エネルギー自立型アパルトマンがパリにも登場

電力エネルギーの自給自足をめざす“エコ”住宅が、フランスにも登場しています。

今年2月に、初めての低所得者向けエコ・アパルトマンがパリ11区のゲネ通りに完成。施工主のパリ市不動産公団RIVP( Régie Immobilière de la Ville de Paris)は「技術的にも経済的にも、エネルギー自立型アパルトマンの建設が可能であることを証明できた」とコメントしています。

この建物は1435㎡の敷地に立つ5階建ての共同ビルで、平均4室を備えた17のアパルトマンが入居しています。住民が消費するエネルギーの量以上を創出して、各戸に分配するシステムを備えています。

屋根に設置した太陽光パネルと太陽電池。

まず屋根には、水を温めるための127㎡の太陽光パネルと、光を電力に変換するための太陽電池を設置。地下には、洗濯機やシャワーに使ったお湯の熱を回収する機械や、水遣りに使うための雨水をためるタンクが置かれています。

この結果、1㎡あたり年間33.1kwh(キロワットアワー)の電力が創出でき、予想される消費量32.6kwhを上回る計算だそうです。この数字は、「50kwh以下」というパリ市が定める年間の消費電力量からもずっと下回っています。

三重になった窓は長方形。ブラインドの片面はステンレス製。白い壁にオレンジの窓枠が映えます。

さらに、階段とエレベーターの上部をガラス窓にして、建物の内部に自然光を取り込みます。

道路に面した窓は三重窓にして防音も重視。窓に取り付けたブラインドは片面がステンレスになっているので、光が少ない冬などには、太陽光を反射させて部屋の中に取り込むことができます。

総工事費は約310万ユーロ(税抜き、約4億円)。

当初は通常の住宅より20%増と懸念されていましたが、結果はほぼ変わらなかったそう。担当した建設事務所Baudoin Bergeronによると、経費が削減できたのは、最新テクノロジーではなく、シンプルで長持ちするシステムを選んだ結果とのこと。

住民たちが使用する以上のエネルギーを創出できる建物を、フランス語では「バティモン・ア・エネルジー・ポジティヴbatiment à énergie positive」(略してBEPOS)、つまりポジティブなエネルギーを持った建物と呼んでいます。

バルコニー側の壁は明るい黄緑色。(写真左)/静かな中庭に面していています。(写真右)

アパルトマンの内部。防音対策のため壁も通常より厚いそう。

エネルギーの消費を減らし電気代も節約できて、文字通りポジティブな面がたくさん。一軒屋の住宅はもちろん、これから修復・建設されるアパルトマンの共同ビルでも、こうした試みが増えることを願いたいと思います。

写真 ©Luc Boegly-Baudouin Bergeron Architectes

2013/05/20

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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