住まいの未来はここにある 【HOUSE VISION 2 2016 TOKYO EXHIBITION】レポート

最小のプライベート空間と最大の共用空間

大東建託と建築家・藤本壮介さんのコラボレーションで生まれた「賃貸空間タワー」

大東建託と建築家・藤本壮介さんのコラボレーションで生まれた「賃貸空間タワー」

12の展示作品が並ぶ会場で、ひときわ目を引いていたのが「大東建託」と建築家・藤本壮介さんのコラボレーションで生まれた「賃貸空間タワー」です。その名の通り、賃貸住宅の新しい形を模索するこの空間には、未来の集合住宅の在り方のひとつを指し示すものでした。

秘密基地のような“ワクワク感”のある豊かな共用スペース

秘密基地のような“ワクワク感”のある豊かな共用スペース

全8戸11人の住人を想定して設計された「賃貸空間タワー」の特徴は、なんといっても最大化された共用空間にあります。各個室を繋ぐ中庭のような通路をはじめ、キッチンやライブラリー、廊下などを可能な限り広く確保。一方で、プライベート空間となる個室は7㎡~16㎡と小さく抑えられています。つまり、占有部を最大化し共用部を最小化されてきたこれまでの集合住宅とは、全く逆の考え方ともいえそうです。

個室は最小限のスペース。適度な“おこもり感”が心地よい

個室は最小限のスペース。適度な“おこもり感”が心地よい

カフェのようなダイニングキッチンや、手足を思い切り伸ばせるバスルーム、植栽に彩られた美しい中庭……。実際に作品の中を歩いてみると豊かで開放的な共用部に驚かされます。一方、ミニマムな個室にも狭苦しさはなく、「実はこれで十分じゃない?」と思えるほど。開放的な共用部と“おこもり感”のある占有部のギャップが逆に心地良いのです。一般的なマンションともシェアハウスとも異なるプライベートと共用部の関係性は、新たな集合住宅の可能性を指し示していました。

木目の肌触りまで精密に“印刷”した家!?

凸版印刷と日本デザインセンター原デザイン研究所が手がけた「木目の家」

凸版印刷と日本デザインセンター原デザイン研究所が手がけた「木目の家」

「木目の家」の壁や床に施された木目は、ほぼすべて“印刷”でできています

「木目の家」の壁や床に施された木目は、ほぼすべて“印刷”でできています

床材や壁紙などの内装材は、住まいの印象を決定づける大切なポイント。「無垢の木材の質感に憧れるけど、お手入れが大変そうで……」と考えている方もいるのでは? 凸版印刷と日本デザインセンター原デザイン研究所が手がけた「木目の家」の床や内壁は、高度な印刷技術によって木目の模様や微妙に凹凸のある手触りまで再現したプリント化粧材。「すべて印刷でできています」と言われても、にわかには信じられないほど本物の木材そっくりの仕上がりです。木材の優しい質感とプリント化粧材ならではの耐久性や手入れのしやすさを併せ持つ素材は、未来のマンションインテリアの頼もしい味方になってくれるのかもしれません。また、これらのプリント化粧材には、生体センサーなどのハイテクノロジー機能を埋め込むこともできるのだとか。天然の木では難しい印刷素材ならではの可能性が垣間見える作品でした。

目からウロコ!な作品が目白押し。日本の家は、まだまだ面白くなる!

LIXILと建築家・坂茂さんによる「凝縮と解放の家」

LIXILと建築家・坂茂さんによる「凝縮と解放の家」

ヤマトホールディングスとプロダクトデザイナーの柴田文江さんが手がけた「冷蔵庫が外から開く家」

ヤマトホールディングスとプロダクトデザイナーの柴田文江さんが手がけた「冷蔵庫が外から開く家」

TOYOTAと建築の隈研吾さんによる「グランド・サード・リビング」

TOYOTAと建築の隈研吾さんによる「グランド・サード・リビング」

会期中は世界的な建築家やクリエイターによるトークセッションも数多く開催されています。

会期中は世界的な建築家やクリエイターによるトークセッションも数多く開催されています。

【HOUSE VISION 2 2016 TOKYO EXHIBITION】の会場には、ここまで紹介した作品以外にも、魅力的な展示が数多くありました。たとえば「凝縮と解放の家」は、キッチンやトイレ、風呂などの水回りをひとまとめに“凝縮”した画期的な住まい。大きく開口するガラス窓や軽くて丈夫なPHPパネルを構造体に使うことで、驚くほどの“開放”感を実現していました。また、ヤマトホールディングスとプロダクトデザイナーの柴田文江さんが手がけた「冷蔵庫が外から開く家」は、近い将来実現するであろう“宅配サービス”の未来を予感させる展示。TOYOTAと建築の隈研吾さんによる「グランド・サード・リビング」は、プリウスPHV(プラグインハイブリッド)をエネルギー供給源として活用することで、「どこにいても心地よいリビング」を実現できることを表現しています。

さらに会期中毎日行われるトークセッションも、【HOUSE VISION 2 2016 TOKYO EXHIBITION】の目玉のひとつ。日本デザインセンターの原研哉さんや、(株)貞雄の土谷貞雄さんがモデレーターとなり、第一線で活躍する建築家やクリエイター、研究者、企業などと連日意見を交わすトークセッションは、知的興奮に満ちた時間となるはずです。

日本の「家」の未来をめぐる、さまざまな可能性を感じられるのが【HOUSE VISION 2 2016 TOKYO EXHIBITION】の魅力。ぜひ会場に足を運んで“原寸大”の展示が迫力を体感してください!

2016/08/29