持続可能な住宅のコンペ「ソーラー・デカスロン ヨーロッパ」 フランス・ヴェルサイユで開催

「ソーラー・デカスロン」は2002年、アメリカのエネルギー省が創設した大学間の国際コンペ。再生エネルギーと近代建築技術の発展を目的に開かれ、ソーラー住宅を実際に建築して競います。

ヨーロッパにおける「ソーラー・デカスロン ヨーロッパ」は2002年、スペイン・マドリッドで初めて開催。今年のフランス大会は、6月14日から28日まで、パリ郊外のヴェルサイユ市で開かれました。会場となったのは、ヴェルサイユ宮殿の西側に広がる大庭園の一部。世界16カ国の20チームの住宅が展示されました。

評価基準は建築やエネルギー効率、持続可能性、快適性など10項目。さらに今年のフランス大会では、都市密度や移動手段、エネルギー節制、価格、敷地環境との関係性といった点が重視されたそうです。

10ヘクタールの会場に、次世代ソーラーハウスが展示されました。

優勝したのは、イタリア・ベルリン芸術大学の「ティーム・ロームTeam Rhome」が提案した『ローム・フォー・ダンシティーRhome for DenCity 』。ローマ南西部にある中世時代に建てられた高さ30mの塔の隣に造ることを前提とした住宅。不法住民の問題を抱えるローマ郊外に、エコで機能的な住宅を建てることによって、歴史的建造物を守りながら、地域の再生を図ることが目的だそう。

プロジェクトのRhomeは、ローマRomeと家(ホームhome)をかけた言葉。デザイン性に優れていると同時に、ローマが抱える課題に即していることが評価されましした。(写真:Solar Decathlon France提供)

2位はフランス・ナントの複数の大学で結成した「アトランティック・チャレンジ」による『フィレアスPhiléas 』。1895年に建設されたビルの改装のためのプロジェクトです。

ガラス屋根が印象的。

木材とコンクリート、ガラスという異素材がとけこんでいました。

開放感のあるリビング(写真:Solar Decathlon France提供)

階段を上がると、2階は温室になっています (写真:Solar Decathlon France提供)

そして3位はオランダのデルフト大学「プレ・タ・ロジェ Prêt-à-Loger 」チームによる『ホーム・ウイズ・ア・スキン Home with a skin 』。オランダでは、庭に囲まれた熱効率の悪い住居が60%を超えるそう。そこで同チームが提案するのは、住居を壊して建て直すのではなく、外壁の一部をソーラーパネルというもう1枚の肌(=スキン)で覆うというアイデアです。

コスト削減も考慮したオランダのプロジェクト。

屋根から壁にかけてソーラーパネルを設置しています (写真:Solar Decathlon France)

緑で覆われた広いテラスも欠かせません (写真:Solar Decathlon France提供)

また日本からは千葉大学が、2012年に続いて2度目の出場を果たしました。

『ルネハウス RenaiHouse』と題した住宅は、東日本大震災で被災した岩手県陸前高田の高台が敷地条件。水回り、交流スペースなどをユニット化しているので、居住者が自由に組み合わせ、復興の段階に応じても変えることができるそうです。

地域の再生=ルネッサンスの視点から生まれた千葉大学の『ルネハウス』

交流スペースとして考えられたユニット

リビングを中心として、その周囲に水回り(右奥)、空調設備(左奥)、交流スペースの箱型ユニットが配置されていました (写真:Solar Decathlon France提供)

連休を含めて行われたこともあり、期間中の入場者は8万人を超える盛況ぶり。見学できるまで数十分待つ場合もあったほどです。中で説明をしてくれるのは、もちろん、プロジェクトを考えた大学生たち。メーカーがスポンサーとなるなど、産学が提携して研究・開発が行われているのも、特徴でした。
このコンペティションで提案されるアイデアと最新技術は、建築や行政の関係者も注目しており、実際に市場に活用されることもあるそう。今後のマンションや集合住宅の建設にも生かされていくかもしれませんね。

2014/08/20

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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