パリの駅舎を改装した「ラ・ルシィクルリー」がオープン キーワードは、エコロジカルな3R

パリのクリニャンクールと聞くと、蚤の市を思い浮かべる方も多いでしょう。この蚤の市の最寄り駅ポルト・ドゥ・クリニャンクールに、新しいスペース“ラ・ルシィクルリー”が誕生。まだ完全に工事は終わっていないものの、すでに新たな流行スポットとして、話題になっています。

古い駅舎を改装した「ラ・ルシィクルリー」。線路も残っています。まだ工事は完全に終わっていないようです。

ここは1934年までの約70年間、パリ市内を走っていた環状鉄道の駅舎でした。ほぼ放置された状態だった駅舎を昨年、流行のコンサートホールやクラブを手がけるステファーヌ・ヴァティネルさんが買収。新しいスポットに変身させました。

大きな看板もなく、外装も修繕していないので、知らなければ通り過ぎてしまいますが、中に入ると150㎡の広い開放的なスペースが広がっています。

ポルト・ドゥ・クリニャンクールの駅から出てすぐ。入り口が分かりにくいですが、La REcyclerieのポスターが貼ってあります。

中央にドリンクをサービスする大きなカウンターがあり、その奥はカフェ・レストラン。高い天井、大きなガラス窓が、駅舎だったことを思い出させます。外壁はもちろん、床や窓も駅だった頃のまま。調度品やインテリアは古い家具やリサイクル品が使われています。
レストランでは、アフリカやキューバ、スリランカなど1週間ごとに違う国の料理が味わえます。使い終わったプレートは自分で返すシステムで、レストランというより、食堂の雰囲気です。

中に入るとメニューとイベントの案内看板があり、奥にカウンターが見えます。

カウンターを越えるとカフェ・レストランに。

大きなガラス窓から、自然光がたくさん入ります

テーブルや椅子は古いものを集めているので、デザインも色もばらばら。

注文はすべてカウンターで。料理やドリンクの受け取り、プレートの返却はセルフサービスです。

線路に下りてみると、ホームがバーになっていました。
ホーム部分は300mの距離があり、今後はハーブ園やミニ農場などとして整備していく予定。反対側のホームは、近隣の住民たちが管理する共同菜園“ジャルダン・デュ・ルイソー”。1998年から、住民たちが率先して、荒廃していたホームを緑にあふれる場所に変えてきたそうです。

左側が「ラ・ルシィクルリー」のバー。ここではヨガやシアターなどのイベントも開催されます。右側のホームが市民の共同菜園。

住民たちの共同菜園“ジャルダン・デュ・ルイソー”

駅を再利用したこと、そしてインテリアの選び方に表れているように、「ラ・ルシィクルリー」の根本に流れるキーワードは、3Rです。つまり、無駄を減らし(Reduce=リデュース)、修理してくり返し使い(Reuseリユース)、そしてリサイクル(recycle)。店名もあえて、REを大文字で示しています。

ここではエコの精神を文化・社会的なイベントを通して発信。たとえば「アトリエ・ルネ」と名づけられたスペースがあり、定期的に日曜大工に関する教室を開く予定。7月からは毎週日曜日、テーマを絞ったフリーマーケットもスタート。売買だけでなく、使わなくなった自転車やCD、植物、服の交換会なども行われています。

「アトリエ・ルネ」のスペース。

さらに、古い靴下や片方だけになった靴下から小物を作る教室、編み物教室、移動式トラックによるストリートフード教室、ナチュラルコスメ教室などなど、さまざまなイベントを提案。4月にご紹介した農産物の直売所「ラ・ルッシュ」も、木曜日の夕方に開かれています。このときに取材した「コントワール・ジェネラル」を手がけたのも、ヴァティネルさんです。
フランスで拡大中 住民が主導で運営する直売所

ポルト・ドゥ・クリニャンクール駅界隈はアフリカ移民が多く、周辺はけっしてきれいとはいえない雑多な地区。しかし現在トラムウエイの工事が進行中で、「ラ・ルシィクルリー」にはおしゃれなパリジャンが集まってきています。エコを堅苦しく学ぶ場でも単なる流行のバーでもなく、住民たちもいい意味で巻き込みながら、多彩な文化が交じり合う場になってほしいと思います。

La REcyclerie
81-85 boulevard Ornano, 75018 Paris
http://www.larecyclerie.com/

2014/08/05

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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