現代の“アパルトマン”を反映する家具・オブジェの展覧会

ハンドクラフト職人が所属する歴史ある団体「アトリエ・ダール・ドゥ・フランスAtelier d’Art de France(フランス・アート工芸協会)」。会員たちの作品を紹介するインテリア・ショップを以前にご紹介しましたが、今回は3月30日までパリ市内の4カ所で開かれている、同協会が開催するアパルトマンをテーマにした展覧会をレポートします。

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マンションインテリアにも取り入れやすい、フランスのアート工芸

展覧会のタイトルは、ずばり「ラパルトマン L’Appartement」。部屋ごとにパリ市内の4カ所に分かれて、60人のクラフト職人やアーティストによる家具やインテリア雑貨、食器などを展示・販売しています。

「ラパルトマン」展のポスター

同展の案内に、こんな言葉がありました。『オブジェは“私たちの生活の役者”であり、“私たちの心の延長”です』。私たちが日常生活で使っている家具やインテリア雑貨には、知らず知らずのうちに、それぞれの人柄やライフスタイルが反映されています。

『スプーンに、お皿に、フォークの中に、幸福はあるのでしょうか? 椅子やソファ、テーブル、コーヒーカップには? きっと、あるはずです。なぜなら、日常使いのオブジェは、私たちの生活を楽にしてくれるから。なぜなら、オブジェは私たちを映し出し、私たちを語っているから。オブジェは美しくて、エレガントで、気品にあふれています。だからこそ、何世紀も前から工芸職人たちは、彼らの技術やノウハウによって、美しい作品に人間味と個性をもたせようと取り組んできたのです。』

展覧会には、それぞれのアーティストのビジョンが垣間見える作品が並んでいました。4つのテーマ別にご紹介します。

寝室&バスルーム La Chambre et la Salle de bains

寝室やバスルームは、家族など限られた人にしか見せない親密な場所。だからこそ、静けさやあたたかな雰囲気が求められます。

とくにバスルームは、単に体や顔を洗う場所ではなく、より静かに体と心を休める“部屋”になってきています。フランス語でバスルームはサル・ド・バンsalle de bain 、寝室はシャンブルChambreといいますが、同展では『バスルームはいまや“シャンブル・ド・バンchambre de bain”になり、寝室との区別が曖昧になってきている」と分析。ほっとするナチュラルな素材と色あい、ピュアなフォームのオブジェが目だちました。

(写真左)家具職人のマーク・ランボーMarc Raimbault が手がけた黒檀のベッド。パーチメント(羊皮紙)でできているヘッドボードには収納棚が付いています。どことなく和風の雰囲気が漂います。©Lion photo (写真右)コンクリート製の重厚なランプは、彫刻家マティルド・ペニコーMathilde Pénicaudの作品。

ナタリー・オーディベールNathalie Audibertの陶作品は、シンプルな色あいと凛としたフォームが美しい。真っ白なカップとグレーのプレートは、清潔なバスルームに合いそう。

書斎・図書室 Le Bureau –Bibliothèque

仕事をしたり、読書や調べものをするための部屋。1人になりたいとき、静寂を求める場所かもしれません。展覧会には、モダンかつ懐かしい雰囲気で、知的好奇心もくすぐられるオブジェが並びました。

(写真左)オークの一木作りの椅子を手がけたのは、家具彫刻を手がけるベルトラン・ラクールBertrand Lacourt。装飾をいっさい省いた素朴さが、かえって木の美しさを際立てています。(写真右)椅子のカバーや刺繍布を製作するタピシエのサンドラ・クロディオンSandra Clodion は、家具職人でもあります。デンマーク製のアームチェアは、背もたれにフィンランドのテキスタイルデザイナーのモダンな布、座る部分に日本製の紙ひもを編みこんだものだそう!

(写真左)石ころの形をイメージした木の本棚。セバスチャン・パニスSebastien Panis作。(写真右)白地にブルー一色で描かれた工場のデザイン。洗練された陶器とモチーフのギャップがおもしろい作品は、1898年創業の陶器メーカー「ジョルジュFaiencerie Georges 」によるもの。

次のページでは、居間とキッチンのオブジェを紹介します。

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2013/03/22

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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