フランスの食文化、アペリティフを楽しもう

フランスの食文化のひとつに、アペリティフ(食前酒)、略してアペロがあります。食事の前に、つまみを食べながら、おしゃべりをしてお酒を楽しむ時間です。日本でも6月の第一木曜を「アペリティフの日」として、毎年さまざまなイベントが行われているようですね。食にこだわるフランスならではの、豊かな習慣といえます。

あるパーティーで友人が準備してくれたイチゴのスープとナッツ。小さなプラスチックの容器をカラフルな洗濯バサミではさんだ、素敵なアイデア!

アペリティフは、レストランで食事をするときだけではなく、仕事の後、家に帰る前にカフェで飲むこともあれば、自宅でもアペリティフの時間をとります。シャンパーニュや白ワインが一般的で、薬草を配合した伝統的な食前酒もたくさんあります。

フランス人はホームパーティーをよく開きますが、私がとても面白い習慣だと思ったのは、ディナーではなく、アペリティフの時間に自宅に友人を誘うこと。ディナーを招待すれば準備が必要ですが、アペリティフなら、少しのお酒とつまみがあれば十分。招待される方も、気軽な気持ちでうかがえます。ティータイムももちろんいいですが、ほどよいお酒で楽しい気分になって、リラックスした雰囲気になります。ついつい長居して、あっという間にディナーの時間になってしまうものですが……。

ちなみに、ディナーを取るときは、アペリティフはダイニングルームではなく、居間など別の部屋に集まります。アペリティフが終わると、テーブルに移動して、食事を始めるのです。招待客が全員集まるのを待ちながらアペリティフを取るので、アペリティフが1時間以上に及んで、なかなか食事が始まらないことも……。とはいえ、この間に知らない人同士もだんだん和やかになっていって、食事の雰囲気をますます盛り上げてくれます。

アペリティフのおつまみは、ポテトチップスやナッツ類、ハムやソーセージ、生野菜のスティックなど。買ってきたパイを温めたりソーセージをカットして出すだけのことも多いですが、もっとおしゃれなおつまみを出したいと思う人が増えているようで、アペリティフをテーマにした料理教室やレシピ本も増えています。手に持ちやすいようにフィンガーサイズにしたり、串にさしたりしたもののほか、なかには一品料理をミニサイズにしたような凝った料理もあります。

これから夏に向けて気持ちのいい日が増えると、テラスでのアペリティフが楽しみな季節になります。ご夫婦で、家族で、友人と一緒に、気軽に自宅でアペロを楽しんでみてはいかがでしょう。

握りずしは、手でつまめて見た目もかわいらしいので、おつまみメニューとして大人気です。ここではワインに合うように、クリームチーズが使われていました。

料理教室「キュイジーヌ・アティテュード バイ・シリル・リニャック」

Cuisine Attitude by Cyril Lignac
10 cité Dupetit thouars,- 75003 Paris

料理教室「キュイジーヌ・アティテュード」は「アペロ・シック」講座を今年5月にスタート。月2回の金曜日(19時~20時30分)、3~4品のつまみとカクテルが学べます。

「アペロ・シック」講座で作ったおつまみです。(手前から)軽くソテーしたフォアグラとアプリコットの甘いチャツネーを載せたトースト、ハーブを混ぜたリコッタチーズと木イチゴのサンドイッチ、極細パスタ“エンジェルヘア”で包んであげた手長エビ。短時間でできるつまみばかりですが、とても凝った料理に見えるのがうれしい。

カリカリのベーコンを添えたグリーンピースのクリームスープ。プラスチックの軽い容器に入っています。

料理教室「アトリエ・デ・サンス」

料理教室「アトリエ・デ・サンス」のアペロのつまみは、手でつまめるタイプ。ヤギのチーズをナッツと一緒に丸めて串にさして。

バジルと春巻きの皮を巻いて揚げた手長エビ。

オーガニック専門店で売っている固めの豆腐をフライパンで焼いただけ! コーン状にくるっと丸めた紙に入れて、手づくりのケチャップが添えられていました。

 

2012/05/31

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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