援型」と「工事支援型」の事業要件のひとつであるマンションの耐用年数は、マンションの構造によって異なります。目安として「鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造(住宅用)」で耐用年数は47年となります。この場合、概ね24年(耐用年数の1/2)を経過していることが要件となります。

また、補助の対象事業者は民間事業者になります。応募する事業計画は、マンション管理組合と民間事業者で策定している必要があります。

「計画支援型」「工事支援型」の提案テーマは、先導性や独創性がポイント

どんな提案が考えられるでしょうか? マンション・ラボで妄想してみました!


—今回のマンションストック長寿命化等モデル事業ではどんなアイデアが求められているのでしょう?

橋口さん
新技術の導入や、より難しい工事にチャレンジして長寿命化に取り組むもの、さらには防災性や地域コミュニティの視点など、地域の課題解決につながるテーマも考えられます。マンションには区分所有者の合意形成といった難しさもありますので、モデル事業を通じて、各プロジェクトの合意形成に至るプロセスの知見を蓄積することも大事だと考えています。マンション関連法の改正の動き(※)も合わせ、お住まいのマンションをより良くするための行動のきっかけにしていただき、長寿命化や再生への流れを後押ししていきたいです。

(※)「マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律案」が令和2年6月16日に成立

これまでにもマンション・ラボでは、自由な発想のアイデアを話し合う「妄想マンション」や、高経年マンションの改修工事の取り組み、高経年マンションの建替工事を取材してきました。これらの記事にも、長寿命化のアイデアがたくさん含まれているはずです。応募を検討中の方々は、ぜひ参考にしてください。

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2018年(平成30年)末時点で、築40年を越えるマンションは81.4万戸。その10年後の2028年(令和10年末)には約2.4倍、20年後の2038年(令和20年末)には約4.5倍の366.8万戸になる見込みです。(国土交通省「築後30、40、50年超の分譲マンション戸数」より転載)


国土交通省「築後30、40、50年超の分譲マンション戸数」 ※外部サイト

上記データにあるように、高経年マンションは増加する一方です。
また国勢調査などによると、2033年(令和15年)には50歳以上が50%を超え、2060年(令和42年)には約60%弱にまで拡大すると予測されています。日本の全人口の過半数が50歳以上になる超高齢社会で、高経年マンションと住民の高齢化による管理組合の機能不全という、“2つの老い”をマンションは迎えることになります。

今回の「マンションストック長寿命化等モデル事業」によって、管理組合と事業者のコラボレーションで、先進性の高い長寿命化プロジェクトが生まれていけば、これら課題を解決できる、さまざまな可能性が生まれるのではないでしょうか?


これは!と思うマンションや民間事業者は、ぜひ応募してみてください。
第1回目の締切は令和2年6月30日、第2回目は令和2年9月30日。事業期間は令和2〜6年度までを予定しています。
ただし事業内容については、今後変更になる場合がありますので、国土交通省または「マンションストック長寿命化等モデル事業評価室事務局ホームページ」のホームページで、最新情報を確認してください。

「マンションストック長寿命化等モデル事業」について問い合わせ先

国立研究開発法人建築研究所「マンションストック長寿命化等モデル事業評価室事務局ホームページ」 ※外部サイト

2020/06/29