パリで広がるエコな配達システム

前回のコラムで、地域に密着した徒歩によるデリバリー・サービス「ラ・トゥルネ」を紹介しました。

商業ベースでの宅配便は、フランスはとても遅れているのですが、日常生活に密着したスーパーマーケットの宅配サービスは、意外にも充実しています。

パリ市内で多くの店を展開する「モノプリ」では、同店のポイントカードを持っている人なら、50ユーロ以上の買い物で無料デリバリー。レジで会計と手続きをした後、2~3時間後には家に届けてくれます。包装料として1ユーロがかかりまが、ポイントカードの作成は無料なので、ほぼ無料といえますね。まとめ買いする場合など、商品を持って帰るのも大変ですから、とても助かります。

「モノプリ」のデリバリー・サービスの広告。「時間を節約しましょう」とアピールしています。

「モノプリ」は通常、トラックで宅配していますが、パリの交通事情や環境問題を考えて、自転車による宅配を施行したこともありました。

「モノプリ」のデリバリー用の自転車

また高齢者や障害のある方、妊娠中の女性であれば、カードの有無に関係なく、50ユーロ以上の買い物で無料宅配してくれます。

ハイパーマーケットの「カルフール」も、店舗によって条件は異なりますが、50~150ユーロ以上の買い物でデリバリーが無料になります。

話はそれますが、「モノプリ」ではさらに、家の掃除や日曜大工、ベビーシッター、ガーデニングのお手伝いが必要な人に、専門家を派遣するサービスも実施。こちらは有料ですが、地元に密着したスーパーならではのサービスといえるでしょう。

このように、徒歩や自転車といったエコロジーの運送方法が、パリやパリ近郊で増えています。レストランやカフェに毎日パンを届けるパン屋さんなどでは、かわいらしい籠付きの自転車で運んでいる姿を見かけます。

分かりづらい写真ですが、手前に見える四角い箱のようなものが宅配用の自転車。パリ6区のパン屋さん「ジョゼフィーヌ・ベーカリー」で。

こちらは商品のデリバリーではなく、観光用の自転車です。2013年の夏、ルーブル美術館前にて

また、パリ北東部の19区で毎週土曜日に開かれている“マルシェ・シュール・ロー(水上マルシェ)”という朝市は、パリ近郊の農家が作った農作物を、船で運んでいます。

2011年に農家が集まって始めた試みで、環境への負荷をなるべく軽くしてパリに運ぶことはもちろん、地産地消が実現できるという点でも、おもしろいプロジェクトだと思います。

パリで船?と思われるかもしれませんが、パリ北東部にはラ・ヴィレット運河が流れ込んでいて、近年では流行のスポットにもなっています。

市場は「ラ・ロトンド」と呼ばれる建物の前で開かれています

ラ・ヴィレット運河。運河沿いには映画館やカフェなどが軒を連ねています。12月に撮影したので、どんより曇っていますが、夏になればたくさんの人でにぎわいます

とても寒かったクリスマス前。新鮮な冬野菜や果物が並んでいました。

私が昨年12月に市場に訪れたときは、運河の橋が壊れた直後で、やむを得ずトラックで運んでいました。春に橋が修復されれば、再び船で運送するそうです。

パリといえばセーヌ川が有名ですが、このセーヌ川には、遊覧船だけではなく、木材や資材を運ぶ船が今でも運航しているんです。こうした身近でエコロジックな運送方法を活用していくことが、今後はますます求められていきますね。

日本の大都市では同じ試みは難しいかもしれませんが、徒歩や自転車といった“原始的”な方法であればあるほど、地域や集合住宅といった小さな単位での動きが可能になるはず。住民同士のより密な関係も生まれてくるかもしれませんね。

Marché sur l’eau
http://www.marchesurleau.com/

2014/01/20

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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