マンション管理組合の理事会参加率が劇的にUP!住民を巻き込むための取り組みとは?

マンションの管理組合理事会への出席率が30%から80%!へと劇的にUPしたマンションがあると聞き、そのプロセスや効果について、理事や関係者の方にお話をうかがいました。特に同じお悩みを抱えている方、ぜひ参考にしてください。

【取材したマンションの概要】
マンション名 サンクレイドル千葉中央
築年月(築年数) 2003年11月(築16年)
全戸数 約130戸
理事総数 13名
【取材に協力いただいた方々】
サンクレイドル千葉中央理事会 理事長・西嶋健さん
理事:相野菊江さん、上野理津さん、大沢仁雪さん
マンション管理士・長期修繕アドバイザー
メルすみごこち事務所
深山州さん、安田智彦さん

マンション管理組合の理事会定数13名のはずが・・4名!俺たち、大丈夫か!?

理事長の西嶋さんは理事会運営を変えるきっかけを作りました。

現マンション管理組合・理事会の理事長・西嶋さんは、2017年理事に就任されました。輪番制で、管理会社から声をかけられたのがきっかけだったそうです。当時の理事会メンバーは定数13名でしたが、参加はわずか4名ほど(!)。しかもその中から理事長を決めることになり、前任者からの「書類にはんこを押すだけの簡単な仕事ですから」という説明と、誰も手を挙げないというプレッシャーに負け、西嶋さんは理事長を引き受けることになりました。が、想像以上の苦労が待ち受けていたのです。

【当時のマンション管理組合 理事会の運営状況】
理事の選出方法 輪番制。管理会社による指名
任期 1年交代(ただし再任を妨げず)
参加率 平均20~30%程度
議題 管理会社が決定。事前連絡なし。
議事録 管理会社にお任せ委任

驚くべきは、築16年目にも関わらず、新理事長として任命された西嶋さんが引き継いだのは、印鑑と小さなポーチ1つだけだったということ(!)。理事長としての経験やノウハウもない、相談する人もいない状況のなか、同じように不安を抱える理事メンバーとともに、理事会の運営が始まりました。

当初は、管理会社に決められた議題を漫然と議論するだけだったそうです。
「理事会って、本当にこんなんでいいの? このままじゃ管理会社の都合の良いように流されていくだけじゃないのか?」――西嶋さんは、次第に疑問を持ち始めます。

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マンションの理事会運営に関するアンケート調査結果

マンション理事のつぶやき~管理組合理事に選ばれたら、あなたならどう行動しますか?

「理事会を変えたい!」コンサルタント会社によりもたらされた意識改革

変化のきっかけとなったのは、マンション管理のコンサルタント会社でした。地域の自治会担当でもあった西嶋さんは、その集会でマンション管理のコンサルティングをしている会社の存在を知ります。「どうせ理事会をやるなら、しっかりと意味あるものにしたい」と、マンション管理コンサルタント会社代表の深山州さんに来てもらいました。そこで「ここで起こっていることは、どのマンションにもあることです。時間はかかりますが、理事会を活性化する方法を検討していきましょう」と、いくつか具体案を示されたのです。

自分たちだけが特別悪いわけではないこと、状況の改善に“即効薬”はないことが分かりました。示された具体案にプロならではの力を感じた西嶋さんたちは、コンサルタントが理事会運営に必要なパートナーであると住民に必要性を何度も説明して、導入しました。

コンサルタント会社に提案された事例の一部

予算の経費の見直し
理事の改選は全数ではなく半数ずつ入れ替え、理事候補者へ受任の意思を確認してから選出。

コンサルタントの導入は、マンション管理組合理事会のメンバーの意識に強く影響しました。しばらくすると「『自分たちがめざす目標』を具体的に住民に伝えたいよね」との声が上がるようになりました。「積極的に理事会に関わろう、理事会を変えよう」という意識の変化が起こったのです。そこで作られたのがマンションスローガン「フェリーチェ サンクレイドル」でした。フェリーチェとはイタリア語で“幸せな、ゆりかごのような”という意味で、「暖かなコミュニケーションにあふれ、ゆりかごのように住み心地が良いマンションライフを育み、サンクレイドルの価値向上をめざす」という想いが込められました。そしてこのスローガンを、行動指針とともに管理組合ニュースレターで住民に伝え少しずつでも浸透させるようにしたのです。住民からは、「いままでは理事会が何をやっているのかわからなかったが、こういったものがあると”透明”でわかりやすい」という声も上がっています。

