高さ規制のあるパリでは異例の16 階建て“高層マンション”が誕生

パリの南に位置する13区に6月初め、1970年代以降に建てられたパリの集合住宅の中で、もっとも高い住宅が完成しました。HOME(ホーム)と名づけられた、16階建て、高さ50mの住宅です。東京に比べるとどこにでもあるでしょうが、高さ規制のあるパリでは異例の高さの集合住宅なのです。

真ん中にある木造のような建物が「ホーム」。本を交互に重ねたようなデザインです。

近くに寄ってみた写真。2つの棟に分かれていて、あわせて188戸の社会住宅(うち96軒は賃貸)が入居しています。広さはワンルームから5室(日本では3DK)まで。

左の棟は、階段のような形。どのテラスも日当たりがよさそうです。

1970年代に開発が進んだパリ13区は、パリでもっとも高い建物が並んでいる地区。この「ホーム」は13区の南端、お隣のイヴリー・シュール・セーヌ市と接するマセナ・ブリュヌソー開発地区(23ヘクタール)にあり、フランス国立図書館フランソワ・ミッテラン館のすぐ近くです。

パリには地区ごとに建物の高さ規定があり、開発計画ごとにパリ市が審査し、認可しています。マセナ・ブリュヌソー開発地区の建築物に関しては、パリ市議会が2011年、集合住宅の高さ規制を37mから50mに緩和。さらにオフィスビルは180mまで許可することを決定していたのです。

周辺ではオフィスや集合住宅の工事がまだまだ続いています。

プロジェクトの中には、壁の緑化するなどエコ建築で知られる建築家エドゥワール・フランソワ氏が手掛けた集合住宅もありました。こちらも高さは50m。地上階にお店が入店し、幼稚園も併設される予定です。

写真の右端、「ホーム」の3軒隣です。いま緑色で覆われている部分は、本物の植物が植えられます。

トラムウエイの駅が目の前にあります。

これらマセナ・ブリュヌソー開発地区の高層ビルは、パリにおける高層ビルの必要性をあらためて問いかけるものでした。新しい建物を建築する土地が少ないパリでは、高いビルを建てることで住宅軒数を増やし、住宅やオフィスの不足問題に活路を見出したいという考えもあります。

一方、景観を破壊するという反対意見が根強いのも事実です。

集合住宅ではありませんが、オフィスや商業施設、レストランやバーが入居する42階建て、高さ180mの「トゥール・トリアングル」をパリ南端に建設する計画があります。

トリアングル(フランス語でトライアングル)という名前の通り、三角形のビルで、「パリの新しい名所になる」「経済効果がある」という推進派と、反対する議員や住民が対立。昨年11月には市議会が建設計画を否決しました。その後、ホテルやコワーキング・スペースなどを加えた修正案が提出され、新聞報道によると、6月30日の議会では賛成が反対を上回りました。完成すれば、エッフェル塔(324m)、モンパルナスタワー(210m)に次ぐ高さになるそう。

高層ビルどころか、超高層ビルやタワーマンションが建ち並んでいる東京では考えられない議論かもしれませんね。

パリでも、歴史的な景観を厳格に守ることを大前提にしながらも、今後は、時代の要請にあわせて高層ビルの建設計画をめぐる議論が増えていくかもしれません。

2015/07/30

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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