これからはマンションの管理状況が評価される時代になる!?—マンション管理適正評価研究会

不動産業界全体で、マンションの管理状況を開示して市場で適正に評価する仕組みづくりのために、現在有識者による「マンション管理適正評価研究会」が発足して議論を重ねています。

将来実現すれば、立地や築年数だけでなく、マンションを良くするために取り組む管理組合の活動も評価されるのではないでしょうか!?

マンションを購入する前に管理状況や長期修繕計画の状況も知りたい!

マンション購入は大きな買い物。購入を決定する前にあらゆる情報を知っておきたいもの。

「マンション管理適正評価研究会」は、一般社団法人マンション管理業協会が不動産業界や有識者に呼びかけて発足したものです。

日本全国での中古マンションの購入にあたっては、立地・間取り・築年数といった情報が開示されているだけで、管理状況や長期修繕積立計画がどうなっているのかという情報は、契約直前になって説明を受けるのが現状です。

今後、良好な住宅ストック市場を築くために、これら管理に関する情報を広く一般に開示して、管理情報データベースを構築しようというのが、「マンション管理適正評価研究会」の目的です。

5つの評価項目で管理状況をランク付け&管理情報データベースの公開

購入検討段階から管理情報を開示する「管理情報データベース」構想。

——マンション管理適正評価研究会は、現在どのような状況でしょうか?

一般社団法人マンション管理業協会
2019年8月に研究会を発足し、横浜市立大学 齊藤広子教授、日本大学 中川雅之教授、松田弘弁護士、不動産業界11団体、オブザーバーとして国土交通省、東京都、住宅金融支援機構が参加して、9月から毎月会合を開催して協議を重ねています。現在は、「管理情報データベース」化にあたって、管理に関して設定すべき評価項目や方法の詳細、課題の洗い出しなどを詰めているところです。

2019年12月に開催された「第4回 マンション管理適正評価研究会」の様子。

——管理状況は数値化しづらいと思うのですが、誰がどのように評価するのでしょうか?

マンション管理業協会
現在詳細を詰めているところですが、評点化になじむ以下の5項目について、項目毎に点数を定めて、トータルの点数で、S・A・B・C・Dの5等級で評価する方法を検討中です。
評価は、国家資格者(管理業務主任者・マンション管理士など)による方向性で考えています。情報開示にあたっては、地方自治体の届出制度・認証制度との連携も今後必要になるでしょう。

管理情報の評価モデル

①管理組合体制関係
管理者の設置、総会の定期開催、議事録の保管、管理規約の整備状況など
②組合会計収支関係
管理費会計・修繕積立金会計の決算状況、修繕に関する資金計画状況など
③建築・設備関係
法定点検の実施、長期修繕計画書の状況、計画修繕の履歴保有など
④耐震診断関係
耐震診断の実施、耐震診断結果、改修計画予定など
⑤生活関連
設備常時の緊急対応、防災関連活動など

管理組合の管理費会計収支や修繕積立金の決算状況、耐震診断関係の管理情報が評価されて事前に見えてくると、購入を検討している人も、安心して購入できるようになるかもしれません。また、管理組合や住民としても、管理体制や会計収支、設備のメンテナンス、耐震対策や生活関連全般で、自分たちのマンションが評価されることは有り難いし、励みにもなるのではないでしょうか?

管理状況を開示できないマンションはどうするの?

防災活動の取り組み状況を評価される時代になれば、マンション全体の防災力が向上するのでは?

——いままで外部に見えなかった管理状況にスポットが当たる一方で、耐震診断を行っていない高経年マンション、やむなく修繕積立金を借り入れして修繕工事にあたっているマンションなどもあると思います。その場合、こうした管理評価は不利に働くのはないでしょうか?

