ペットの飼育、足音などの生活音、ゴミ出しなどと並び、マンションで多いのが「タバコの煙によるトラブル」。自分の家族は全くタバコを吸わないのに、バルコニーで隣人が吸っているタバコの煙に悩まされているという話はよく耳にします。
そこで今回、そのトラブルに遭い、上手く解決したというYさんに、その経緯について聞いてみました。
思わぬところでタバコの臭いが!
Yさんは、ご夫婦、中学2年生の息子さん、小学6年生の娘さんの4人暮らし。東京都市部の閑静な住宅街のマンションで、3LDKの間取りの3階に住んでいます。入居当初は、特に隣人とのトラブルもなく快適な生活を送っていましたが、4~5年経ったころから、タバコの煙に悩まされるようになりました。
臭ってくる時間帯はたいてい夜で、初めはリビングの窓を開けたときに、なんとなく臭う程度で気になるほどではありませんでした。けれども、物置部屋として使っていた、リビングから一番遠い洋室を娘さんの部屋にしたところ、その部屋に強烈なタバコの匂いが入ってくることがわかったのです。「娘の部屋に入りぎょっとしました。たった今、この部屋でタバコを吸ったのかと思われるような臭いでした」と、Yさんは言います。
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原因の目途はついたものの、注意ができない
角部屋だったため隣戸の臭いは届きにくいので、Yさんは「2階の住人だろうか…」と思ったそうです。
「タバコの煙に気を付けてもらうよう、お願いしに行くべきだろうか……」と思いつつも、2階の人とは挨拶程度の関係で、深いコミュニケーションはなく、トラブルになることを恐れ、直接話しに行くことをためらっていました。
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解決したいけれどもトラブルも避けたい!Yさんがとった行動は?
けれども、副流煙による子どもの身体への影響を心配したYさんは、いろいろ考えたあげく管理会社に相談をしてみました。管理会社からの説明は、「喫煙は管理規約で禁じられているわけではないので、特定の人に注意はできない」とのこと。
そこで、解決策として出してもらったのが、「ベランダでのタバコの煙にご配慮ください」の内容で、マンション全戸宛ての文面での手紙を、Yさんの1階下のお宅のポストにだけ、入れてもらうことでした。
この方法は大成功で、以来タバコの煙に悩まされる事はなくなったそうです。
「管理会社が迅速に対応してくれたおかげで、すぐに解決できて良かったです」とYさんは笑顔で話します。
マンションでのタバコトラブルを減らすには?
マンション・ラボでは、喫煙者と非喫煙者にタバコに関してどんな悩みを抱えているのか、アンケートをとってみました。アンケートにご協力いただいたのは、現在マンションにお住まいの男女約2800人。
Q.あなたもしくはあなたのご家族で現在タバコを吸っている人はいますか?
Q.マンションの中で、タバコを吸っている場所を教えて下さい。「ご家族の方が吸っている」と回答した方は、ご家族の方が吸っている場所を教えて下さい。
アンケート結果のうち、「自分もしくは家族がタバコを吸っている人」は全体の約22%。その約46%が、「自室に臭いがつくのを避けるため」などの理由から、バルコニーで喫煙しています。ただ、最近、バルコニーは火気厳禁のマンションも増えてきています。
マンション・ラボのアンケートでの自由回答には、何かしらのトラブル事例が約550件。そのうちバルコニーでのトラブルには以下のようなものが目立ちました。
Q.お住まいのマンションでタバコが原因のトラブルがありましたら、教えて下さい。
上階から煙草の吸殻が落ちてきて、バルコニーのウッドデッキをこがした。
ベランダでの喫煙をはじめ、火災防止上、問題となった。
特に、管理規約に違反する場合もあった。
バルコニーでの喫煙は禁止されているにもかかわらず守れないのか、苦情が出ているところがあるらしい。
正直言いたい気持ちがあるが、トラブルなりそうなので言えずにいる。
吸い殻が風で飛んできた、と掲示板に注意喚起がはられていた。
ベランダから吸い殻を落としてトラブルになったことがあるらしく、貼り紙が出ていた。
吸い殻の灰が洗濯物についた。
バルコニーから、火の付いたタバコを捨てる人がいたようで、防犯カメラの増設等が検討をされている。
喫煙に異常反応する人がいる。分譲時、禁煙前提の話はなかった。
吸い殻を上層階のベランダから投げ捨て、下層階のベランダに吸い殻が散乱した事件があった。
1階専用庭への投げ捨てが問題になっていた。
両隣がバルコニーで喫煙するので、天気が良くて窓を開けたいと思っても開けられなくて腹立たしい。
ご近所同士、言いたくても言えないことがあるようです。特に苦情は言われていなくても、わが身を振り返り、改めて周囲を気遣うことで、お互い快適に過ごせるのかもしれません。
また、愛煙家の中には紙巻タバコから加熱式タバコへ変更する人も増えているようです。加熱式タバコの間で評価が高いのは加熱式タバコ「iQOS」(アイコス)。
火を使わない、灰が出ない、副流煙が出ない、ニオイが少ない、さらに、紙巻タバコの煙に比べ、発生する有害性成分の量が平均して約90%低減されていることなどが人気の要素だとか。愛煙家の方の、周りへの配慮がうかがえますね。
「直接談判よりは管理会社へ相談」と「加熱式タバコの利用」はマンションでの「タバコトラブル」を回避する可能性がありそうです。
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―“相手への気遣い”が、快適なマンションライフにつながっていくのかもしれません。
文:高橋保子(Loco共感編集部)
2016/07/26