アパルトマン暮らしに嬉しい「日曜大工スペース」がパリに誕生

自分流にお部屋や家具を “ブリコラージュ” する面白さ

「レタブリシエンヌ」の外観。パリの東に位置する12区に立地。「配管・屋根職人」という看板が、そのまま残っています。

「レタブリシエンヌ」の外観。パリの東に位置する12区に立地。「配管・屋根職人」という看板が、そのまま残っています。

“ブリコラージュ”とは、フランス語で日曜大工のことです。フランスでは、家やアパルトマンの内装やリフォームを、自分でしてしまう人が多いんです。ブリコラージュ専門店協会の調査によると、10人中8人はブリコラージュを行っているとか。壁の塗り替えは一般的として、家具の修理、また電気の配線、床の板貼りまで、専門家に頼まずに、自分たちでしてしまう人もいるんです。

ブリコラージュのお店に行くと、いったい何に使うか分からないものまで、たくさんの道具や材料がそろっています。ブリコラージュ好きには、無数にも見える道具の中から、お気に入りを見つける時間も、楽しみなのでしょう。

そんなブリコラージュ好きにはもちろん、インテリアに興味のある人にもおすすめの場所が、パリに誕生しました。今年6月にオープンした、「レタブリシエンヌ」です。

「インテリア」「ブリコラージュ」「リサイクル」幅広く学べる気軽さが魅力

「私自身、木工を学びたかったんですが、パリには専門家や専門家養成の学校がほとんどだったんです。そこで、ブリコラージュの役に立つことを、少しずつ、幅広く学べる場をつくりたいと思いました」と、「レタブリシエンヌ」を創設したローランス・スリソーさんは、そのきっかけについて話してくれました。ブリコラージュやインテリアに関する教室を開催する以外にも、ブリコラージュとリサイクルのために、“場所”“道具”“ショップ”“アドバイス”を提供する、幅広い役割を果たす場所になっています。

まず、入り口から奥へと続く廊下の部分は、古い家具や道具を委託販売する「デポ・ヴァントDépôt Vente」のコーナー。お客様が持ち込んだ椅子や鏡、絵画など、さまざまなものが売られています。

入り口から受付に向かう部分は、委託された古道具や家具を販売するスペース。ローランス・スリソーさんは、ほぼ毎日、「レタブリシエンヌ」の受付で、アトリエにやってくる人たちを迎えています。

入り口から受付に向かう部分は、委託された古道具や家具を販売するスペース。ローランス・スリソーさんは、ほぼ毎日、「レタブリシエンヌ」の受付で、アトリエにやってくる人たちを迎えています。

写真左:コーヒーを飲みながら休憩するスペース。/写真右:委託販売のコーナー。

写真左:コーヒーを飲みながら休憩するスペース。/写真右:委託販売のコーナー。

その左の部屋が、教室が開かれるアトリエ。「木材の切り方入門」「家具を改修すべきか?」「木工のための道具を学ぶ」「椅子の布貼り」といったブリコラージュの基本から、「木のおもちゃ作り」「紙の家具作り」「藤のランプシェード作り」「ステンドグラスの基本」まで、22コース。専門家を招いた、あらゆる素材を使った教室が開かれています。

天井の高いアトリエ。訪問した日のテーマは、2日間コースの「18世紀風の古色仕上げ」で、女性2人が参加していました。

天井の高いアトリエ。訪問した日のテーマは、2日間コースの「18世紀風の古色仕上げ」で、女性2人が参加していました。

アトリエの奥にあるサロンには、ブリコラージュとインテリアに関する本を備えているほか、クリエーターの家具も展示されています。「たくさんのクリエーターたちが、販売する場所がないと悩んでいます。こうしたアーティストや職人たちの作品を展示して、光を当てたいと思います」(ローランスさん)。

地下は、ブリコラージュのためのレンタル・スペース。「パリのアパルトマン暮らしでは、ブリコラージュをしたいけれど、狭いし、近所への騒音も心配」という声が多いのだそう。そこで、9時から21時の間、毎日、1時間単位で場所を貸し出しているのです(7~9ユーロ)。道具を貸し出し、アドバイザーも常駐しているので、簡単な指導も受けられます。

地下のレンタル・スペース。道具も貸し出してくれます。

地下のレンタル・スペース。道具も貸し出してくれます。

古いミシン台ももちろん現役です。

古いミシン台ももちろん現役です。

「レタブリシエンヌ」の中にある家具は、ほとんどが売り物。修復やリサイクルの方法について、紙が貼ってあるものも。ブリコラージュのためのお手本と見本が、建物中にそろっていると言っても過言ではありません。さらに、アンティーク小物と組み合わせて、ただ古いだけではない、居心地とセンスのいいインテリアになっています。

アトリエで使う材料や道具が、あちこちに置かれていますが、すべてがバランスよく、計算されたインテリアのようにも見えます。

アトリエで使う材料や道具が、あちこちに置かれていますが、すべてがバランスよく、計算されたインテリアのようにも見えます。

「レタブリシエンヌ」のレンガ造りの建物は、20世紀の初めから3代続いた配管・屋根職人のアトリエだった場所。外壁をそのまま残したほか、使われていた木棚や壁を生かしながら、改造したそうです。職人技術が代々引き継がれてきた場所で、新たなオブジェが生まれたり、古きものが再生していくことは、とても意味深いことにも思えます。

木の棚は、もともとこの場所で道具入れとして使われていたもの。あまりの美しさに、ローランスさんが買い取ったそう。

木の棚は、もともとこの場所で道具入れとして使われていたもの。あまりの美しさに、ローランスさんが買い取ったそう。

環境や資源の問題から、家具や道具のリサイクルは、今後ますます重要視されていくはず。道具をそろえる心配も、場所や騒音への気兼ねもなく、安心して、気軽にブリコラージュやリサイクルができる場所は、パリジャンにとって貴重な場所になりそうです。

L’établisienne
88 Boulevard de Picpus, 75012
Tel. 01 43 46 35 32
受付:9時30分~19時30分
http://www.letablisienne.com/

2011/11/10

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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