便利な環境は自分たちでつくる!空港行きのバス停車誘致を実現したマンション自治会の取り組みとは?

(写真提供:ブラウシア提供)

「住んでいるマンションの地域がもっと便利になったらいいのにな」と思うことはありませんか? ただ漠然と思っているだけでなく地域社会へ働きかけて、最寄り駅へ空港行きバスの停車を誘致したマンション自治会があります。今回は、その誘致活動の全容をご紹介します。

自治会連合会結成がきっかけ—成田・羽田行き空港バスの停車誘致活動へ

誘致運動を支えたブラウシアの皆さん。ブラウシア管理組合第13期理事長兼自治会長の牧野 強さん(写真中央)、管理組合オブザーバー武部武男さん(写真左)、管理会社(株)レーベンコミュニティの最首達矢さん(写真右)。

千葉市の大規模マンション・ブラウシアは、管理組合がマンション運営に深く関わる“住民経営マンション”として有名です。管理組合の先進的な取り組みは、これまでにもマンション・ラボで数多く取り上げてきました。

テレビでも紹介された千葉市中央区ブラウシアのマンション交流術

「これからのマンションは地域と共に発展していかなければならない」という信念のもと、ブラウシア管理組合は、2013年に新たにブラウシア自治会を設立しました。

ブラウシア管理組合公式ページ 自治会について ※外部サイト

さらに2014年には、千葉みなと地区の3つのマンション自治会と隣接した問屋町自治会と連携して、「千葉みなと地区自治会連合会」を結成。ブラウシアのある千葉みなとエリアを暮らしやすくするために、自治会連合会としての活動を行うことになりました。

「千葉みなと地区自治会連合会」の皆さん。ブラウシア自治会長の牧野さんは、連合会メンバーと協力して空港バス誘致を働きかけました。(写真提供:ブラウシア提供)

ブラウシア自治会長 牧野さん
自分の住むマンションだけが良ければそれでいいと思っているようではダメで、これからは地域ぐるみで将来に向けた住みごこちの向上や資産価値向上を図っていかなければならないと思います。それは、ブラウシアが発表した『ブラウシア・ブランディング・ブック』の中でも大きく謳っています。
という大きな構想が前提としてありますが、近隣のマンション自治会と問屋町自治会の方々と話し合ったときに、すっかり意気投合(笑)して連合会を設立したという経緯もあります。自分達の住む地域を少しでも良くしたいという思いは、みんな一緒ですから。

現在約2,000世帯を有する「千葉みなと地区自治会連合会」は、隔月毎に会合の場を設け、中学校の統廃合問題、国道工事、桟橋活用などの地域の課題に取り組んでいます。その取り組みのひとつが、空港行きリムジンバスの千葉みなと駅バス停留所誘致でした。

自治会連合会メンバーで3年かけて地道に誘致活動を行う

ふだん見かけるバスも、停車を嘆願するとなるとさまざまな問題をクリアする必要があります。(写真提供:ブラウシア提供)

ブラウシア自治会長 牧野さん
もともと千葉中央駅始発の空港行きリムジンバスは、マンションの目の前を通っていましたが、最寄りのバス停留所「千葉みなと駅」を通過していました。電車で羽田空港へ向かうには、千葉駅や海浜幕張駅に出てから空港行きリムジンバスに乗るか、都内へ出てモノレールに乗り換える必要があります。やはりバスで空港まで直行できる利便性は、地域住民にとっては得難いもの。

自治会連合会は、近隣住民や法人に呼びかけて署名を集めることにしました。駅前のホテルや近隣企業なども署名に協力してくれた結果、2014年には合計1,876名の嘆願書を、千葉市長へ提出しました。

ブラウシア自治会長 牧野さん
嘆願書は提出したものの、目の前を通るリムジンバスを停留させるだけだから簡単かというと、まるで違いました。各バス会社の運行スケジュールの変更、羽田空港・成田空港の受け入れ体制の確保、停留所の利用者数など、さまざまな問題が絡んできます。結局、停留所誘致までには3年かかりました。

しかし、牧野さんを始めとした自治会連合会のメンバーは、関係各所に進捗確認を行うなどの地道な活動を積み重ね、嘆願書提出から2年目にはバス運行会社から「現在検討中」という回答を得るまでになりました。

マンションぐるみで空港行きバスの運行を応援

バスダイヤ改正の初日、第1便のバスに乗車するブラウシア自治会長の牧野さん。
(写真提供:ブラウシア)

嘆願書提出から3年、とうとう2017年7月1日のバスダイヤ改正に合わせて、「千葉みなと駅」バス停への空港行きバス停車が実現しました。

ブラウシア自治会長 牧野さん
当初の予想より、空港行きのバスの本数が多くなって良かった。成田空港行きのバスも1日3便の停車が決定しました。なんといっても元々ある「千葉みなと駅」バス停は、ブラウシアから徒歩1分の距離。住民が空港を利用する際に、かなり便利になったと思います。
また、電車とバスで行くと片道1,789円(乗り換え2回)、バスだと乗り換えなしで片道1,370円となります。便利さと金額面で安価になることも、利用促進につながると考えました。

ブラウシア管理組合オブザーバー 武部さん
発案者の牧野さんは、バスダイヤ改正の初日、第1便のバスに乗車して帰ってくるまでの詳細レポートをFacebookページに投稿してくれました。
空港バス停車の発案者の牧野さんですが、実際にはそう羽田空港を活用する人ではないんです(笑)。その彼が中心になって、自治会連合会の取り組みを目に見える形で具現化してくれたことは、ブラウシアにとっても地域にとっても重要なことだと思います。

