市民参加型の“コーポラティブハウス”づくり パリでも計画がスタート

入居希望者が共同で土地を購入して集合住宅を建築し、維持管理も行う“コーポラティブハウス”の計画が、パリでスタートしました。フランス語では“アビタ・パルティシパティフ(habitat participatif)”=参加型住宅と呼ばれています。

パリ市は2013年秋にコーポラティブハウス推進を決定。パリ北東部の19区と20区に3区画を準備して、5月末に説明会を開催すると同時に、希望者の募集を開始しました。

土地面積は228㎡、289㎡、396㎡で、それぞれ5~13軒のアパルトマンが建設できるそうです。土地の評価額は61万5000ユーロ~134万ユーロ(2014年6月現在、約8487万円~1億8492万円)。

5月23日の説明会を宣伝するパリ市のポスター

6月6日に募集を締め切り、同10日には20区の区役所で希望者210人を集めて、初の会合を実施。今年11月まで何度か会合を開きながら希望者(グループ)を絞っていき、2015年12月の第三次審査で参加者が決定するとのこと。“審査員”はパリ市の行政や住宅の関係者らで構成されています。

選択基準は「社会的、経済的、環境的に優れた共同住宅」。つまり、環境問題に配慮した省エネ住宅であり、多様な社会層や年齢層を受け入れ、共有スペースも考慮された住宅であること。

住宅を共同運営する住民たちは、法律に基づいたアソシエーション(非営利の組合)を結成。経費については、審査中であっても、条件を満たしていれば、パリ市から補助金を受け取ることもできます。

コーポラティブハウスは、計画から実際に住むまで時間はかかりますし、住民の自己責任も必要です。一方、多くの利点も挙げられています。

-土地購入費、省エネ対策のための設備投資などが共同でできるため、出資金やその後の経費も抑えられる
-同じ目的と価値を持つ住民が隣人となる
-入居前に話し合いの場があるため、隣人との意思疎通ができる

パリ市のほかフランス政府も、コーポラティブハウスは、新たな価値を生み出すコミュニティーづくりの場として注目。今年3月に成立したALUR法(住宅および革新的都市計画に対するアクセス) では、住民の共同組合や住宅の自主運営会社の設立規約が盛り込まれました。

パリには、高齢者の1人暮らしや母子・父子家庭が多いですから、自主的なグループハウスとしても、将来的に期待が高まっていくかもしれません。

日本には既にコーポラティブハウスやマンションがいくつか存在していて、プロデュース企業もあると聞きました。パリ初のコーポラティブハウスも、将来的にポジティブなモデルとなることを祈りながら、進捗状況を見守っていきたいと思います。

2014/07/04

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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