住宅・雇用問題の一助にもなる、パリの不用品回収&リサイクル・システム!

新年度、新学期から約1カ月。新しい生活も落ち着いてきた頃でしょうか。新生活に際して、引越しをした方も多いと思いますが、不用品はどのように処分しましたか。

捨てる、知り合いに譲る、リサイクルショップや専門業者に引き取ってもらうなど、処分の方法はいろいろあります。しかし回収や引き取りが有料の場合もありますし、ブランド品でもないので委託販売店に持ち込むこともできず、それでも捨ててしまうのはもったいない……というものもたくさんありますよね。

パリでは、不用品を無料で回収してくれるシステムが充実していて、とても便利です。

たとえば、アパルトマンに慈善団体が定期的に回収に回ってきます。回収日の数日前に、アパルトマンに案内の紙を貼られるので、指定日までに入り口に不用品を置いておけばいいだけ。誰かの役に立つと思うと、捨てるより罪悪感もありません。

さらに、街のあちこちに回収ボックスが設置されています。

このボックスを設置・管理しているのは、慈善団体エマウス(Emmaüs)がつくったル・ルレ(Le relais)という団体。エマウスは、住宅の問題を抱えたり社会に適応できない人たちを支援しており、不用品を無料で回収してリサイクルすることで活動資金に当て、雇用を生みだしてきました。さらに雇用を拡大をするために、1984年に設立したのがル・ルレというわけです。

パリ市がル・ルレと提携して設置している衣料品の回収ボックス。洋服のほか靴、下着、レザー小物を受け付けています。

ル・ルレはフランスでトップの回収業者で、国内に約1万8000のボックスを設置し、2500人を雇用。回収量は約10トンで、フランス全体の55%にあたるそうです。

回収した衣料品は、そのまま利用できるものはアフリカのル・ルレに輸出したり直営リサイクルショップで販売。そのほかは掃除用スポンジなどにリサイクルされ、全体の97%が有効利用されています。

ル・ルレのボックスに集まった衣料品をスタッフが取り出します。©Sébastien Gracco de Lay

ル・ルレの分別センター。そのまま販売したり輸出するもの、リサイクルするものなどに分別します。©Sébastien Gracco de Lay

エマウスが運営するリサイクルショップはパリ市内に10店舗以上あり、そのなかのひとつ「エマウス・ラパルトマン」については、2011年にご紹介しました。服だけでなく、本や家具、電子機器などあらゆるものが売られています。

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昨年5月には、500㎡を誇る新ショップがパリ12区にオープンしました。ショップの横にもル・ルレのボックスが置いてありましたが、ボックスに入らない不用品は直接持ち込むことも可能とのこと。

エマウスのショップの入り口。

ショップの横にも回収ボックスが置かれていました。

ただしショップは今年夏までの期間限定。というのは、ショップがあるのは国防庁が管理する兵舎だった建物で、2013年にパリ市が敷地を購入。兵舎は、2017年までに400~500棟の住宅(半数が社会住宅)に建て替えられることが決まっています。“空き家”となった建物に増加していた不法占拠者への対策も含めて、工事が始まるまでの間、エマウスをはじめとする非営利団体に貸し出されたというわけです。こんなところでも、パリの住宅問題が露呈してきました。

不用品の回収・リサイクル事業というと、無駄をなくしたり、環境への配慮の視点だけを考えますが、フランスでは、住宅や雇用の問題も含めた観点から活動が行われているのが印象的です。

このほかパリには、チャリティーとモードを融合させたり、地域密着型のリサイクルショップも増えています。次回はそうしたショップを紹介します。

2015/05/18

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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