パリのエコ・カルティエで建設中 高齢者向け住宅

今年5月、パリ北西部のクリシー・バティニョール地区に建設中のエコ・カルティエ(環境に配慮した地区)をご紹介しました。

パリ市が推進する環境施策、大規模エコ・カルティエが建設中

この地区で10月10 日~12日の3日間、建設中のアパルトマンや公園などの見学・説明会が開かれました。この機会に久しぶりに訪れてみると、共同住宅の建設はもちろん、公園の整備が進んでいて、新たなカルティエづくりがだいぶ進行していました。

53ヘクタールにおよぶクリシー・バティニョール地区の中央に建てられた“ベルヴェデール”(見晴らし台)。レストランになる予定。

見晴らし台に上がると、広いテラスが。周囲に工事中の建物が見えます。

広々した公園。公園側のアパルトマンは南東に向いているので、静かで日当たりもよさそう。

住民のためのサッカー場もあります。

反対側を見ると、古い建物の屋根にもソーラーパネルが設置されていました。

さて、私が見学したのは、社会住宅と介護が必要な高齢者向けのアパルトマンが合体した集合住宅です。見学会といっても、アパルトマンの購入希望者が対象というわけではなく、だれでも参加できたので、近くに住む住民や建築を学ぶ学生たちも多く参加していました。建築事務所の方の案内で、建物の中に入ります。

私が見学した集合住宅。下部の4階分が高齢者向け、上の5階が家賃が抑えられた社会住宅。

左隣も社会住宅。同時に工事が進んでいます。

地上階(日本では1階)は、多目的ルームなどを備えた共同スペース。1階(同2階)から4階(同5階)までが高齢者向け住居になっています。各階に広々とした共有スペースがあり、その周囲に個室があります。看護士さんのための部屋も用意されていました。個室は全部で100室。

1階の様子。中庭に向かって大きな共有スペースがあり、その周囲にアパルトマンがつくられています。

共有スペースは、アパルトマンより天井が少し低いつくりです。ソファなど低めの家具を置いて、家の居間にいるようなあたたかさを感じてもらうためだそう。設計には、国の認可を受けた介護付き高齢者住宅EHPADも参加して、運営もEHPADに任されるとのこと。

窓から外を見ると、隣の建物はすぐ目の前。しかし隣の建物は、凹型になっているので、つまり真ん中が空いているようなデザインなので、遠くの公園の緑が目に入り、圧迫感はあまりありません。施行している建築会社は建物によって違いますが、互いに最大限の快適さが得られるよう、トータルで計算されているのです。

3階の窓から外を見たところ。隣の建物の間から、公園の緑が目に入ります。

高齢者向けのアパルトマンはすべて20㎡。シャワールームもついています。

4階は、アルツハイマー型認知症の方を迎えるフロア。個室は18室で、共同の食堂も設置されます。

アルツハイマー型認知症の方が入居するフロアは、バルコニー付き。屋根には植物を植えて緑化する予定。

5階から9階が社会住宅で、18のアパルトマンが入居します。入り口は高齢者向け住宅とは別になっています。

居間、2つの寝室、バスルーム、キッチン、小さなテラスがついて約60㎡。

寝室からのぞくと、植物を植えたばかりのテラスが(外には出られません)。ここはアルツハイマー型認知症向けのフロアの屋根にあたります。

クリシー・バティニョール地区の建設計画を数字であらためて見てみると、巨大なプロジェクトであることが分かります。

総面積:53ヘクタール、うち10ヘクタールが公園
住宅:3400軒(うち1700軒が社会住宅、高齢者向け200室、500室が学生や若年層向け)
オフィス:14万㎡
商店、文化施設:3万2000㎡

2017年にはパリ最高裁判所も地区内に移転する予定で、パリのジョルジュ・ポンピドゥー国立美術文化センターや関西国際空港ターミナルなどを手がけた世界的な建築家レンゾ・ピアノが設計するそう。将来的には、新しい地下鉄14号線のやトラムウエイの駅が建設され、パリとパリ郊外を結ぶ重要なカルティエにもなりそうです。

2014/11/05

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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