未来の住まいを考える展覧会「明日に住まう」がパリで開催中!

地球環境問題、エネルギー問題、人口高齢化、都市部の拡大といったさまざまな課題に対応するために、住宅のあり方も見直す必要に迫られてきています。パリのシテ科学産業博物館で開かれている「Habiter demain, ré-inventons nos lieux de vie(明日に住まう、生活空間を再考しよう)」は、より良い住宅を考えるための展覧会です。最新の建材から未来の住宅の提言までがビデオや写真で紹介されて、大人も子どもも学べる内容です。

シテ科学産業博物館で開催中の展覧会

同展はまず、住宅を取り巻く世界的な課題を提示していました。人口の高齢化(80歳以上が6900万人。2050年には3億7900万人と予測)のほか、地球温暖化にともなう環境異変、発展途上国を中心とする人口の増加、さらに安全な飲料水が確保できないといった衛生上の問題が37%の都市で起きているそうです。

またフランスでは2人に1人が、いつか住宅を失うのではないかと恐れているというアンケート結果もあります。事実、住宅事情に問題を抱えているフランス人は360万人。自宅でのエネルギー料金が支払えない、家計に占める割合が高い人が次第に増えているそうです。

さて「CONSTRUIRE(建てる)」と題したコーナーでは、住宅建材やエネルギーなどがテーマ。将来的に登場する新素材としては、植物繊維を詰めたコンクリートの壁や、光電池で覆われて自動的に室内温度を調整できる壁、疎水性の素材で覆われたバスルームなどが紹介されていました。

これからの住宅は、断熱性や機密性を高めてエネルギーの消費を抑える住宅が求められています。同展では一歩進んで、住宅そのものをエネルギーのキャプター(集積器)にするアイデアを提案。流れていたビデオでは、20㎡の太陽電池パネルを装備すれば、4人家族の1年分の電気消費がまかなえるとのこと(温水や暖房は除きます)。さらに、こうした小規模な“電気生産者”たちで組織をつくれば、近所の人たちとエネルギーを分け合うことも可能です。

伝統的な素材から最新の製品まで、さまざまな建材を展示。

省エネルギーの電球について学べるコーナー。

「HABITER住む」のコーナーは、ライフスタイルと住宅の変化、室内での健康問題、最新テクノロジーなどを紹介。未来の“スマート・ハウス”の例としては、スマートフォンで遠隔操作できるエアコンやセキュリティー・システムなどを紹介。リサイクル素材と太陽エネルギーで作った家具も展示されていました。

未来のスマート・ハウスについては、タッチパネルで学べます。

住み続けてきた住まいも、家族や自身のライフスタイルの変化に伴ってスペースも変化します。共同住宅での隣人同士のつながりを強めるために、屋上の共同庭園や共同ランドリーをつくるという興味深いアイデアも出ていました。

最後のコーナーは「VIVRE ENCEMBLE共に住む」。まず都市部に住む人口の増加に伴う住宅問題。2007年以来、都市に住む人口が農村部の人口を超え、2050年には人口の3分の2が都市に住むと予測されているそうで、住宅だけでなくサービス機関の建設も求められます。また世界的に農地が減少しているなかで、食糧の確保も深刻な問題になってきます。このため都市近郊に農地を開拓したり、都市部の住宅の屋根を有効利用するといった施策の必要性も提案。さらに、住民自身が共同で住宅を建築して運営していくという、新しいアプローチも挙げられていました。

世界の集合住宅の写真も展示。

同展には、パリとパリ近郊で建築が予定されている省エネ住宅の例も紹介されていました。次回にご紹介します。

●Cité des Sciences et de l’Industrieシテ科学産業博物館
30 avenue Corentin-Cariou, 75019 Paris
地下鉄:Porte de la Vilette
開館時間:10時~18時(日曜~19時)
休館日:月曜

写真 © eppdCSI / Arnaud Robin

2013/02/22

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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