羽田空港から戻ってきた牧野さんを、管理組合の理事が迎えて、降車場で記念写真。牧野さんの嬉しそうな笑顔に達成感が溢れています。(写真提供:ブラウシア)

ブラウシア管理組合Facebookページ 2017年7月2日投稿「羽田空港行高速バスが7月1日のダイヤ改正より、いよいよ千葉みなと駅停留所に停車」※外部サイト

エントランスホールの掲示板に貼り出されている時刻表。

ブラウシア管理組合でも、空港バス利用を拡大するために、マンション内での告知や、管理会社経由で空港バスのチケットの販売をスタートしました。

(株)レーベンコミュニティ最首さん
管理組合様のご意向で、空港バスの時刻表をエントランスホールに設置し、空港バスのチケット販売をコンシェルジュカウンターで取り扱っています。毎月コンスタントにご利用があり、ここ1年で合計750人弱の住民様が利用されています。予想以上に売れ行きが良くて当初の誘致計画の経緯から存じ上げていましたので、我々管理会社としても、皆さんが実現した空港バス利用の活性化を少しでもサポートできればと思ってお手伝いしております。

ブラウシア管理組合オブザーバー 武部さん
年末年始の利用が多いと予想していましたが、実はシーズン関係なく、毎月需要があるのがわかりました。住民からは「出張に便利」「高速バスが停まって便利ですよね」という声をよく聞きます。せっかく停車が実現した空港行きバスです。利用者の状況次第で減便とならないように、管理組合としても空港行きバスの利用者拡大を呼びかけて、空港行きバスの運行を応援していきたいと考えています。

マンション前のバス停から羽田空港まで乗ってみた!

定刻通りに羽田空港行きのバスが到着!車内も空いていて快適でした。

今回の取材後、マンション・ラボ編集長が羽田空港へ行く所用があったので、ブラウシアさんから徒歩1分の「千葉みなと駅」バス停を利用してみました。
3連休初日の土曜日の午前でしたが、始発駅の「千葉中央駅」から乗車した「千葉みなと駅」までは3つ目で、まだまだ座席は空いています。このあと「稲毛海岸駅」や「幕張ベイタウン」やホテルから乗車客が増えました。幸い道路も混雑なしで、1時間程で羽田空港に到着!
コンシェルジュで往復チケットを購入しておけば、行き帰りもラクだし、何より重い荷物を抱えて乗り換えの手間ナシで自宅前まで帰れるのはありがたいですね。特に親子連れで飛行機を利用するご家族には便利なことこの上ないと思いました。

マンション管理組合や自治会が地域社会に貢献できること

3年間の取り組みを振り返る牧野さんと武部さん。

ブラウシア自治会長 牧野さん
空港バスの停車誘致は、予算のない自治会連合会の各自が人海戦術で具現化した貴重な体験でした。地元が恩恵を受けられれば、そこに住む皆がハッピーになりますからね。
しかし新たにバス停車を嘆願するのは一筋縄ではいかなかった。企業の壁も厚いし、行政の助力やネットワークも必要です。3年間「空港バスを停車させる」という信念をあきらめないでやってきてよかったと思います。最近は、バス停で空港行きバスに乗車する人を見かけるだけでも、嬉しくなります(笑)。

住んでいるエリアが便利になれば、住民も助かるし、引いてはエリアの資産価値向上にもつながります。こうした誘致取り組みのコツはあるのでしょうか?

ブラウシア自治会長 牧野さん
ブラウシアの取り組みでも「どうしたら出来ますか?」という質問は、よく来るんです。でも一朝一夕で出来ることではない。ブラウシアも、8年間かけて管理組合の基盤づくりを積み重ねてきました。足元が固まったところで、マンションだけでなく外の地域とのつながりを持つために自治会を設置し、自治会同士が連合会として協力できる体制を整えました。
地域に働きかける大きな取り組みは、焦らずにコミュニティを醸成させて足元を固めてから順に取り組んでいくしかないと思います。

これまでマンション・ラボがブラウシアさんの取り組みを追い続けてきた経緯を振り返っても、まずマンション内のコミュニティ地盤づくりを積み重ね、他マンションの管理組合同士のつながりから、群馬県の農村との「里山縁組」と、徐々に外へ向けて活動が広がっているのがわかります。現在は防災面での取り組みとして、近隣自治会が連携して組織運営する避難所運営委員会に加わり、マンションを地域防災拠点として活用していく方向で活動しているそうです。

マンション管理組合同士でつながるメリットとは?ブラウシア主催の住民意見交換会から学ぶ
千葉市のマンション・ブラウシアと群馬県の農村・川場村が「里山縁組プロジェクト」をスタート

マンション自治会との連携で一丸となって地域社会に働きかけ、さらに質の高いマンションライフを創り上げていくブラウシアさん、今後の地域活動が楽しみです。

ブラウシア
JR京葉線・千葉都市モノレール「千葉みなと」駅徒歩3分にある、2005年竣工、地上20階・地下1階建、総戸数438戸の大規模マンション。活発なコミュニティ活動がテレビや雑誌で紹介されるなど、いま注目のマンション。

ブラウシア管理組合の公式サイト(外部サイト)
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2018/12/21