市民の意見を反映する、パリの緑化プロジェクト!

3月の最終日曜日から夏時間に変わり、パリの街にも緑が少しずつ戻り、春らしくなってきました。

公園や美術館の庭園などがあるパリは、都会にいながら自然を感じられる場所が多くあります。もちろん、さまざまな緑化政策のおかげでもあるのですが、いつも面白いと思うのは、市民や企業からプロジェクトを募集し、意見を反映させている点です。

2013年には、“Végétalisation Innovante”(革新的な緑化)と題して、企業や緑化関連の協会、研究者が対象に、生物の多様性の保護や温暖化に対応する都市緑化プロジェクトを募集。壁面を活用した果物栽培、屋上庭園や壁の緑化、生ごみコンポスト設置など、都市ならではの意見が集まり、30軒が採用されました。

昨年7月から9月にかけては、“ Du vert près de chez moi”(私の家の近くに緑を)と題して、一般市民から緑化に関する意見を募集。

“Du vert près de chez moi”への投稿を呼びかけるパリ市のポスター

パリ市の特設サイトや携帯電話の専用アプリなどから、緑化(木々の植栽、壁、フラワーポットの設置、木の根元への植栽)を希望する道路や場所を投稿できる仕組みです。

投稿数は約1500件。その中から今年2月、パリ市が選んだ209件が発表されました。選考にあたっては、場所や技術的に実現可能であるかはもちろん、パリ市全体の緑化バランスや住民の数などが考慮されたそうです。

さらにパリ市は昨年から、市民から施策を公募する“Budget participatif”(参加型予算)をスタートしました。2014年から2020年までの投資予算の5%、つまり5億ユーロ分が、この市民の提案によるプロジェクトに費やされます。

年齢、国籍を問わず、パリ市民なら誰でも応募が可能。今年は1月14日から3月15日まで受付が行われ、2,722人が5,115件のプロジェクトを提案したとのこと。デジタル、農業、環境、交通、トイレなど分野はさまざまです。

パリ市の専用サイトには、投稿するときの参考になるようにと、予算の目安がわかる表も掲載されていました。

パリ市は応募されたプロジェクトを検討して、数を絞り込み、9月に市民投票を実施。予算化されるプロジェクトを決定します。

昨年は4万745人が投票し、9つのプロジェクトが“当選”。あわせて約2000万ユーロが支出される予定です。

具体的には、投票数が多い順に、40の壁の緑化(200万ユーロ)、633の小学校と保育園に菜園の設置(100万ユーロ)、市境地のアート発表の場への転換(150万ユーロ)、移動型の粗大ごみ回収箱(100万ユーロ)などで、環境や都市開発に関するプロジェクトがめだちました。

このほか、一定の日時に道路を封鎖し、道路で子供が遊ばせるようにする「子供を道に返そう」、公園内にあるキオスク(小さな音楽堂)の改修・新設と、都市での生活をより豊かにするプロジェクトもありました。

日本ではヒートアイランド現象への対応としても緑化が推進されると聞きます。都市の緑化は、地球温暖化対策やエネルギー削減につながることはもちろん、私たちの気持ちも落ち着かせてくれます。単に公園や庭園を造るだけではなく、どんな場所にも、あらゆる公共の場に、緑が存在する街であってほしいと思います。

2015/04/06

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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