アパルトマンを交換-パリで人気上昇中の休暇スタイル

夏のバカンスが終わって、パリの町並みは普段の生活に戻ってきました。再会した同僚や友達との会話の中心は、もちろんバカンスの思い出話です。以前のコラムで、バカンス中は、地方に持っているセカンドハウスや1週間単位で貸してくれる別荘で過ごす人が多いと話しました。近年では、同じくバカンスに出る人たちとアパルトマンや家を交換する人も増えているようです。このアイデアは50年代にアメリカで生まれたそうですが、インターネットの普及で世界中にネットワークが広がったというわけです。

交換する相手はフランス人とはかぎらず、世界中の人たちです。パリには世界中から観光客が訪れるので、アパルトマンを交換したいと希望する人がとても多いのです。人気の理由は、その土地に居を構えたかのように、異文化を体験しながら滞在できること、そして経済的であること。家やアパルトマンを交換するわけですから、宿泊代がかからないからです。

アパルトマン交換の仲介サイトはいろいろあるようですが、最大級のサイトが、2005年に誕生したTrocmaison.com。1996年にアメリカで生まれ、160カ国に42000人の会員を持つHome Exchange.com のフランス版です。

同サイトの会員になると、自身のアパルトマンの写真や情報を掲載でき、世界中の希望者とやり取りができます。会費は3カ月35.85ユーロ、年間95.4ユーロ(初年度に交換しなかった場合は、翌年の会費は無料)。物件は、アメリカ、フランス、カナダといったおなじみの国から、アイスランド、南アフリカ、イスラエル、コスタリカ、インドネシアまで、世界中に広がっています。サイトには、各物件の部屋数や浴室数、子供や動物、喫煙者がOKかどうか、これまでの交換回数、地域の特徴といった情報や、植物や動物の世話をお願いしたいなどのリクエストが記載されています。

フランス版サイトの広報アレクサンドラ・オリジェ・デュ・クルゾーさんによると、フランスではサイトのスタートと同時に多くの反響があったそう。「パリ観光局も1年前から、宿泊タイプのひとつとして『アパルトマン交換』を加えていて、宿泊施設として認知されたといえると思います」

フランス人の会員の3分の1はパリまたはパリ近郊に住む人で、現在の登録数は2500軒。パリは大変人気がある街で、会員は毎日、世界中からリクエストが届くとのこと。なかでもイギリスやイタリア、スペイン、ベルギー、スイスといった近隣のヨーロッパ諸国から訪れる人が多く、アメリカやカナダが続き、最近はオーストラリアやブラジルからのリクエストが増えています。

ちなみに日本へのリクエストも多いそうですが、日本の物件は15軒のみ。日本人の私たちにとっては、知らない人に自分の家を貸すのは心配、という人のほうが多いかもしれません。同サイトはこれまでトラブルの報告やクレームを受けたことはないそうですが、双方の信頼関係で成り立つシステムですから、交換を決定するまでのやり取りがとても重要です。お互いの家族構成、屋内で喫煙を認めるか否か、友人を招いていいか、住宅や車の保険の内容など、細かい確認をメールや電話でやり取りして、最後は書面で確認しあうべきとアドバイスしています。


アパルトマン交換というスタイルは、景気への不安もあいまって注目を浴びてきた一面もあるかもしれません。しかし、これまでのバカンスでは飽き足らず、より個性的な休暇を求める人にとって、今後ますます人気を呼ぶでしょう。

http://www.trocmaison.com/
写真提供:(c)Trocmaison.com

2012/09/10

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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