アパルトマンの壁や屋上に-ますます進むパリの緑化

以前にご紹介した“緑の壁”や屋上の共同菜園に続いて、パリの街の緑化対策は、いまも進んでいます。

パリでも広がる共同菜園 屋上にも誕生
フランス版緑のカーテン?パリで注目のナチュラル&エコインテリア

最近、こんな壁も見つけました。パリ2区、サンティエSentier駅のすぐ近くです。

これは、“緑の壁”の開発者でケ・ブランリー美術館の壁面などを手がけたパトリック・ブラン氏の作品。アブキール通り rue d d’Aboutirにあることから、『アブキールのオアシス L’Oasis d’Aboukir 』と名づけられています。

アパルトマンが入居する建物の高さ25mの壁で、総面積は250㎡。237種におよぶ7600の植物を7週間で植栽。9月半ばにお披露目となりました。

上部にランプを設置して、夜はライトアップされています。名前の通り、住民はもちろん、ここを通る人たちにとってのオアシスになるでしょう。

生い茂った植物の間から、窓も見えます。

反対側から見た壁。1階はショップ、2階以上がアパルトマンです。

また、パリ15区では、建設中の集合住宅の壁に植物が植えられていました。

パリにはめずらしく、モダンな赤い壁。植物の“緑の柱”が映えます。

建物の緑化は、建物の断熱性を高めたり雨水の流出を緩和するなど、さまざまな効果が期待されています。なにより緑が身近にあると、心も癒されますね。

壁と並んで、パリでは屋上の緑化も推奨されています。

パリ市は数年前から、市の関係機関のオフィスや消防署、保育園といった場所の緑化を実施しています。

2013年4月には、APUR(パリ市都市計画局)は屋上緑化に関する報告書を発表。それによると、緑化が可能なパリの屋上は460ヘクタール。そのうち44ヘクタールが既に緑化され、80ヘクタールはすぐにでも緑化できる状態にあるそうです。

そしてつい最近、パリ最大の緑化屋上が誕生しました。セーヌ川沿いの15区に10月23日にオープンしたショッピングセンター「ボーグルネル Beaugrenelle 」の屋上です。

ガラス張りの壁にBのロゴが入った建物が「ボーグルネル」。エッフェル塔からも近い、セーヌ川沿いにあります。©L. Zylberman

道路をはさんで2つの建物の屋上が緑化されています。©L. Zylberman

2つの建物をあわせて緑化屋上の総面積は7000㎡で、サッカー場に匹敵する広さです。植物の水やりは雨水を利用するそうです。

LPO(フランス野鳥の会)とも提携しており、都市部にも生息するスズメやシジュウカラといった鳥のための巣も設置。ハチミツを採取するためのミツバチの巣もあるそう。

このショッピングセンターはガラス張りのモダンな建物ですが、環境に配慮した建築物に与えられるHQE(フランス高環境品質)認証と、イギリスのBREEAM (Building Research Establishment Environmental Assessment Method )の「とても良い」の評価を受けています。

写真では見にくいのですが、右側の壁には大きな植木鉢を設置。だんだん大きくなって、壁を覆っていくでしょう。

屋上へは一般の人はアクセスできませんが、地域住民や子供たちの教育のために、共同菜園を造る計画もあるとのこと。隣の高層ホテルに宿泊する方も、屋上庭園をご覧になるチャンスがあるかもしれません。

屋上や壁の緑化は、“自然”と呼ぶには小さな単位かもしれませんが、身近な自然や環境を守るために、少しずつ積み重ねていきたい取り組みだと思います。

日本では法律の関係で実現は難しいかもしれませんが、もう少し緑化をすすめたマンションなどが出てくると、環境配慮はもちろん、マンションの個性も生まれ、より彩り豊かな街や景観づくりにつながるかもしれませんね。

2013/11/22

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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