フランス版緑のカーテン?パリで注目のナチュラル&エコインテリア

日本では今夏、節電対策によって、「緑のカーテン」が多く見かけるようになったと聞きました。パリでは5年ほど前から、インテリアやデザインの美しさから、コンクリートの外壁や店内の壁を緑で覆う、“緑の壁”が注目されるようになってきました。

壁に植物を這わせる“緑のカーテン”と異なるのは、壁そのものに特殊な板を貼って、植物を植えてしまう点です。以前の記事「パリの『21世紀型』集合住宅とは?」の中で紹介したフラワー・タワーも、その一例といえます。

外壁緑化から室内インテリアへ、進化した“緑の壁”

今では、テラスや庭のないアパルトマンに、内装としてとり入れる人も少しずつ増えています。今回は、2004年から“緑の壁”を施行している建築事務所「ジャルダン・ドゥ・バビロン」のショールーム「ギャラリー・ヴェルトゥ」を訪ね、最近の傾向や今後の見通しなどをうかがってきました。

「ジャルダン・ドゥ・バビロン」のショールーム「ギャラリー・ヴェルトゥ」。

「ジャルダン・ドゥ・バビロン」のショールーム「ギャラリー・ヴェルトゥ」。

同社を立ち上げたアモリー・ガロンさんは、“緑の壁”の開発者で、壁面緑化の技法で特許も取得しているパトリック・ブラン氏の下で働いた後、独立しました。

「緑の壁が、実際に注目を浴びるようになったのは、2007年くらいからです。より自然な素材を使い、より環境に配慮した建築が取り入れられるようになってきたからです。最初は、外壁を緑化することでしたが、最近では、自然を家に取り入れたいという個人の方が、インテリアとして取り入れるようになってきました」と話します。

天井からも、つる系の植物が。

天井からも、つる系の植物が。

オフィス側の壁も、緑があふれていました。

オフィス側の壁も、緑があふれていました。

狭いアパルトマンにも設置可能な、移動式「緑の壁」

室内の場合は、外壁のように、壁に植物を植えることは難しいので、移動式の特殊な壁に植物を植えて、設置します。ですから、せまいアパルトマンでも、数㎡あれば、“垂直な庭園”をつくることが可能なのです!

アパルトマン用に開発された“緑の壁”(幅2m、高さ2m)

アパルトマン用に開発された“緑の壁”(幅2m、高さ2m)

特殊な壁とは、アルミニウムまたはステンレスと、再生ポリ塩化ビニール、セルロース綿でできた土台に、親水性のあるリサイクル繊維やプラスチックなどの3層を、さらに重ねたもの。

水やりは、壁の下の部分にためた水が、管を通って上に運ばれ、自動的に水が流れる仕組み。室内のため、回数は1日4回と多めですが、水を再利用できるため、水の消費量を抑えられるそうです。

緑の存在によって心がやすまるという効果はもちろん、“緑の壁”にはさまざまなポジティブな効果があります。

<防音>
セルロース綿やポリ塩化ビニール、繊維のそれぞれの層が、音を遮断。合計55デシベルを抑えられるとのこと。

<空気の汚染浄化>
ベンゼン、一酸化炭素など、各家庭で考えられる有害物質に応じて、植物を選択。

<空調>
冬は暖かく、夏は涼しく、室内を保ちます。

室内の“緑の壁”に対して、心配する声が多いのが、害虫に関してだそう。「植物ですから、完全に虫の存在を消すことはできませんが、たとえばミントなど防虫効果のある植物を植えたり、技術的に解決法を見つけることはできます」(ガロンさん)。

“緑の壁”のアパルトマンへの設置は、まだ少数派ですが、集合住宅や家の壁への依頼は、ますます増えていくことが予想されます。パリには、前述のブラン氏が手がけたケー・ブランリー美術館やデパートの壁が、緑で覆われています。ジャルダン・ドゥ・バビロンには近年、ショッピングセンターからの依頼が多いとのこと。

「ジャルダン・ドゥ・バビロン」の施工例より。あるオフィスの壁 。©jardinsdebabylone.fr

「ジャルダン・ドゥ・バビロン」の施工例より。あるオフィスの壁 。©jardinsdebabylone.fr

「ジャルダン・ドゥ・バビロン」の施工例より。“緑の壁”でつくられた個人宅の部屋。©jardinsdebabylone.fr

「ジャルダン・ドゥ・バビロン」の施工例より。“緑の壁”でつくられた個人宅の部屋。©jardinsdebabylone.fr

「植物で覆った椅子やソファーを発表するデザイナーもいて、緑のオブジェも生まれてきています。パリの周囲を走る環状線の壁を緑化して、汚染浄化を調査するというプロジェクトもあります。壁に限定せずに、より広く、家や街の緑化を進めていきたいです」とガロンさんは話していました。

“緑”は、今後の住宅建築やインテリア、そして都市開発のカギにもなりそうです。

Galerie Verte / Jardins de Babylone
6 rue des Jeuneurs, 75002 Paris.
01 40 41 90 40
http://jardinsdebabylone.fr

開館時間:14時30分~19時(午前は予約制)
休館日:土曜・日曜

2011/09/13

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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