ご近所で助け合うパリのバカンス・シーズン

フランスはいよいよバカンス・シーズン真っ只中です。

パリの街の中は人も車の数も減り、近所のパン屋や八百屋さんもレストランの多くが休業中。住宅街はがらんと静まり返っています。

今年6月からアンヴァリッドからオルセー美術館を結ぶ2.3kmのセーヌ左岸の道路が改装されて、遊歩道になりました。道にゲームが書いてあったり、壁が黒板になっていたり、アスレチックや庭園、カフェもあって、子供も大人も楽しめる工夫があちこちにあります。

夏はスポーツイベントも企画されています。写真に見える右側の建物がオルセー美術館、セーヌ川をはさんで右側がルーブル美術館。

バカンス期の留守中の安全対策などについては、昨年紹介しましたが、最近では近所の住民同士の協力を促す運動や、率先してイニシアティブを取るお店が登場するようになりました。

パリのバカンスシーズン~留守中の安全対策~

たとえば、パリ市内の14店を含む31店をフランス国内に構えるオーガニック専門店「ビオ・セ・ボンBio c’ Bon 」はこの夏、7月13日から8月31日まで、2つのキャンペーンを実施。

ひとつめは、植物を預かるサービス“プラント・シッティング Plant Sitting ”。近くの「ビオ・セ・ボン」支店に植物を持っていけば無料で預かり、店員がお世話をしてくれます。

“プラント・シッティング”のポスター。お店が近所にあったら、とても便利なサービスです。

そして“グット・ドー・アン・ヴィル Gouttes d’eau en ville(街の中の一滴)」と名づけられたキャンペーンは、バカンスで留守中、近所に移動が大変な高齢者がいる場合、1週間に1回、同店のスタッフが水を1本、無料で届けてくれるというもの。

どちらのサービスも、同店のショップカードに登録するなどの条件はありますが、お金はかかりません。

1人暮らしや移動が大変な高齢者へ水を届けてくれるサービスの案内。フランスでも熱中症は夏の心配事のひとつで、水分の補給を呼びかけています。

こうした夏の間のご近所同士の助け合いについては、以前にご紹介した「フェット・デ・ヴォワザン(隣人祭り)」を主催する非営利協会「ヴォワザン・ソリデールVoisins Solidaires(連帯する隣人)」も、積極的に呼びかけを行っています。

パリ生まれの「隣人祭り」に学ぶ、マンション内ご近所づきあいの秘訣

植物の水遣りをする、郵便物を受け取る、隣人の猫にえさをあげる、買い物の荷物を持ってあげる、留守中の家を気にかける……などなど、バカンスに出かけずに残った人たちにできることはたくさんあります。

こうした近隣住民への気遣いは、夏に限りません。とくに、高齢化社会に対するさまざまな対策が提案・実施されていますが、「ほとんどの政策は、近くに寄り添う人がいることを前提にしています。だからこそ、高齢化問題の解決にもっとも有効な方法は、近所の助け合いなのです」と「ヴォワザン・ソリデール」は主張しています。

フランスでは親子が同居することは少ないですから、高齢者のご夫婦や一人暮らしがとても多いのです。

そこで、高齢者への支援方法をまとめたガイドブック「世代間のガイド」を製作。電球を代えてあげる、困ったことがないか声をかける、といった内容がまとめられています。

高齢者への小さな心遣いをまとめた「世代間のガイド」

個人主義といわれるフランスで、さらにほとんどがアパルトマン暮らしというパリでは、今後ますます近所との付き合い方がクローズアップされてくるかもしれません。

「ビオ・セ・ボン」の案内には、「小さなせせらぎが、大きな河となります」という言葉が書いてありました。義務や責任を感じてしまうと気後れしてしまいますが、小さな気遣いから始めたいものです。

2013/08/02

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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