パリや主要都市のアパルトマンの評価する、情報交換サイトが誕生

前回、フランスの住宅省が賃貸アパルトマンの家賃の目安を公表するサイトを開設したニュースをお伝えしました。今回は、借主たちがアパルトマンを評価するサイト「ハッピー・レンティング(HappyRenting)」を紹介します。

フランスでも日本でも、理想の住まいに近いアパルトマンやマンションを探すことは、一大事であり、とても難しいことです。内見に行っても、「夜はうるさいのか?」「隣人の声や音はどのくらい聞こえるのか」などなど、住んでみないと分からない疑問はたくさんあります。「大家さんも不動産業者も悪いことは隠しているのでは」と疑心暗鬼になることもありますよね。

昨年3月に開設された「ハッピー・レンティング」の創始者は、マルク・ローランさんとエドゥワール・トゥタンさんの2人。ローランさんの苦い経験から誕生したそうです。

 アパルトマンを評価する情報交換サイト「ハッピー・レンティング」

アパルトマンを評価する情報交換サイト「ハッピー・レンティング」

ローランさんが以前住んでいたアパルトマンは、内見の際、後ろに10人が順番を待っていて、10分程度の見学で決定せざるを得ませんでした。しかし住んでみると、騒音と水漏れに悩まされ、3カ月で退去することに。次のアパルトマンは、知り合いに紹介してもらったおかげで事前に情報をしっかり入手でき、納得して契約できたそうです。

アパルトマンの供給が少ないパリでは、ローランさんの場合と同様、内見日にずらりと行列ができることもあります。大勢の“競争相手”を前に即決を迫られ、環境を確認したり下調べをしたりする時間も、迷う時間もないのが現状なのです。

そこで「ハッピー・レンティング」は、借家人自身がアパルトマンを評価して、情報交換する仕組みを構築しました。住んでいる人自身の意見以上に、もっとも信頼できる情報はありません。引っ越し前に現在住んでいるアパルトマンを評価したり、内見したアパルトマンの情報を掲載したりしています。

「ハッピー・レンティング」のサイトを見ると、地図上に評価されているアパルトマンが表示されます。453件が登録されているパリをはじめ、リヨン、マルセイユ、ボルドー、トゥールーズのフランスを代表する都市でも、少しずつ件数が増えています。またサイトへの登録者数は現在1500人。来年中には10万人の会員数をめざしているそうです。

掲載されているのは、住所、階、面積、部屋数、家具付きか家具なしか、家賃、暖房・温水の種類(中央暖房、個人など)、住人の数といった基本情報のほか、地区(アクセス、環境)や住宅の状態(外観、共有部分)、アパルトマンの質(キッチンや浴室の状況、騒音、日当たり、治安…)、家主や不動産業者との関係などを1~5の星で評価。全体の平均点も最高5つ星で計算され、利点とマイナス点のコメントも掲載されています。

ローランさんによると、借りる側からはポジティブな反応が多いとのこと。「賃貸市場をオープンにして、これまでになかった新しい解決法を提案しているからだと思います」と分析していました。

家主にとっては、不本意な結果が掲載されることもあるかもしれませんが、利用者の声が、改善のきっかけになってほしいものです。ローランさんたちも「不動産の価値を高めるための参考」となることを願っているそうです。

希望のアパルトマン情報がなかったとしても、そこに近いアパルトマンの情報が載っていれば、近隣や地区の環境を知るために役立ちそうです。また、賃貸用だったアパルトマンが、家主の都合で売りに出されることもよくありますので、購入を考えている人にとっても貴重な情報になるでしょう。

HappyRenting
http://happyrenting.fr/


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2016/09/13

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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