マンションの資産価値維持の切り札的取り組み!「姉妹都市のマンション版」のねらいと期待とは?

文化交流などを通して市民の親交を深める姉妹都市。そのマンション版で「マンション姉妹都市」という構想が持ち上がっています。発起人はマンション管理やコンサルティング業務のスペシャリストとして活躍中の深山州さん(マンション管理士・メルすみごこち事務所)。姉妹都市ならぬ「姉妹マンション」の目的やメリットについてうかがいました。


【今回お話をうかがった方】
深山 州さん

マンション管理士。株式会社メルすみごこち事務所(外部リンク)/株式会社クローバーコミュニティ(外部リンク)・代表。日常の管理組合運営に関する助言や修繕工事のコンサルティングなど、首都圏・近畿圏で常時約50の管理組合と長期コンサルティング契約を行っている。

▼深山さんへの取材記事はこちらも併せてご覧ください

AIでマンション管理はどう変わる!?人気のマンション管理士に聞いてみた!

マンション理事会業務は効率化できる!SNSやグループウェアの上手な活用例を紹介


マンション姉妹都市構想の内容とメリット

―深山さんの提唱される「マンション姉妹都市構想」について教えてください。

深山さん
はい、これは横のつながり少ないマンションの理事会運営やコミュニティ形成に熱心な管理組合が連携し合って、人材交流や情報交換などを行いながら、お互いのマンション運営を発展させる、という考えです。姉妹マンションアソシエーション(SMA)と呼んでいただければ嬉しいです。

―姉妹になることで、どのようなメリットがありますか?

深山さん
マンションの理事会が抱える、主に以下二つの課題を解決できるのではないかと考えています。

【マンション理事会の課題】

課題1:理事の積極的ななり手がいない
課題2:熱心な理事会メンバーと、理事会を経験したことのない新任理事との温度差が生じる

課題1ですが、理事の多くは輪番で回ってきますから、「1回だけやっておけばいいや」、と仕方なく引き受けるケースが多いです。
ただ、たまたま担当した役職が自分の得意分野で、周囲から認められてキーマンになり、複数年継続する人もいます。そういったキーマンを中心に様々な活動を進めるなかで、理事会役員同士の仲間意識も芽生えますし、徐々に能動的に理事に立候補するひとも増えることで、熱心な理事会メンバーが作られていきます。ただ、コアメンバーだけで盛り上がってしまうと、他の新任理事はなかなかその輪に入りにくい、という課題もでてきます。

課題1(積極的な理事のなり手不足)・左図、と課題2(コアメンバーに新メンバーが入る際の温度差)右図

―たしかに、熱心に活動する理事会に輪番で途中からは入るのは気が引けますね。

深山さん
そうなんです。これが課題2なんです。積極的にマンション運営を行っている理事会でも、大勢の住民に活動のすべてを共有することは難しいものです。新しく理事になる人は「情報共有されていない住民」の立場からスタートするので、まずは情報収集と、理事同士のコミュニケーションが必要になるので大変です。もともといる熱心な理事メンバーとのギャップが、新任理事には温度差として課題につながっていると感じます。

―姉妹マンションはそういった課題を解決できるのでしょうか?

深山さん
新任理事が一人でも積極的・協力的に活動してくれることが、理事会・管理組合の活性化や継続性につながります。ただ、活動熱心な理事会のモチベーションに新任理事がついていくことはなかなか大変です。そこで、他のマンションの新任理事同士が交流する場を設けることで、ゆるやかにでも、理事会運営への関心やモチベーションが高まり、意識の高い理事会メンバーとの距離が縮まるのではないかと考えました。
ネットで自由につながれる時代ですし、仕組みさえあれば、マンションの管理組合や理事会運営に携わっている人同士、自由に情報交換できるのではないでしょうか。マンション理事に輪番でなった人も、簡単に自由にいろんなマンション理事会とつながれると、視野が広がり温度差への見方も変わってくるのではないかと思うのです。

姉妹都市化、3つのキーポイント

―理事会同士がつながると、どのようなメリットがありますか?

