アパルトマンを香りと灯りで演出-フレグランス・キャンドル

日がだいぶ短くなって、冬の始まりさえ感じるようになりました。10月の最終日曜日の深夜にサマータイムが終了して、いまでは17時には外は真っ暗に……。いよいよ本格的な冬へと近づいていきます。

ヨーロッパでは伝統的に、キリスト教の儀式に使われてきました。現代では、照明だけでなく、室内の香りや空間を演出するアイテムとして、フランス人の日常生活に欠かせないも
のになっています。近年では、ファッション・ブランドやお菓子メーカーもキャンドルを発表していて、香りもデザインも、多種多様です。

数あるキャンドル・メーカーのなかから、今回は、日本でも人気の高いパリ生まれの「ディプティック Diptyque 」をご紹介します。

サンジェルマン大通り34番地にある本店。このほかパリに4店舗あるほか、ロンドンやニューヨークにも出店しています。

壁紙やじゅうたん、木の棚などを配置した店内。ノスタルジックな雰囲気とモダンなグラフィック・デザインが共存しています。

1961年、美術学校を卒業したクリスティアーヌ・ゴトロ、デスモン・ノックス=リット、イヴ・クエランの3人によって設立され、サンジェルマン大通り34番地にショップをオープン。当初はオリジナルのテキスタイル雑貨や、彼らが旅先で見つけたオブジェを販売していましたが、まもなく彼らがデザインしたテキスタイルと組み合わせたキャンドルを提案すると、顧客の間で評判に。1963年、初めてのフレグランス・キャンドル3種を発表しました。68年にはオードトワレを発表して、香りの高級ブランドとして世界中に名を馳せるようになります。

キャンドルは、フラワー、フルーティー、ウッディー、スパイシー、ハーバルの5種類で、あわせて47のフレグランスがあります。

キャンドルの原料の質は、香水と同様で、厳選された天然の香料だけを使っているそうです。香りが最大限に広がるように、ロウは8~9種のワックスを配合。着色する場合は、化粧品や食品用の着色剤を使っています。また均一に燃焼するために、綿を編みこみ、真ん中にセルロースを入れた芯を使うなど、細部まで計算しつくされているのです。

香りを調合したワックスが完成した後、芯をガラス容器にセットして、温めておいたガラス容器にロウを流し込んでいきます。香りを最大限に引きだすために、ロウの温度は60~70度に設定し、容器いっぱいに注ぎます。ロウの温度を常温で少し冷ましたら、芯を手でまっすぐに調整。そのまま24時間冷ました後、再加熱して、表面を仕上げます。芯を4mmにカットして、容器にレーベルを貼付して、完成です。

feu de bois

透明なガラス容器に真っ白なキャンドル、楕円形のレーベルと黒字のロゴが「ディプティック」のシンボル。「feu de bois フ・ドゥ・ボワ(薪)」は、暖かい冬の一日をイメージしたウッディーな香り。

figuier

木のあたたかさと葉のさわやかさ、ミルキーな樹液を表現した「figuierフィギエ(イチジク)」。

roses

永遠の人気を誇る「Rosesローズ(バラ)」。(キャンドルはいずれも22ユーロ-70g、42ユーロ- 190g)

このように、多くの手作業を含んだ丁寧な作業があってこそ、繊細な高級フレグランスが生まれるのです。

さらに、香りを引き出すために、「ディプティック」ではあるコツを教えてくれます。それは、キャンドルを逆さに持って、クッションの上で軽く叩くこと。こうすると容器の底からロウの塊が離れて、底の香りが立ち上がり、火を灯す前から香りが確認できるのだそうです。

香りの質の高さのほかに「ディプティック」の人気の秘密は、シンプルながらスタイリッシュなパッケージ。キャンドルがインテリア・アイテムとして認識されるきっかけとなった、ブランドといえるでしょう。

Diptyque
34 boulevard Saint Germain, 75005 Paris
http://www.diptyqueparis.fr/

(C)Diptyque

2012/11/09

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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