パリ郊外 ルノー工場跡にエコ・カルティエが建設中

環境に配慮した都市開発を行っているパリのエコ・カルティエをこれまでいくつかご紹介してきました。

フランスのエコロジー・持続可能な発展・運輸・住宅省は2012年末、地区の特性にあわせて持続可能な環境を実現する都市開発事業に対する「エコ・カルティエ」レーベルを設置。2013年9月、募集のあったプロジェクトの中から、13のプロジェクトに対してレーベルを授与しました。

パリで選ばれたのは、2011年3月にご紹介したフレケル通りとフォンタラビ通り周辺と、パリ19区のクロード・ベルナール地区の2つのプロジェクト。

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またパリの郊外のブーローニュ・ビヤンクール市のセガン島・トラペーズ地区も選ばれていました。

セガン島という名前を、聞いたことがある人も多いでしょう。フランスの車メーカー「ルノー」の工場があった島で、この島の再開発にはフランス人も高い関心を寄せています。

セーヌ川に浮かぶセガン島は、総面積11.5ヘクタール。パリとヴェルサイユ宮殿の間にあることから、17~18世紀には貴族の川遊びの場となり、19世紀後半には印象派の画家たちが訪れました。

ルノー工場が建てられたのは1929年で、その後、従業員は3万人という大規模な生産拠点に。近代化の象徴となったセガン島ですが、1992年に工場は閉鎖、2005年に解体されました。

パリのすぐ隣、セーヌ川沿いという絶好の立地条件だけに、さまざまな大プロジェクトが提案されてきました。そして2003年、ブーローニュ・ビヤンクール市はやっと、サガン島とその向かいのトラペーズ地区、セーブル橋周辺のあわせて74ヘクタールを集中開発整備地域に指定。2009年には、都市開発プランを建築家のジャン・ヌーヴェルが担当することが決定し、2010年に工事がスタートしました。

オフィスや商業施設、公園や学校といった公共スペースと、世界的な文化施設を備えた都市の創造。2018年の完成をめざして開発が進められています。

12月半ばにこの地区を訪れてみると、トラペーズ地区では住居やオフィスが完成しつつありましたが、セガン島はまだまだ工事の真っ最中でした。

セガン島を南から見たところ。グラフィティが見える壁が工場跡。その向こうで工事中の様子が見えるのが、セーヌ川対岸にあるトラペーズ地区。

“島の再生”に先立って、2012年にはセガン島に「パヴィヨン」がオープンしています。ブーローニュ・ビヤンクール市とルノー、ヴァル・ドゥ・セーヌ開発会社が共同で開いたもので、ルノーや島の歴史を示す資料、ジャン・ヌーヴェル氏が描いた開発プランなどを展示し、過去と現在、未来をつなぐ役割を果たしています。

工事中の島でひときわ目立つカラフルな「パヴィヨン」

写真では分かりづらいのですが、この島で製造されたルノーの歴史的な車も展示されています。

このほかセガン島には、ルノーの電気自動車の試験場(予約制でオープン)、サーカスセンターが造られています。

セーヌ川の南側からセガン島へ続くセーベール橋。車は通れません。いかにも工事中らしい雰囲気。

まだ何も植えられていませんが、教育用の庭園になる予定の場所。

さらに2016年から2017年にかけては、坂茂氏がデザインすることが決まった音楽堂、現代美術センター「4R」もお目見えする予定です。

セーヌ川の北側から見たセガン島。

サガン島のルノー工場は解体されましたが、セガン島には、近代産業や企業の歴史、そして労働者や労働組合の歴史が、強く刻み込まれているように思います。過去の遺産であることは間違いないですが、住民や町の未来とも、ゆるやかに融合していく場所になることを願います。

「パヴィヨン(Pavillon)」のオープン時間
4月-10月 水曜~日曜 14時~18時
11月-3月 水曜~日曜 14時~17時

セガン島の再開発についてのサイト
http://www.ileseguin-rivesdeseine.fr/

2015/01/14

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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