マンション管理業協会
その点については、課題として議題に上がっていて、参加者の皆様からご意見をいただいているところです。耐震診断未実施だからマイナスに評価をしていませんし、単に借入をしているだけでマイナス評価という見方はしない方向です。等級評価項目は、誰でも良否の判断が付くものおよび点検の実施や標準管理規約の準拠状況など、先に挙げた管理情報の評価モデルに記載の5項目全体での等級評価なので、今後の取組みによって評価を向上させたりすることができます
耐震問題についても、できていないマンションを置き去りにするのではなく、たとえば地方公共団体から専門家を派遣して支援・指導する仕組みがすでにあります。管理情報の開示が、区分所有者の積極的なマンション管理への参加促進や、マンション全体の管理状況の底上げの一助になればと思います。

——総合評価が低いマンションを置き去りにするのではなく、低い項目を引き上げていこうという仕組みも検討される訳ですね。今後の予定はどのようになっていくのでしょう?

マンション管理業協会
2019年度中に詳細を詰めて、2020年度以降に具現化のための動きに移っていく予定です。第三者的な立場での公正な評価方法、管理状況の情報をより早く広く開示する仕組み、情報開示したマンションには金融支援などのインセンティブなども検討中です。

管理情報のデータベース化に大いに期待!

マンション・ラボでは、これまでにも「マンションの未来を考える!」テーマで、不動産コンサルタントの長嶋修さんにお話を伺い、マンションの管理組合が評価される時代の必要性について考えてきました。

不動産コンサルタント長嶋修さんと「マンションの未来を考える」 マンションの管理やコミュニティが資産価値として評価される未来がやってくる!?

マンション・ラボの「マンションの理事会運営に関するアンケート」によると、理事会未経験者の間では、理事会業務自体の認知度が低く、理事会の課題も多岐にわたることがわかっています。アンケートでは、「議題、進行などほとんど管理会社まかせで参加者も最低限の意識しかもっていない。積極的に運営して効果を得ている実例を紹介してほしい」という声もあり、管理組合の理事の方々も、ベストな管理方法を暗中模索状態なのがわかります。

将来管理状況のデータベースが公開されることで、評価されるべき項目が明らかになり、管理組合自体が適正に評価される時代になる日も間近になってきたのではないでしょうか?

まだ未確定ではありますが、マンション管理適正化法の改正に関しては、AIやIoTなどの先進技術の活用も検討されています。これまでに取材してきた、積極的にITツールを利用した理事会運営を行っているマンションや、書面の電子化の評価だけでなく、デジタルサイネージの導入やマンションの情報発信(HPやSNSなど)を行っているマンションも、何らかの評価につながっていくと良いですね。

マンション理事会を効率化!SNSで手軽にはじめて、グループウェアでさらに便利に

イニシア千住曙町に聞く!マンション公式ホームページ&ブログ・SNS運用を成功させる5つのポイント

マンションの共用施設予約と支払いが簡単に!Webシステム「Mcloud管理+部屋づけ君」を導入したジオ千里中央の成功の秘訣

現在検討されているのは分譲マンションの管理状況の評価の仕組みづくりですが、今後賃貸マンションについても管理状況の評価やデータベースが生まれれば、熱心な取り組みをされている賃貸オーナーさんの励みにもなるのではないかと思いました。

▼熱い想いで賃貸マンションを管理する大家さんたちの記事はこちら

空室0%!賃料UP!を実現する若手大家さん・越水さんの元気とアイデアがあふれる取り組みを紹介!

大家さんが“自分の住みたいまち”をつくる!?武蔵新城のまちの活性化をめざすセシーズイシイの取り組み

いま「まかない付きアパート」が新しい! 賃貸とシェアハウスのリミックスで大成功の「クロスコート向ヶ丘」、その魅力の秘訣とは?

今後の進捗に大いに期待したいですね!

マンションの管理業務を行う法人・個人で組織された業界団体。マンションの健全な管理体制の確立をめざして、マンション管理・保全技術の調査研究、管理者育成などの活動に取り組む。

2020/02/18