タワーマンション大規模修繕工事ラッシュ――どんな出来事が待ち受けているの?

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ここ数年、都心のタワーマンションでよく見かけるようになった「黒い幕」。タワーマンションは、1997年の建築基準法の改正により2000年頃に多く建てられ、建築から10~15年を迎え、今、修繕のラッシュ時期。

―大規模修繕工事はどのよう行われるの?
―工事中は、住民の生活にどんな影響があるの?
―修繕費用を積み立てているけど、それだけで済むの?

など、マンションに住む者としては気になるところ。そこで、実際に大規模修繕工事を体験された住民の方から、お話を聞いてきました。

取材者・住環境紹介

A・Yさん
家族構成:夫婦 娘1人(小学6年)息子1人(小学1年)
居住年数:7年
マンション情報:東京都23区内、最寄駅から徒歩3分の立地 築16年 36階建て

修繕工事はどのように進んでいくの?

修繕開始時期については、マンション完成から10年後を予定していました。しかし、タワーマンションの修繕は総工費約10億円の一大プロジェクト! 指定業者や他もろもろの調整に時間がかかった上、途中、消費税5%から8%に上がるなどもあり、準備に約6年要し2015年より修繕工事がスタート。工事期間は約1年間、それでもマンションの規模からすると随分早かったようです。

今回の大規模修繕は主に壁工事、バルコニーの清掃と塗装・駐輪スペースの塗装をしました。「修繕スケジュール」は毎日更新され、各階別部屋ごとに、洗濯・布団干しの可否が前日までにロビーに掲示されるので、小まめにチェックが必要でした。個別の作業工程案内は、修繕委員の人がポストに入れるなど「500世帯以上に工事のスケジュールを、理解してもらうための細かい対応には、住民として頭が下がりました」とAさんは話します。

工事期間中は、敷地内の子どもの広場に工事現場事務所や仮設トイレが造られ、子どもの遊び場が無くなったことや、エレベーターホールのじゅうたんの一部張り替えや、壁の塗り直しに足場が組まれ、圧迫感や強い塗装の匂いには閉口したようです。

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パソコンやスマホから修繕工事のスケジュールを確認できるようにしたマンションの事例
55階建てタワーマンションの大規模修繕工事が、超便利な「Webシステム」の活用で成功!気になるその中身に迫る!

想定外! 手間とお金がかかるバルコニーの物

バルコニーは共用部分ですが、各家庭さまざまな使い方をしています。多くの人が洗濯物を干していますが、物置・観葉植物・ガーデン用のテーブルやイスなどを置いている人も多いです。Aさんは、「洗濯物の部屋干しや布団が干せず、大きなストレスになりました」と言います。

バルコニーに置いてあるものは全て移動、網戸の取り外しも必須でした。網戸は支給の袋に入れ物置は解体し、それを部屋の中へ移動させるのも一苦労。部屋の中でかなりの場所がとられ、誰も招けない状態でした。高齢者は、物置の解体や重い観葉植物の移動は一人では難しく、オプションプラン(物置き解体費約1万円、観葉植物移動費数千円)が紹介され、利用した人もいました。こういったことは、住民には想定外のことだったようです。

ベランダへの対応方法は以下の記事でまとめてご紹介しています。
マンションの修繕工事時におけるベランダへの対応方法とは?

窓の向こうに感じる視線

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タワーマンションは窓の外に視線を感じることはないので、カーテンを開けていることが多いAさん。いつものようにシャワー後にタオルを巻いて部屋をウロウロしていると、バルコニーの作業ゴンドラが音も立てずに上下したり、窓辺で本を読んでいると突然顔が現れたりと、びっくりしたこともあったとか。(笑)

作業員は目線を外してくれていますが、普段気にしない視線があり「丸見えで油断できない緊張の連続でした」とAさんは言います。こういった期間は3か月ほど続きました。


一般的にコンクリート構造の建物は、寿命は60年ほどですが、マンションの価値や安全を守るためにも修繕は必要不可欠。それほど遠くない将来において、第2回の修繕計画も始まることでしょう。工事を予定通り進めるには、住民として作業への理解と協力が必要なのかもしれませんね。

以下の記事では、修繕委員会の取り組みについて詳しくご紹介しています。
マンションの大規模修繕は一日にしてならず〜「パークシティ溝の口」修繕委員会の取り組み事例〜

文:森田由紀(Loco共感編集部)

2016/08/30