メリットになるポイントは3つあります。

①理事のモチベーションアップ
②知的好奇心の充足
③チーム同士の継続的交流

①については前述の通り、主に新任理事に言えることです。他のマンションの新任理事と
交流する場をもつことで「他のマンションでも同じような理事がいるんだ」という安心感をもち、疎外感を軽減できます。この点は意外と大切です。また、マンション同士の交流を通じて他のマンションを知る・見学することで刺激を受け、モチベーションが少しずつ高まると期待しています。

②は活動するモチベーションが高い、熱心な理事会役員に言えることで、他のマンシ
ョンではどのような取り組みがあり、ノウハウを持っているかを知りたいという想いがあります。それらの背景も合わせて共有し、「現場」で顔を合わせて対話することで、知的好奇心が一層充足されるのではないでしょうか。
③ は理事会がチームとして機能できた場合、チームメンバーが代替わりしても交流が続い
ていくことです。継続的交流そのものが文化となり、一つのブランドになる可能性も出てきます。

ただ、距離の離れたマンションの理事会同士が継続的につながるのに、直接合う頻度を増やすことは困難です。そこで、この3つのポイント成り立たせるために、インターネットを通した情報共有ツールが必要になってきます。

例えば、新任理事の人がイベント担当になった際、何から始めればいいかわからないですよね。そこで、姉妹マンションでイベントを2か月後に開催することがわかったとします。その準備状況をタイムリーに共有することができると、自分のマンションのイベント準備にも生かすことができます。もちろん自身のマンションにも過去の実施報告はありますが、目の前で準備をしている様を見ると、当事者意識をもって関わることができますし、視野も広がります。そういうときにMcloudなどの管理組合支援サービスで情報共有できるといいですね。関係者を制限してファイル管理できるので、イベントについての実施状況を姉妹マンションで共有し、体系的にイベントの実施ノウハウが見えてきます。

離れているといつでも気軽に聞けないのでは?と懸念がありますが、こういったクラウドツールを活用すれば、場所や時間の制約がなく学び合うことができますし、課題があったときの解決方法について、情報を共有することもできます。

ただ、そういうツールが入れられるところばかりではないので、お互いにコミュニケーションを自由に取れるよう、まずはメールやSNSでもつながる環境を整えることもポイントですね。

姉妹都市構想が目指す、マンションの未来とは?

―今回、姉妹マンション関係を作るために、理事会同士の交流会を実施されたそうですね。

深山さん
イニシア千住曙町(東京都足立区)へブラウシア(千葉市中央区)の理事会メンバーが訪問しました。両方とも理事会の組織力や継続性を重視したいという共通点があるあり、理事会の経験年数によって次のような意義があると考えました。

【コアになっている理事メンバー】
ノウハウを共有し合うことで知的好奇心が満たされる。

【輪番の新任理事メンバー】
社会科見学的に他のマンションを体験することで、理事として活動することの意味を理解し、モチベーションアップつながる。

▼イニシア千住曙町に関する記事はこちらも併せてご覧ください。
イニシア千住曙町に聞く!マンション公式ホームページ&ブログ・SNS運用を成功させる5つのポイント

イニシア千住曙町に聞く!マンションの資産価値向上には、建物の管理とコミュニティ形成が必要!

▼ブラウシアに関する記事はこちらも併せてご覧ください。
マンション管理組合同士でつながるメリットとは?ブラウシア主催の住民意見交換会から学ぶ

マンションもブランディングの時代?注目の「ブラウシア・ブランディング・ブック」発刊

―姉妹マンション構想で、今後何を実現できそうでしょうか。

深山さん
目指したいのは、首都圏・関西圏から始まり全国的に多くのマンションがこの構想に参加して交流が広がることです。ゆくゆくは姉妹マンション同士が定期的に交流をして、お互いの情報をオープンに共有し、お互いの理事会や総会の場に参加して傍聴したりできる関係を広げていきたいですね。

―そうすると、マンション住民の意識も変わってくるのでしょうか。

深山さん
一部の熱心な人に管理組合の運営を任せっぱなしにせず、多くの人が当事者意識を持ち、もっとマンションを自分事にして、「良くしよう」「楽しもう」という動きが出てくると期待しています。

次のページ:姉妹都市構想に賛同した2つのマンションによるタッグが結成!?イベントの様子をレポート

2019/09/11