パリのリサイクルショップ 不用品からオリジナル・コレクションも誕生

前回、パリでの不用品回収とリサイクルの仕組みをご紹介しました。集まった不用品を販売するリサイクルショップもたくさんありますが、パリの地域に密着し、不用品を再利用した雑貨や洋服を販売する店も登場してきました。

パリ南部、13区にある「マ・ルスルスリー Ma Ressourcerie 」もそのひとつです。

パリの中華街として知られる13区にあります。

パリ13区の住民がつくったアソシエーション(非営利団体)が母体で、目的は①ごみを減らし、不用品の再循環サイクルを確立する、②地元住民の雇用を創生する、③地域の社会的な関係や共生を強める。④環境や責任ある消費行動を啓蒙する、の4つ。

2011年にショップをオープンしましたが、住民たちが持ち込む不用品の数が増大したため、2014年12月により広い現在の場所に移転。当初、集まった不用品は年間25トンだったそうですが、今年は60トンを見込んでいるそう。現在、従業員7人と多くのボランティアによって運営されています。

店内の様子。住民たちが持ち込んだ服、食器、本、雑貨などを販売しています。

ヴィンテージのコーナーには、有名ブランドの商品も。

「何も捨てないこと、が信条なんです」と代表のマリオンさんは話します。何も無駄にしないという考えから生まれたのが、何も買わずに作る、つまり回収した品から新しい商品をつくるという発想。服をリメイクしたり、スーパーなどでもらうビニール袋からバッグを作る教室を開催しています。

さらに5月30日に開催したお祭りでは、不用品から作った“レディス・コレクション”が発表されました。そのなかにはウエディングドレスも!

結婚式を想定して、新郎新婦やその家族のドレスまでを、寄付された服や生地、オブ ジェを使って創作。仕立て職人のボランティアが中心となって作られました。

代表のマリオンさんが花嫁に扮しました。花嫁のブーケも不要になったランプから!

また、不用品からオブジェをつくるクリエーターの作品も、随時販売しています。

Ma Ressourcerie
126 avenue d’Italie, 75013 Paris
http://maressourcerieparis13.org/


オリジナル・コレクションを販売しているリサイクルショップといえば、「エマウス・ラ・フリップリー・ソリデール/ラボ・ドゥ・ラベEmmaüs La Friperie Solidaire – Le labo de l’Abbé 」もそのひとつ。フランスでもっとも有名な慈善団体といっても過言ではないエマウスの運営です。

専門の仕立て職人がオリジナル・コレクションを製作。現在は2015年春コレクションを販売中です。

個性的なブティックが多いオベルカンフ通りにある「ラボ・ドゥ・ラベ」

また、ブティックが建ち並ぶ人気の4区にある「ビス・ブティック・ソリデール Bis Boutique Solidaire 」は、一見おしゃれなブティックです。

外観を見ると、マレ地区のおしゃれなブティックと変わりません。

カトリック教系の慈善団体「スクール・カトリック」が回収した古着の中から状態のいいものをセレクトし、洗濯したりアイロンがけし、必要であれば手直しをして販売しています。

店名の一部になっている“ソリデール solidaire ”というのは、“連帯的な”という意味の形容詞。その名詞である“ソリダリテ Solidarité ”という言葉は、フランスでよく聞く単語です。労働運動やストの際に使われると同時に、何か大きな事件がフランスを襲ったときには、大統領や政治家が国民に対して“ソリダリテ”を訴えかけるのです。

今回紹介したリサイクルショップに共通しているのは、無駄のない生活を提案し、不用品の回収・改修のサイクルをつくることで、社会的弱者を支援して雇用創出につなげたい、という意識。この社会で共に暮らし、寄り添い、助け合って生きようという“ソリダリテ”です。

連帯感という言葉は大げさに聞こえますが、こうしたリサイクルショップの取り組みを見ていると、難しいことは考えなくても、「買う前や捨てる前に考えてみる」という日々の小さな意識とちょっとした気遣いも、“ソリダリテ”につながっていくのだと思います。

2015/06/01

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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