アパルトマンを省エネにリフォーム パリ市も推進

パリの集合住宅には、共通ボイラーですべてのアパルトマンを暖めるセントラルヒーティング(中央暖房)を導入しているところが多くあります。

アパルトマンにはラジエーターが部屋ごとに設置されていて、白い管の中をボイラーで暖められた水が流れ、部屋を暖めてくれる仕組みです。風も音もなく、ラジエーターにさわっても危険もなく、空気を暖めてくれるのでとても心地いいのです。朝起きたとき、家に帰ったとき、いつでも部屋が暖かいという点も、セントラルヒーティングのうれしいところです。

アパルトマンに設置されている、セントラルヒーティングのラジエーター

アパルトマンに設置されている、セントラルヒーティングのラジエーター

セントラルヒーティングが稼働するのが10月後半。その前に、管内に残っている水を出しきる作業をするのですが、これをしないと、ラジエーターに温水が通らず、アパルトマンが十分に温まりません。このように効率よくアパルトマンを暖めるのと同時に、温まった空気が外に放出されないように、アパルトマンの断熱性を高めることが大切です。

私が住んでいる集合住宅では、数年前から管理組合がチェックをして注意を促しています。たとえば、老朽化しているラジエーターの交換、二重窓の設置などです。私のアパルトマンの場合は、窓のシャッターを収納する部分が木でできているため、内部に断熱材を貼ることを勧められました。先日は、建物に設置されている温水の配管のチェックも行われたようです。

集合住宅の入り口に、建物の給水管のチェックが行われた結果が貼られていました。

集合住宅の入り口に、建物の給水管のチェックが行われた結果が貼られていました。

こうした動きは、2015年7月に国が制定した“エネルギー転換法”に基づいています。

同法は、フランスを低炭素国家に変えていくために、食品、建築、金融などさまざまな分野で多くの規定が設けられました。原子力発電の割合を現在の75%から50%まで引き下げる、プラスチック容器を2020年までに廃止するといった内容のほか、不動産部門では、新築物件には国が定めるエネルギー基準の義務化や、建物のエネルギー効率改善のための改修を推進、大規模改修のための融資の無利子にするといったことが発表されました。

パリ市も今年5月、“エコ・エノヴォン・パリ“(パリを改装しよう)と題したプロジェクトをスタート。エコ・リフォームを行う集合住宅に対して、無料アドバイスや工事費用の支援などを行うというものです。今後5年間で1000軒を支援する予定で、5100万ユーロの予算が充てられまいた。

このプロジェクトの主な対象は、所有者が異なるアパルトマンが入居し、管理組合方式で管理を行っている住宅。というのも、パリにある住宅の75%にあたる4万7000軒が管理組合方式なのだそう。

今年9月、第一弾として24軒が選ばれました。そのうち7軒が1940年以前、15軒が1940~74年、2軒が1974年以降の建物。“エコ・レノヴォン・パリ”への応募理由は主に、「必要性を感じていたエコ・リフォームを的確な方法で行いたい」という気持ちだったそう。書類をパリ市に提出するにあたって、オーナーと賃貸している人との交流を図ることにもつながったといいます。さらに、エコ・リフォームをすることで将来的に、住宅の価値が上がることもモチベーションになっているという意見もあります。

環境政策は大きな課題ですが、自身の部屋やアパルトマン、マンションを少し見直すことから始めてみたいものです。

2016/11/15

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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