不動産コンサルタント長嶋修さんと「マンションの未来を考える」 マンションの管理やコミュニティが資産価値として評価される未来がやってくる!?

管理組合のホームページやSNSからの情報発信が評価される時代がやってくる!?

伊藤
これまでにマンション・ラボでは、ホームページやSNSを活用して積極的に情報発信を行っているマンション管理組合様を取材してきました。テレビでも取り上げられた千葉県のブラウシア様は、マンションの公式ホームページとFacebookページを活用して、外部への情報発信を丁寧に行っておられます。実際、しっかり管理されているというママ友のクチコミを聞いて、近隣のマンションから住み替えたご家族もいらっしゃいました。

【千葉・ブラウシアの事例】
テレビでも紹介された千葉市中央区ブラウシアのマンション交流術

長嶋さん
これからは、マンション管理組合が情報発信をして評価される時代が確実にやってきますよ。しっかりした管理体制を持ち、積極的に情報発信を行っている管理組合ほど、その努力が資産性として評価してもらえる時代になってくるはずです。数はまだ少ないとはいえ、理事長経験者が集まる勉強会「RJC48」に参加しているような、素晴らしい取り組みを行っている意欲的な管理組合の理事さんたちは確実に存在していますから。

伊藤
「RJC48」様の勉強会は、マンション・ラボでも紹介させていただきました。確かに皆さんハイレベルな勉強会を行っていらっしゃいます。

長嶋さん
マンションの管理組合は、もはや社会に不可欠な機能ですから。いま言ったような意欲的な管理組合には、必ず核となるキーパーソンが数名いて、うまく回っています。
しかし居住者が管理に無関心であったり、全体的に高齢化であったりする管理組合では管理不全に陥って、普通の維持管理でさえ難しいケースも多くあります。
こうした問題を解決するために国土交通省では、管理組合の運営に専門家である第三者を介在させることも検討しています。イタリアやフランスでは、所有者で構成する「理事会」と「管理者」を分けています。「理事会」は監査機関として、「管理者」は執行機関として機能し、「理事会」の中に外部専門家が含まれているイメージです。アメリカでは、管理会社が権限を委託されてビジネス的な視点で、管理費や修繕積立金を運用しているケースもあります。

伊藤
近い将来には、管理組合のかたちも変わってくるかもしれないですね。

マンション同士のネットワークづくりや課題解決は可能か?

伊藤
最近マンション同士の勉強会や情報共有の輪が広がっている気がしています。先ほどのRJC48様の勉強会もそうですが、ブラウシア様ではテレビ出演後に他マンションからの問い合わせや見学希望が増えたので、定期的に情報交換の交流会を開催されています。
また溝の口では、同じ町内にある築10年・16年・34年の3つの大規模マンション同士で勉強会や防災イベントの共同開催などを行っていらっしゃいます。マンション同士でつながって知識や場を共有するという未来もありそうですね。

【千葉・ブラウシアの事例】
テレビでも紹介された千葉市中央区ブラウシアのマンション交流術
【東京(溝の口)・パークシティ溝の口の事例】
マンションは、つながるとパワーアップする!?3つのマンション共同主催の防災「炊き出しフェス」

長嶋さん
そうですね。マンションに住む国民はおよそ1,400万人で、一般的な都市部のマンション世帯比は20%程度。東京は約25%で、中央区・千代田区・港区の都心3区に限れば、全世帯の50%がマンション住民です。都心部の基礎自治体の議員選挙で「マンション党」を立ち上げて、マンションの管理問題や立て替え問題を解決する政策を打ち出せば結構な支持を集めるかもしれませんよ(笑)。
まあそれは冗談としても、マンションには集積した効率のいいコミュニティが出来上がっているので、同じ建物に住んで生活圏を共有している住民同士で連合体となってスケールメリットを求めていくのは良いことだと思います。マンションの課題解決にもつながりますしね。

伊藤
「マンション党!」いいですね。マンションの問題がどんどん解決していきそうです。
実際にスケールメリットを生かして、1,000戸を超える大規模タワーマンションのブリリアマーレ有明様では、ごみの不法投棄問題を解決するために一括リユースサービスを導入されていた事例がありました。小中規模マンションでも、連帯すればいろいろな問題解決が図れるかもしれませんね。

【東京(有明)・ブリリアマーレ有明の事例】
マンションのごみ問題を解決する「マンション一括リユースサービス」とは?

長嶋さん
結局マンションの資産性を維持していくのは、しっかりと管理・運用しているかどうか、ということに帰結します。住民が、いかにそのことに気付いて、長期的な戦略のもとに良い管理状態を維持していくか。

伊藤
マンションの未来は、住民の意識次第ともいえますね。逆に自分たちで資産価値を向上できるのだとポジティブに考えて、建物の点検・メンテナンスや日常の暮らしやすさの管理を行っていくことが、これからはとても重要になっていく。マンション・ラボは、これからも意欲的な管理組合様の動向を追いかけていきたいと思います。
本日はありがとうございました!

2017年5月に発売された長嶋さんの近著『不動産格差』(日本経済新聞出版社)(外部サイト)
日本の不動産の現状についての概論が述べられています。センセーショナルな帯コピーに一瞬驚くかもしれませんが、マンション・ラボ編集部が特に注目したのは、「第3章 住宅の評価に革命が起きる」と「第6章 中古住宅に賢く住む」の箇所。“丁寧に手入れしてみんなで良く住む”ことが、自分たちのマンションの資産価値を保つことにつながるのだという思いを新たにしました。
不動産コンサルタント 長嶋 修(おさむ)さん

1999年に業界初の個人向け不動産コンサルティング会社である、株式会社さくら事務所を設立、現会長。以降、さまざまな活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築いた。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任し、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会理事長。TV等メディア出演、講演、出版・執筆活動等でも活躍中。著書多数。新著に『不動産格差』(日本経済新聞出版社)。
長嶋修公式ホームページ(外部サイト)
株式会社さくら事務所(外部サイト)

2017/07/04