管理組合ニュースレターには、毎号必ずマンションスローガン「フェリーチェ サンクレイドル」を入れています。理事の上野さんが中心となって、マンション販売時のテーマ「エーゲ海」から連想されるブルーをテーマカラーにデザインされました。

住民のマンションへの関心を引きだせ!想像以上の効果だった意見箱

理事会を活性化させるためには、まずは住民の関心が不可欠です。住民がマンションに関してさまざまな意見を言いやすい環境をつくれば、理事会やマンションへの関心を高めることにつながります。そのために、「意見箱」を設置することにしました。幅広く意見を得られるように、子どもでも気軽に書けるようわかりやすい表現を心掛けたところ、設置半年で10枚以上の意見が寄せられました。それを理事会で検討し、対応していくようにしたのです。

理事がインターネットで探してきて設置した「ご意見箱」。

カテゴリを選んだら、スペースに自由に意見を書けます。ルールや文字が少ないので子ども素直に意見が出せます。

住民の意見をきちんと把握し、理事会が実行にうつす。その成果は、目に見える形で現れました。たとえば、キッズルームやゲストルームなど共用施設の汚れや傷の指摘については、長期修繕計画に内装リフォームの予算を盛り込み、来期に具体的な対応ができるようにしました。ほかにも、エントランスの応接セットが古いという意見については、理事会で新しい応接セットの候補を選び、住民アンケートで購入するものを決めました。

新調した応接セット。住民は自分たち選んだことで、大切に使おうという意識が高まりますね

「マンションを良くしたい!」理事の意識と活動が、住民参加の鍵だった!

「ご意見箱」の設置で、住民のマンションへの関心を引きだすことに成功した理事会。しかし、もっと積極的に関わってもらうために、「下部組織の創設」が必要だと考えました。理事会の活動が活発になるにつれ、やるべきことがたくさんでてきたものの、理事会だけでは人手不足だったからです。

「組織委員会」は理事会の下部組織で、マンションを住み心地よくし、住民を巻き込むことが主な目的です。組織委員会は「イベント・コミュニティ」「価値向上」「防災防犯」「広報」のキーワードを元に8つの委員会を揃えました。その個々の委員会をどう運営し、周知を図っていくかが今後の課題で、住民にマンションの住み心地について気軽に話してもらえるような「茶話会」を開催し、きっかけにする予定です。

「なんのための理事会なのか。それはマンションを良くするためだ」と、最近つくづく感じている西嶋さんは、来期も理事として理事会に残る決意をしました。今期限りで理事の退任を表明している相野さんと大沢さんも、理事OGとして組織委員会に入り、何らかの形で携わろうとしています。2人は「理事会に自分が加わることでマンションが変わってきた実感がある」「今まで疑問を感じてもどこに言えばいいか分からなかった。また、実際にマンションがきれいになっていく様子を見るとうれしい」と、理事会活動の成果や感想を振り返ります。

ほかにも、建築業界で働く理事からマンションの長期修繕計画を見直す意見が出るなど、以前では考えられなかったくらい理事一人ひとりが積極的に動いており、結果、今では理事会の出席率は80%以上にものぼります。

まずは理事自身が理事会の目的を見つめ直し、積極的に動く姿を住民に見せること。さらに住民に「一緒にやっていこう」と働きかけ、組織を作っていく。理事の活動を目に見える形にして、住民も自分たち自身も成果を実感できると、理事会はどんどん活発になり、ひいては誰もが羨む、素敵なマンションになっていくのだと感じました。

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(文:Loco編集部 野嶋敦子)

2019/03/04