民泊はマンションにとって吉か?凶か?トラブルを避けるために住民が行うべき対策とは?

いち早くこの問題を検討、管理規約に禁止条項を明記したマンションの事例

「共同生活の場であるマンションの活用ルールは、マンション規約で決定して共有化しておくことがよい。また規約の中に事前届け出を必要とする条項も必須とする」というアンケート回答者の声にもあるように、この問題は、マンション全体の問題として検討するべきでしょう。

この問題について、すでに管理組合で検討し、規約を修正して、「自宅の貸し出し」利用を禁じる措置をとったマンションがあります。湾岸エリアの超高層マンション、ブリリアマーレ有明の管理組合です。

 ブリリアマーレ有明の理事長 星川太輔さんに、お話を伺いました。


ブリリアマーレ有明の理事長 星川太輔さんに、お話を伺いました。

編集部「まだ「自宅の貸し出しサービス」という存在自体を知らないマンション居住者が多いなか、管理規約でいち早くシェアハウスやAirbnb利用を禁じた措置は、非常に先見性のあるものです。いつ頃から議題に上がっていたのでしょうか?」

星川理事長「2013年頃にメディアを騒がせた脱法シェアハウス(※)の問題から、管理組合では、専有部分の用途に関してシェアハウス利用を禁じるべく、管理規約の変更について検討を始めていました。そして2014年4月の総会で、シェアハウス利用を禁じるための管理規約の変更が承認され、規約が修正されました。

その後2015年初頭あたりから、マンションでのAirbnbの利用問題がメディアで取り沙汰されはじめましたが、シェアハウス利用を禁じる管理規約は、そのままAirbnbにも適用されるため、その旨を改めて住民に告知して周知徹底を図り、マンション内のAirbnb利用の排除に取り組みました」

※“違法シェアハウス/脱法シェアハウス”
法的な安全基準や建築基準法を満たしていないシェアハウスに、不特定多数の賃貸者がせめぎ合うように住んでいることで社会問題となった。

編集部「ブリリアマーレ有明には、最上階の33階にプールやバーラウンジ、露天風呂付きスパなどの、ホテルグレードの共用施設があります。もしシェアハウスやAirbnbを禁止せずに、自宅貸し出しを行う居住者を放置していたら、こうした共用施設にも不特定多数の人々が出入りすることになっていたはずです。」

星川理事長「たとえば、当マンションの賃貸物件を借りている賃借人が、シェアハウスにして複数人と家賃を折半したり、オーナーがAirbnbなどに部屋を貸し出したりする可能性もある訳です。

我々居住者としては、不特定多数の人の出入りによるセキュリティ問題、共用施設の利用ルールの問題、マンションのブランド価値の低下などが考えられる自宅貸し出しは、マンションの資産価値を下げかねない問題だと考えました」

編集部「通常のマンションでは、問題が起こってから対処するケースが多いと思いますが、今回の場合は未然に防いだということですね?」

星川理事長「分譲マンションを購入した人のほとんどは、そこに住まうことを目的としています。不特定多数の人が出入りするAirbnbなどが横行してトラブルが発生すれば、居住空間の安心や安全が損なわれてしまいます。今回のように、トラブルが発生する前に未然に防ぐことも、我々マンション居住者の責務だと思います。

また、今後こうした問題と対峙するであろう、周辺マンションや新しく建つマンションにも参考にしていただくために、理事会の決議を取った上で、当該規約を当マンションの公式サイトのブログで公開して情報を共有しました」

「ブリリアマーレ有明ではAirbnb等を利用した貸し出しを管理規約で禁止しています」ブリリアマーレ有明公式サイト ブログ

「日経ビジネスの取材を受けました&Airbnb等を利用した貸し出しの禁止を定めた管理規約第12条4~7項を公開します」ブリリアマーレ有明公式サイト ブログ

編集部「なるほど。管理規約の公開まで行なわれたというのは、まさにご英断ですね。他のタワーマンション居住者や管理組合からも高く評価されたとうかがいました。マンションが抱える新たな問題へ一石を投じたのは間違いないと思います。これらの行動をマンション全体で行うために、大切なこととはなんでしょうか?」

 ブリリアマーレ有明のヴィジョンを明示した「クレド(Credo)」カード。Keep Intellect、 Keep Nature、 Keep Style。この3つの柱に沿って運営することを、理事会役員から管理員、コンシェルジュ、清掃スタッフにいたるまで、運営に携わるすべての人が規範としています。


ブリリアマーレ有明のヴィジョンを明示した「クレド(Credo)」カード。Keep Intellect、 Keep Nature、 Keep Style。この3つの柱に沿って運営することを、理事会役員から管理員、コンシェルジュ、清掃スタッフにいたるまで、運営に携わるすべての人が規範としています。

星川理事長「我々のマンションは、『非日常が日常であるために』というヴィジョンのもと、すべての判断を行っています。そのヴィジョンからみても、Airbnbは、分譲マンションには相容れない性質のものだと思います。

しかしマンションによって、どう捉えるかは異なってくるかもしれません。自分たちのマンションがどうありたいかという議論も出てくるはずです。これをきっかけに、自分たちのマンションをどうしていきたいのか、全員でよく話し合うべきでしょうね」

マンションも、新しい社会の流れに即した対応を考える必要があります

2020年の東京五輪開催に伴って、外国人観光客の増加は間違いないでしょう。今後、Airbnbの利用ニーズが増えるとともに、ホストとして自室を貸し出す人が増加するかもしれません。

アンケートでは、60%の回答者が民泊に反対していますが、実際に行動に移しているマンションはまだまだ少ないと予想されます。ブリリアマーレ有明のように、「未然にトラブルを防ぐ」という行動も、場合に応じては必要でしょう。

時代が変わると、いままで考えたこともないような新しいサービスや動きも生まれてきます。「自宅の貸し出し」だけでなく、今後もマンションにはさまざまな未知の問題が出てくることでしょう。その都度、どう決断して行動していくかは、それぞれのマンションに住む居住者全員で考えていかねばなりません。

あなたのマンションでは、どのように対処するのでしょうか?この機会に、真剣に考えてみませんか?

※今回取り上げたAirbnbにつきましては、日本の法律でも曖昧で、かつマンションによっても現状の管理規約の適用範囲外となり、改正しなければ取り締まることができない可能性があります。ただ、今後オリンピックにより訪日外国人の数も多くなることも想定されることから、Airbnbについて知っていただき、マンションごとに対策や方針を検討することが必要だと考え、今回記事としてご紹介させていただきました。本記事が、少しでもお役に立てれば幸いです。

2015/11/11