1962年の団地から2030年の未来のマンションにタイムリープ!?『Open Smart UR』の試みをレポート!


独立行政法人都市再生機構(UR)が、東洋大学情報連携学部(INIAD)と連携して、IoTやAIを活用した2030年のスマート住宅を研究中!しかもそのコンセプトを具現化したモデル住戸『Open Smart UR スタートアップモデル』が、1962年竣工のUR団地棟内に完成!という噂を聞きつけて、IoTやAIを研究中のマンション・ラボ編集部が取材してまいりました。未来の団地の方向性とはどんなものでしょうか?

まず1962年当時の部屋を再現した住戸で昭和の暮らしを堪能!

名作団地の誉れ高い「赤羽台団地スターハウス」。上から見ると星形をしたY字型の形状で、中央の三角形の階段室からつながる3つの住戸がすべて角住戸となるもの。2019年、団地初の国の登録有形文化財になることが決まりました。

IoTやAI活用事例と聞くとすぐさま駆け付けるマンション・ラボ編集部。やってきたのは、赤羽台団地。第一回東京オリンピックを控えた昭和30年代後半に、23区初の1,000戸を超える大規模団地が建設された場所です。

そのなかでも有名なY字型の住宅棟「スターハウス」内に、竣工時を再現した“1962年の未来の住戸モデル”と、“2030年の未来の住戸モデル”とが、同じ棟内のフロアに並んでいるというから面白いじゃありませんか! ではまず昭和の再現住戸から見ていきましょう!

「懐かしい〜!」と思わず叫んだノスタルジックな再現モデル住戸は3K(44㎡)。当時の団地は、和室に襖、暖房用のガスコンセントが居室にあるのがデフォルトでした。

キッチンのステンレス流し台や吊り戸も当時の最新モデル。お茶の間のテレビには、赤羽台団地誕生当時のニュース映像が流れていました。昭和30年代当時の“最新の団地”ですから、いまでいうタワーマンションみたいなもの? 

懐かしの黒電話。小物に至るまで当時の再現率ハンパなし!当時の住戸の電気設備容量は20A。戦後の日本で“三種の神器”と呼ばれた夢の生活家電は、白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫の時代です。

昭和の暮らしは、家電の種類も少なく、ライフラインは電気とガス、通信環境は固定電話が1台というものでした。さてさて、2030年の住戸はどんなものになるのでしょう?

2030年のスマート住戸はHaaSコンセプトが鍵!

さきほどの昭和の再現住戸と同じ棟内の同じ広さとは思えない『Open Smart URスタートアップモデル』住戸。3Kから1Rへと間取りも変更。1962年の住まいから2030年の住まいへ、一気にタイムリープ(時間跳躍)したようでなんだかワクワクします!

2030年の新しい住まい方を提案した『Open Smart URスタートアップモデル』では、HaaS(Housing as a Service)というコンセプトを導入。HaaSとは、IoTやAIなどの情報技術を活用して外部サービスと連携し、住まいと暮らしにまつわるすべてのハウジングサービスを提供するというものです。

キッチンの冷蔵庫の食材もスマート管理。たとえば、不足した食材は自動注文&即フードデリバリー、さらには購入品は家計簿アプリとも連動する!というすべてが連携できるのも、HaaSで提供できる未来のサービスのひとつ。

進化した未来のスマートキッチンでは、健康管理アドバイスのもとに最適なレシピが提供されて調理機器と連携するなど、個々人のニーズに合わせたきめ細かな自動化サービスがますます進む可能性!

IoTはカーテンが自動で開閉するだけじゃない! ヒートショック防止機能を備えた浴室が、自分で判断して室温までコントロール。室内に設置された多様なセンサーが、室内の状況を把握して、安全な住まいを実現します。これはもう「部屋自体がAI化している」といえるかも!?

将来IPv6、高速ネットワーク回線、5Gが導入されれば、自宅がサテライトオフィス化することも可能。たとえばPCがなくてもメールチェックや作業ができ、シームレスにオフィス空間に切り替えられるダイニング・キッチン。ダイニングの多機能テーブルはなんとワーキング用に変化しちゃいます!「ここで仕事したい〜!」

UR×INIADの「未来の団地」戦略!

住戸内には44箇所のセンシングデバイスを設置。AIが常に住戸内のセンシングデータを分析して、セキュリティ・安全性・快適性を維持します。たとえば部屋で住民が倒れたままになったらAIが感知して外部へアラートを発報。こんな部屋なら、“住むだけで安心な暮らし”が実現しそう!

『Open Smart UR』のこれから

コンセプトブック「UR 2030」は、2030年の『Open Smart UR』に暮らす人々のライフストーリーや最新技術を解説。未来の夢が膨らむ内容です。URのサイトでPDF閲覧が可能。

UR都市機構 コンセプトブック「UR 2030」※外部サイト

『Open Smart URスタートアップモデル』では、コンピュータ・アーキテクトとして高名なINIADの坂村健学部長を代表として、未来の理想の「住まい」のビジョンの具現化と連携プラットホームの構築を進めています。今回のモデル住戸も、そのビジョンの具現化のひとつです。

INIADといえば、最先端の技術を取り入れたIoT化されたスマートキャンパスとして、いま大注目の大学! 今回のURとの連携で、そのキャンパスでの最新研究の成果と技術を『Open Smart URスタートアップモデル』の住まいへ応用しました。

URが保有する団地が、INIADの最新技術と結びついて、未来の団地を考えるプロジェクトとなったという壮大な構想です。このプロジェクトが進んでいけば、これまでの古い団地が、立て替えることなく最新のスマート住戸にリノベーションされていくに違いありません。

Open Smart UR事務局
これまで、INIADの坂村健氏を会長とする「URにおけるIoT及びAI等活用研究会」において検討を重ねてきた中で、IoTやAIなどの情報技術を活用した魅力的な住まい『Open Smart UR』の実現をめざすことになりました。
モデル住戸でご紹介したように、HaaSという新しいコンセプトのもとで『Open Smart UR』を具現化していくには、さまざまな民間企業やサービスとの連携が必要不可欠です。今後は、より多くの民間企業・団体・NGO・自治体などに研究会へ参画していただき、より多くのIoT・AIなどの技術やアイデアと、オープンに連携していきたいと考えています。


2030年というと、10年先の未来。
その頃には、働き方改革やリモートオフィス、プログラム教育が広く社会に浸透している一方で、少子高齢化や人口減少という社会問題もますます深刻化しているはずです。

IoT・AIなどの技術開発によって、これら社会問題も解決していければ、日本の未来も明るくなるのではないか?『Open Smart URスタートアップモデル』を実際に体験して、そんな期待が生まれました。
“テクノロジーが人を助ける”、”住戸が人をサポートする”、2030年には、そんなマンションに住んでいるのがあたりまえになるかもしれませんよ!

Open Smart UR研究会

独立行政法人都市再生機構(UR)と、東洋大学情報連携学部(INIAD)との技術協力によるスタートアップモデルのプロジェクト。IoTやAIなどの情報技術を活用した魅力的で安心な生活環境『Open Smart UR』の実現をめざす。今後はさまざまな企業と共に、研究会によるオープンなIoT・AIなどの技術連携を進める予定。
UR都市機構 Open Smart UR※外部サイト

2020/02/03