家具も自分のスタイルにリメイク!パリの専門店でドアノブと取っ手選び

フランス人は、アパルトマン内の改装や水回りの工事まで自分たちで行ってしまうほど、ブリコラージュ(日曜大工)が得意な人がたくさんいます。ですから日曜大工品を扱うお店には、木板やタイルからペンキ、ねじ、くぎ、蛇口やシャワーの口、ランプシェード、トイレの便器まで! なんでも売っています。

個人商店が減っているのはフランスも同じ傾向ですが、今でもパリには小さなカンカイユリquincaillerie(金物屋)が残っています。そのなかには、ドアノブや引き出しの取っ手、ドアノッカー、カギ穴、ちょうつがいなど“家具用の金物”を専門に扱う店があります。いまはプラスチックや陶製もありますので、一概に金物だけではありませんが、伝統的にカンカユリと呼ばれています。さまざまなデザインや色があるので、市販の家具も、オリジナル家具に変身させることができるのです。

ちなみに、ドアノブと一言でいっても、フランス語では形によって言葉が違います。手で握れるタイプはポワニエPoignée、丸い形のドアノブはブトンbouton(服のボタンと同じ)。丸い引き出しの取っ手も、ブトンと呼びます。

パリにあるこうした家具専門の金物店を、2回に分けて紹介します。第1回はアンティーク・モデルを専門に扱う「オ・プログレ」です。

ショーウインドーにもずらりと金具が並ぶ「オ・プログレ」

「オ・プログレ」はパリ東部の11区のフェデルブ・シャリニー駅の近くにあります。同駅からバスティーユ駅まで続くフォブール・サン・タントワンヌ通りrue Faubourg Saint Antoine界隈は、17 世紀半ばから多くの家具職人が住んでいた地区。エコール・ブールという家具製作や修復のための職人養成で有名な学校も近くにあります。セーヌ川に近いため、木材の調達がしやすかったという有利な地理的条件も関係していたようです。

この歴史的な地区に「オ・プログレ」は、1873年に創業。家具職人のために銅や鉄の金具を製作していました。現在は当時の型を使った取っ手やちょうつがい、リング、飾り、鍵穴、釘まで、自社工房で生産しています。

店内に入ると、天井までずらりと金具が並んで圧巻です! ルイ14世、ルイ16世、帝政時代といった様式のほか、中国風のデザインもあります。金具をしまっているオーク材の棚は、いつの時代から使っているかも分からないほどすり減って形も色も変わっていて、開けにくい……。でもだからこそ、時の流れと人の手のぬくもりを感じます。

店内には金具がぎっしり並んでいます。

顧客は、家具職人やアンティーク専門店、インテリアデザイナーといったプロが80%を占めているそう。残りの個人客は、アンティーク風の個性的な小物を探していたり、壊れてしまった金具と同じモデルを探している人も。同じモデルが見つからない場合は、オーダーメードで製作もできます。その場合は、家具も含めて修復することも多いとのこと。

(写真左)店の奥にもまだまだ続きます。黒地にはブロンズや真鍮、白地には鉄の商品が陳列されています。/(写真右)高い場所にある商品は、はしごに上って。

取っ手のコレクション。

数字や花のモチーフは、壁飾りとしても使えそう。

鉄の取っ手は、それぞれ細部まで凝ったつくり。

華やかな装飾がついた鍵穴はルイ14世様式、下部の輪は古典的なスタイルが主流だったルイ16世様式。

ヨーロッパらしい大きな扉に似合いそうな取っ手やノッカー。

ルイ14世様式の鍵穴。並べておくだけでも、インテリアの一部になります。

実際に私が店内にいる間も、同じモデルがあるかどうか尋ねる電話がかかってきていましたし、お客さんの1人も、店員に型や大きさを伝えながら探していました。
家具を大切に使い続けたい人、またアンティーク風のインテリアとしてアクセントにしたい方は、ぜひ訪れてみてください。必要性がなくても、オブジェや飾りとしても美しいので、見ているだけでも楽しいお店です。

Au Progrès
11 bis rue Faidherbe, 75011 Paris
http://www.auprogres.com/

2012/09/27

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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