著名人が暮らしたアパルトマン(その3) ギュスターヴ・モロー

ギュスターヴ・モロー(1826~1898)は、幻想的な画風で知られる象徴主義を代表するフランス人画家です。1852年から住んでいたパリ9区のアパルトマンは1903年、世界で初めての個人美術館として、オープンしました。

美術館の受付からカーブのある階段を上った2階(フランス式1階)が、モローが家族とともに暮らしたアパルトマンです。

すぐ左側にある書斎は、開館100周年の際に公開されました。モローの作品や模写、16~17世紀の蔵書、父親から譲り受けた骨董品や、モロー自身が生涯を通じて集めた骨董品などが展示されています。亡くなるまでの数年間、友人たちをここで迎えていました。

2階へと続く階段

2階へと続く階段


書斎

模写や骨董品などが陳列されている書斎。美術館の中の美術館ともいえる、貴重なオブジェばかり。

続く食堂は、色つきのガラス窓から静かに光がこぼれています。棚にある豪奢な装飾の陶器はモローの父親のコレクションで、モローの作風との共通点もみえます。

食堂

食堂には、モロー作品の複製画などが展示されています。椅子は、ギリシャ神殿の柱を脚のモチーフにしているといわれる、洗練されたルイ16世スタイル。

さらに、細い廊下を奥まで進むと、寝室になっています。もともとモローの母親の部屋だったそうで、ブルーの壁が落ち着いた印象です。

寝室

(左)モザイクの床の廊下を通って、寝室へ。/(右)寝室の壁には家族の写真や肖像画を展示


寝室の隣は、ブドワール(小部屋)と呼ばれていて、かつてはモローの寝室でした。

ブドワール

ブドワールの壁には、モローの代表作が飾られています。

書斎の横にある細い階段を上ると、急に広々としたアトリエが現れて驚かされます。1895年、自身の住まいを作品の展示場所と決めたモローが、建物の3~4階にこのアトリエを設けました。4階へと続く螺旋階段も、圧巻。螺旋階段を上りながら、また階段の上から、大画面の作品をさまざまな角度で鑑賞できます。さらに棚の中には、400点以上ものパステル画や素描などを保存。こんなに多くの作品を身近に感じられるのは、個人美術館ならではでしょう。

モローの遺言によって、部屋の絵画の展示も、調度品も、当時のまま保存されているそうです。モローの世界は、今もこのアパルトマンに生き続けているようです。

アトリエ

階段から見た3階のアトリエ。

 

螺旋階段

この螺旋階段も、モローが建設させたもの。手すりの装飾も美しい。


4階のアトリエ

最後の作品「ジュピターとセメレー」など、4階のアトリエには壁いっぱいに作品が飾られています。

Musée National Gustave Moreau
ギュスターヴ・モロー国立美術館
14 rue de La Rochefoucauld, 75009 Paris
tel : 01 48 74 38 50
開館時間:10時~12時45分、14時~17時15分(月、水、木)、10時~17時15分(金、土、日)
休館日:火曜、1月1日、5月1日、12月25日
入館料:一般5ユーロ
http://www.musee-moreau.fr/

2012/03/06

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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