パリの屋根に残る、昔ながらの暖炉の名残

エッフェル塔や凱旋門などから、パリの街を見下ろしたことがある方は、きっと多いことでしょう。私も、パリを高い場所から眺めるのが大好きですが、個人的には、8階くらいの高さから見るのが、おすすめです。それは、屋根がちょうどいい高さに見えるからなのです。屋根からは、ぽこぽこと煙突がリズミカルに飛び出していて、青空にも映えて、とてもパリらしい風景です!

現代美術館である「ジョルジュ・ポンピドゥ国立美術文化センター」は、展覧会を見に行くだけでなく、パリの街を見るにも楽しい場所。写真は、最上階からの風景で、屋根がよく見えます。

現代美術館である「ジョルジュ・ポンピドゥ国立美術文化センター」は、展覧会を見に行くだけでなく、パリの街を見るにも楽しい場所。写真は、最上階からの風景で、屋根がよく見えます。

遠くにはモンマルトルの丘に立つサクレクール寺院も。

遠くにはモンマルトルの丘に立つサクレクール寺院も。

煙突が連なる、パリの街の情景

集合住宅の屋根を見てみると、1本だけではなくて、何本もの煙突がずらりと並んでいます。アパルトマンごとに1つの煙突が必要だったので、何本もの煙突が設置されているというわけです。煙突は茶色い円筒型なので、一見すると、まるで植木鉢です。

「ジョルジュ・ポンピドゥ国立美術文化センター」最上階からの風景

「ジョルジュ・ポンピドゥ国立美術文化センター」最上階からの風景

歩きながら上を仰げば、煙突がぽつぽつと、出ている様子が分かります。

歩きながら上を仰げば、煙突がぽつぽつと、出ている様子が分かります。

歩きながら上を仰げば、煙突がぽつぽつと、出ている様子が分かります。

意外なことに、パリでは現在も、アパルトマンでの暖炉の使用は禁止されていません。ただし、下記の条件が定められています。

・暖炉が、主要な暖房ではないこと。
・燃料は、天然の木材のみ。
・すす払いを年に2回行う。そのうち1回は、暖炉の使用期間中に行うこと
・開放式の暖炉であること。ガラス扉などで閉まった暖炉は禁止。
・隣人に害を与えないこと。

法律的に可能とはいえ、現在は、石油ボイルによるセントラルヒーティングや、各アパルトマンで電気の暖房装置を入れている人が多いので、煙突から煙が出ている光景は、ほとんど見たことがありません。

2011年4月に紹介したモーリスさんのお宅は、19世紀末に建設されていますが、建設当時は、部屋ごとに暖炉があったそうです。暖炉は当時、たった一つの暖房装置だったわけですから、当然のことですね。古いアパルトマンには、暖炉が今でも残っています。暖炉としては“退役”して、インテリアの一部になっている場合がほとんど、インテリアの一部になっています。そういえば、2011年7月19日にご紹介したステッカーのお店では、暖炉をモチーフは、人気のアイテムでした。

Les Invasions Ephémèresで人気の暖炉風ステッカー

Les Invasions Ephémèresで人気の暖炉風ステッカー

フランス人が愛す、暖炉ある暮らし

暖炉は、都会生活では、暖炉はいまや贅沢なものなのでしょうか……。そんなため息をつくパリジャンたちのために、いま、新たな暖炉が登場しています。煙突も不要、煙の心配もない、バイオエタノール(エチルアルコール)を使った暖炉です。煙突がないので、パリのアパルトマンでも心配なく、本物の火で暖が取れるのです。

21世紀の暖炉は、色もデザインもスタイリッシュです。

21世紀の暖炉は、色もデザインもスタイリッシュです。

21世紀の暖炉は、色もデザインもスタイリッシュです。

アパルトマンに残っている暖炉の跡に設置したり、壁を削ってはめこむこともできます。グレイや赤、オレンジといったモダンな色のフレームあるので、モダンなインテリアにもあいます。テーブルに置く、移動式の平たいタイプも、発売されています。

フランスの地方では、いまでも、暖炉の火で料理をしたり、火を囲んでおしゃべりをする光景が見られます。暖炉が、家の、そして家庭の中心であり続けているんです。ぱちぱちと音を立てる薪の音を聴きながら、静かに燃える炎を見ているだけでも、心が和むもの。現代のパリジャンが再び暖炉を求めているのは、かつては当たり前だった光景の大切さを、あらためて実感している証かもしれません。

知り合いの家に残っていた暖炉。

知り合いの家に残っていた暖炉。

パリ市内のレストランにも、古い暖炉が残っていました。

パリ市内のレストランにも、古い暖炉が残っていました。

パリにはいまも、暖炉の専門店があります。暖炉や火かき棒といった小物も販売。

パリにはいまも、暖炉の専門店があります。暖炉や火かき棒といった小物も販売。

暖炉といえば、思い出すのは、そう、サンタクロース。フランスでももちろん、サンタクロースは、煙突を通って家にやってきます。パリの街も11月終わりから、クリスマスのイルミネーションに包まれています。そして子供たちは、クリスマスを指折り数えて、サンタクロースを待ちわびています。みなさんも楽しいクリスマスをお迎えください!

2011/12/16

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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