フランスでますます増える電気自動車 アパルトマン駐車場への充電設備の課題とは?

先日、私が住んでいるアパルトマンの共有ホールに、駐車場の改修工事に先立つアンケートが張ってありました。

「電気自動車を持っている、または購入する予定があるか」という内容で、駐車場の改修工事の際、充電設備がどの程度必要か確認するためのものでした。

ご存知の方も多いと思いますが、パリ市は2011年から、電気自動車のレンタルシステム“オートリブ”を実施。現在、870を超えるステーションがあり、5000以上の充電設備が設置されているそうです。

オートリブのステーションと充電器。

今後さらに電気自動車が普及すればするほど、集合住宅の駐車場でも、充電設備が必要になってきます。

そこで今回は、電気自動車と集合住宅の駐車場について調べてみました。

まず駐車場のある集合住宅を新築する場合。
フランスの環境・持続可能開発・エネルギー省のサイトによると、充電器を設置する義務はありませんが、“普通充電”をするための最低限の設備、つまり電源や標準分電盤、配線などの整備が義務付けられています。将来的に、利用者ごとに消費電気料を請求できるシステムが設置できるかどうか、建築段階で検討も必要です。

ちなみに普通充電とは、ひとつの充電器につき4kWで、夜間に6~8時間行うことを前提にしているそうです。

また駐車場は閉鎖された空間で、出入りするのは車を駐車する人だけに限定すること、といった安全面の義務も記載されています。

既存の集合住宅に義務付けられているのは、管理組合の会議で電気自動車のための設備について議題にすること。設置が合意された場合は、充電器の管理については、利用者と管理組合との間で合意形成が必要です。

「充電器を保有する“権利”」についても明記されていて、駐車場の所有者(アパルトマンのオーナーまたは借家人)が自費で設置する場合は、理由もなく反対する権利は管理組合にありません。ただし、まずは管理組合に書留郵便で意思を伝え、会議で議題にしなければなりません。

実際に充電器を設置するとなると、所有台数にあわせて設置するのか、共同で使う場合は駐車場のどこに充電器を設置するのか、充電器を使う人と使わない人との間で管理費や駐車場料金の差をつけるのか……など、細部まで話し合う必要がありそうです。

フランス政府は、電気自動車の普及目標を2020年までに200万台としており、環境大臣が「2020年までにすべてのバスとタクシーを電気自動車にする」とまで発言しています。

電気自動車の売り上げを見てみると、2014年は10560台。フランスの登録自動車数の0.6%に過ぎませんが、2013年より20%アップしています。今年1月から3月までの売り上げは、前年度の同時期に対して80%増の2900台、4月の売り上げも前年比65%増の1948台を記録。2014年の2倍に値します。

シャンゼリゼ大通りにあるルノーのショールームに展示してあった電気自動車「トゥイージー」。最大時速は110Km。

同じくルノーの電気自動車「ゾエ」。今年新型モーターに代わり、フル充電時で最大240kmまで走行できるようになったそう。

4月の売り上げの多さの背景には、政府の新しい政策がありました。ディーゼル車から電気自動車に買い換えた場合、1000ユーロのボーナスを支給しているのです。地方都市によっては、2015年に電気自動車を購入した人には1500ユーロを支給する自治体もあるそう。今年はさらに売り上げが伸びることが予想されています。

日本のマンションでは、充電器の整備が進んでいるでしょうか? コイン式充電器などマンション用の充電器も販売されていると聞きました。近い将来、電気自動車用のインフラ整備の有無が、アパルトマンやマンション選びの重要な条件になってくるかもしれませんね。

2015/08/17

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


ブログ村「パリ情報ブログランキング」に参加しています