パリでも広がる共同菜園 屋上にも誕生

日本にも共同菜園が増えているようですが、パリにも各所にあります。パリ市のリストを見ると、現在64に上り、毎年少しずつ増えているようです。パリは一戸建てが少ないため、庭を持っていない人がほとんどですが、野菜や果物を自分たちで栽培してみたいと思う人が多い証拠ですね。

それぞれの共同菜園は、住民たちが非営利団体をつくり、パリ市と連携しながら自主的に運営しています。公園や集合住宅の駐車場の一部を使ったり、空き地だった場所を開拓したところもあります。パリ市が土地を無料で貸し出す場合もあるそうです。野菜や果物を栽培する畑であると同時に、住民の憩いの場になっていて、ときどきイベントも行われています。

屋上を活用した珍しい庭園もあります。20区にあるパリ市営ジムの屋上で、20区役所が中心になって2010年に誕生。800㎡の屋上が有効活用されています。地域住民はもちろん、子供たちの教育に使ったり、社会的に困難な状況にあったり精神的な心配を抱えた人たちも受け入れているそうです。

パリ20区にある屋上の共同菜園。ジムの脇にある階段から上っていきます。

屋上を活用するという考えは、土地や住宅の不足が問題になっているパリでは、注目されつつある考え方。新築住宅の建築が難しいなら、建物の高さ制限を緩和したり、既存の集合住宅の屋上にさらに住宅を加えたらどうか、という意見もあります。景観や安全性の問題など、クリアすべき課題がたくさんあって、すぐに多くの例を実現させることは難しいでしょうが、今後どんな議論が交わされているのか気になるところです。

公園の一部が共同菜園に。住民が土地を耕しています

訪れた4月半ばには花はあまり咲いていませんでした

菜園から近隣の集合住宅が見えます

パリ市が運営する、別の共同菜園も訪れてみました。住宅街である15区の団地の敷地内に造られた菜園で、3.5㎡ずつ50区画に分けて貸し出されているそうです。

パリ市が運営する共同庭園の入り口には、必ずこんな看板があります。main verteとは、直訳すると「緑の手」。転じて「庭仕事が上手」という意味でも使われます。

共同住宅の駐車場の隅に造られた共同庭園

昔はバスケットボールのコートだった場所だそう。ふだんは鍵をかけて、関係者以外は入れないようになっています

 

2012/05/21

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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